読書日記

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鉄人ルー・テーズ自伝  流 智美訳  講談社アルフア文庫

2008-06-16 19:40:38 | Weblog


鉄人ルー・テーズ自伝  流 智美訳  講談社アルフア文庫

 史上最強、最高のプロレスラー、ルーテーズの自伝である。これを読むとプロレスの歴史が一望のもとに俯瞰され、満載の秘蔵写真とともに、一流の格闘家の人生を追体験できた。日本では、1950年代後半からプロレスブームが起こったが、その主役は力道山だった。ちょうどテレビ放送が始まったのと同時期で、日本中を興奮の渦に巻き込んだ。彼の試合に興奮した老人が死ぬという事例も多々あった。空手チョップの威力はまさに敵なしの状態だった。力道山は大相撲出身で、レスリングの正統派のルーテーズとはルーツが違う。従って組み技になると絶対ルーが有利だ。実際テレビで両者の対戦を見たが、格が違うという印象を受けた。
 1950年後半から60年にかけてプロレスと大相撲は庶民の楽しみだった。みんなテレビの前に釘づけ状態で、大興奮。皆貧しかったが楽しい時代だった。今の物騒な世相を見るにつけ、豊かさの影の部分も甘受せざるを得ないとは、少し悲しい気がする。長生きすると、見たくないものも見なければいけなくなるのが、辛いところだ。