クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

FD3Sの場合 その4

2019-03-09 18:26:25 | ガレージレポート(オリジナルボックス)

さらにロールと繋がりのある大きなファクターとして車高があります。

と言っても、車高と連動しているロワーアームの「アーム角」のことですが。

車高を下げれば重心が下がって安定する。と誰しも信じて疑わないところがあると思うのですが、
実はサスペンションの動きは車高を下げる方向で不安定になり、高くするほど安定性が増す特性があります。

なのでストロークの中央より少し高めの位置が純正車高で下反角が少しついているクルマが大半です。

少しくらいは平気だろうと思っても、アーム角は車高の通りに変化するので不安定ゾーンに入りこみます。

若気の至りで車高を下げたことのある人は説明がいらないと思いますが⋯⋯

理由は、揺動タイプのサスペンションは「車高と連動して」アームの角度が変わることです。

ロワーアームの延長線方向に力が伝わるので、地面に対して平行ならタイヤのグリップ力は車体に対して真横に、
アームがバンザイしていると車体に対して下方向にも力がかかります、つまり分力が発生して車体を押し下げます⋯⋯
逆に下反角が付いていれば車体を持ち上げる力が発生します。

アームがバンザイしていて車体を押し下げる力が発生すると、その力は横Gに応じたバネのたわみ量に追加されるのでさらに深くロールします。

バンザイの角度が大きければ比例して分力も大きく、そこからロールが進行していくと更にアーム角がつくのでセルフロールとなってロールスピードが速くなります。

これが、車高を下げると何割も何倍も固いバネを選択せざるを得ない理由です。

当然ながら過剰な減衰値が必要になり、ゴムでできたタイヤがついててよかったと思わせる乗り心地になります。

今回のように柔らかいバネと快適な減衰値で走りをまとめるには、横Gを受けた時のアーム角に着目して、
ジャッキダウン力の発生の少ない領域を使ってサスペンションのロール剛性を味方につける必要があります。

つづく