ジャズのスタンダードナンバー、Everything happen to meを弾き語りするシャラメ君、ファッションも前髪垂らしたロン毛もカッコいい。若かったら絶対真似してるな、オレ。セレーナ・ゴメスと車の中でキスして、フロントガラスに雨が落ちる場面のゾクッとする美しさ。名作「マンハッタン」を思い出させる街並み。ビットリオ・ストラーロのカメラは素晴らしい。
そして何よりも音楽の素晴らしさ、抜群の選曲のセンス。Wet Wet WetのLove is all aroundをクリスマスソングにした替え歌(PVはロバート・パーマーのAddicted To Loveのパロディ?)、葬儀で流されるBCR、首相が踊り狂うポインターシスターズ、パーティで流れるノラ・ジョーンズ。僕はカーティス監督作の「パイレーツロック」が大っっ好きなのだが、「ラブ・アクチュアリー」でもこれまたいい場面でビーチボーイズが流れる。しかもこれまた大好きなGod Only Knowsやん(泣)。あー、あの年なんで映画館で観なかったのだろう。
レオンが彼女を守るための、ラストの選択が感動的に映る。その物語の終わりに、ベッソン監督はスティングが悲しげに歌うShape of My Heartを流した。スティングもまた、Englishman In New Yorkで異邦人の孤独を表現した人だ。Shape of My Heartで歌われるのは、答えを求めてカードを見つめる孤独な男が、そこに自分の心の形を見出せないでいる姿。それはまさにレオンだ。日々の生活の中で、自分の居場所に疑問を抱いたり、居心地の悪さを感じている僕らも、レオンに自分を見る。そして心の内で涙するのだ。