Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク

2020-07-11 | 映画(ら行)



◾️「レイニーデイ・イン・ニューヨーク/A Rainy Day In New York」(2018年・アメリカ)


監督=ウディ・アレン

主演=ティモシー・シャラメ エル・ファニング セレーナ・ゴメス ジュード・ロウ


「マンハッタンを案内してくれるのね」

そう言って微笑むエル・ファニング嬢。そう、彼女と銀幕のこっち側にいる僕らを案内してくれるのは、われらがアレン先生だ。ニューヨークにまつわる映画、とくればアレン先生かマーチン・スコセッシ。本作でもセントラルパークを中心に街並みと人間模様が描かれる。


学生新聞の記者であるアシュレーは、映画監督ローランドとのインタビューでマンハッタンへ。ニューヨーク出身の彼氏ギャツビーは、彼女に街を案内するデートプランを練っていた。ところが、インタビュー中に、撮影中の作品への不満から脚本家テッドとローランド監督にトラブルが発生。彼を追いかけるテッドとアシュレーだが、その二人も次々と騒動に巻き込まれる。一方、母主催のパーティから逃げるつもりだったギャツビーの身にも予想しなかった出来事が。


古巣ニューヨークに戻ったアレン先生の映画はやっぱり他とは違う。ここ数年の作品は男と女について考えさせてくれる秀作なんだけど、どこか重苦しくビターな味わいで、いわゆるロマコメの良作はしばらくなかった。「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」は、「ミッドナイト・イン・パリ」以来のロマコメの快作だと僕は思う(その間の「マジック・イン・ザ・ムーンライト」はどうも苦手)。


若手キャストを起用したフレッシュさもあるのだが、登場人物それぞれがアレン映画の登場人物らしい屈折したクセ者ばかり。ギャツビーは親に押し付けられた生き方に反発を感じているし、アシュレーはアルコールを口にして歯止めのきかない本性を露わにしてくる。業界人のローランドとテッド、さらに人気俳優フランシスコは世間知らずのアシュレーに癒されたり、励まされたり、さらには口説いたり…。そんな人間模様の面白さに僕らクスッと笑いながらも、自分に正直でいるって難しいんだよねとビターな気持ちを少し抱えながら、ロマンティックなラストシーンを迎える。うまい。ただの色恋沙汰で終わらせない。


ジャズのスタンダードナンバー、Everything happen to meを弾き語りするシャラメ君、ファッションも前髪垂らしたロン毛もカッコいい。若かったら絶対真似してるな、オレ。セレーナ・ゴメスと車の中でキスして、フロントガラスに雨が落ちる場面のゾクッとする美しさ。名作「マンハッタン」を思い出させる街並み。ビットリオ・ストラーロのカメラは素晴らしい。


iPhoneの着信音が響く今どき男女のお話なのに、フランク・シナトラも歌ったスタンダードナンバー歌ったり、「恋の手ほどき」のGigiでも歌う?、ビットリオ・デ・シーカと同格です…とか出てくるものがいちいち古くて通好み。確かに違和感…とも思うけど、シャラメ君は「ふさわしいもの」を教え込まれた結果なんだろうし、チャンはそんな通好みなミュージカルの知識がある都会育ち、アシュレーは台詞にもあるように映画オタクなんだろう。うん。


雨が降って、男女が惹かれあって…って、「マジック・イン・ザ・ムーンライト」や「ミッドナイト・イン・パリ」でも出てくるシチュエーションだけに、「またかい!」と映画館の暗闇でツッコミを入れた。まあ何にしても、雨降って、地固まる話です…?


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