クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

車軸式サスペンション

2020-11-30 14:37:00 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
前モデルまで「リジットアクスル」だったリヤサスペンションがマルチリンクに変わったクルマがやってきました。

その独立縣架の一つであるマルチリンクはネーミングからして何やら優秀なモノをイメージさせるのですが⋯

たしかにリジットアクスル「車軸式」はデファレンシャルギヤが一体化して動くので、ドタバタするイメージがあります。

しかしマルチリンクといえど一輪当たり50kg〜70kgの目方があります。

仮に左右輪が同相で目地を通過すれば100kg〜140kg前後のバネ下が暴れることになります。

このシーンでリジットアクスルとマルチリンクで大きな差があるとは思えません。

では考え方をタイヤの支持剛性にしたらどうなるでしょうか。

ハブベアリングまでは同じとして、ベアリングを支えているナックルアームをマルチリンクは
ゴムブッシュを介してサブフレーム→車体に繋げます。

ナックルアームは丁度手のひらを目一杯開いたときの大きさです。

ホイールの内側に収まってアームが揺動する余裕が必要なので大体こんなもんです。

各指の先にリンクが繋がって、手の甲にハブベアリングがあってタイヤが回転しているイメージです。
基本的にマルチリンクの数だけゴムブッシュがあります。

タイヤ半径の長さのテコ棒の入力に対して、数百キロ×テコ比で増幅された荷重が手のひらにかかるので、
ブッシュがつぶれてタイヤが(車体が)グラつきます。

それに対してリジットアクスルはハブベアリングをホーシングと呼ばれる左右輪を繋ぐ
丈夫な金属のケースで支えているので、タイヤ支持剛性は格段に高いと言えます。
ゴムで支えるのと金属で支えるのとの違いです。

左右輪がお互いを支持して一体化しているのでトレッド変化が皆無なこと⋯
これで真っ直ぐ走ります。

タテにもヨコにも揺れるマルチリンクに対してリジットアクスルはタテの揺れだけなので乗り心地が快適です。

クルマのオーナー氏曰く真っ直ぐ走っている時に落ち着きがない⋯

そう思ってディーラーでアライメントを診てもらったけど、返事は問題ないです。

真っ直ぐ走り、タテ揺れだけの快適な乗り心地のリジットアクスルの有り難みは、マルチリンク車に乗るとよくわかります。