忘却への扉

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桐の木を見て

2009-09-16 | 追憶
 いつもの通り道だが、所々に桐の木が植えてある。1つの場所に最初に植えられてから、もう数10年が経つ。「子供が 結婚をする時でも来れば、祝いに家具を贈ろうと思って。今、桐の木を植えておけば、ちょうど良い年数で切ることができる」
 わが家の山にも祖父母や父母の代には 桐の木があって、タンスや下駄などの材料として買いに来る人がいた。私も登って遊んだだけでなく大人になってからも桐の木は売れた。
 当時は山で大きく成長た桐の木をどこからか見つけて交渉に来た人と売る気だったらお金をもらう。まだ道路のできていない時代で、相手は山に入って桐を切り道路のある場所まで運び出す手間と労力をかけても利益になったのだろう。
 娘さんの嫁入り道具に持たせる桐のタンスのために、桐の木を育てているとの話はよく聞いていた。通り道の桐の木は、そのような風習がこの町でもなくなってからのこと‥‥。懐かしくうれしい話と思っていたが、風で幹が折れたり倒れたり。
 新たに植えかえた りしたのは覚えているが、スラリと真っ直ぐに育った桐の木を見た記憶がない。1本の株から幾本も細い幹を伸ばしている木もある。どうやら家具に加工されてはないようだ。
 横を通っても普段ほとんど気にしないでいた。なぜだか今日は桐の木が主役のように思った。活用するには難しい樹形が残念だが、倒れず生きろよと声かけたい気持ちになる。