Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

LOVERS

2013-07-10 | 映画(ら行)

■「LOVERS/十面埋伏」(2004年・中国)

●2005年全米批評家協会賞 監督賞

監督=チャン・イーモウ
主演=金城武 チャン・ツィイー アンディ・ラウ

 イーモウ監督の前作「HERO」でも美しい映像美に酔ったが、今回も然り。冒頭のチャン・ツィイーの華麗な舞、緑の竹林、白い雪原、スローモーションの鮮血・・・凝りに凝った色づかいは強い印象を残す。遊郭での舞を観るだけでもう大満足。金城、歌ってんじゃねぇよ、真面目に見ろよ!と怒りたくなるくらい見とれてしまった(笑)。イーモウ監督は北京オリンピック開会式の演出を手がけるそうだけど、この華麗な映像絵巻を生で見せて欲しいなぁ。「HERO」は文字通りのヒロイズムというテーマが貫かれた映画だった。書をめぐる精神論なんて欧米人にわかるのか?と思えるくらいに徹底した描かれ方をしていた。歴史の陰にこんな男たち女たちがいた。だけど歴史は誰もそれを語らない・・・そんな無常観がたまらなかった。だが「LOVERS」は、男女の三角関係を軸にしたラブロマンスと伝統的な武侠映画の融合。それはそれで立派な試みだ。しかし、どうもどっちつかずの印象を受けてしまう。

 前半のアクション場面は見せ場だらけだ。特に竹林での戦いの場面は素晴らしい。頭上を飛び交う刺客たち、降り注ぐ竹の槍。スピーディーでしかも斬新。これは武侠映画の名作「侠女」へのオマージュだろう、非常に力のこもった見応えのある場面だ。ところが三角関係が露呈してからの後半は前半の勢いがなくなってくる。ラストの雪原の戦いだって、妙に間延びしてしまってしつこささえ感じられた。それも愛の深さ故?そう思えばそれを克明に描いた丁寧さには頭が下がります。チャン・ツィイーでラブシーンをよっぽど撮りたかったんだろうね。武侠映画の精神性では欧米人に受けないので、恋愛映画にしてしまったのだろうか。結局「謀(はかりごと)」をめぐるサスペンスとのバランスの問題なんだろうね。そういう意味では「HERO」よりも女性に受けそうな映画とも言えるかな。ワダ・エミの衣装は今回も独創的で美しい。

(2004年筆)





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