クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ポロGTIの場合

2017-09-08 13:10:38 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
ホイール径を17J→16Jに替えられている以外は純正サスペンションの「VWポロGTI」が入庫してきました。

乗り心地で気になるところが⋯

試乗の印象は、路面の凸凹の大半はうまくいなしてくれるのですが時々気になる振動が含まれています。
特に後席の乗り心地がやんわりとした上下動ではなく、上下ストロークの中にコツンコツンと軽くブレーキをかけるようなショックがあり、
この「小コツ」が乗り心地全体の印象に影響しているようです。

後席の乗り心地といってもフロントサスペンションの影響も受けるので、やはり全体を見ていく必要があります。
乗り心地はサスペンションストロークに依存しているのでまずはそこからチェックしていきます。

静的寸法と動的寸法⋯と書くとややこしいのですが、バネとか減衰値を硬くしていくと動かない足「動的ストローク」が短いと考えることができます。
乗り心地が硬くなる、あるいは不快な方向です。

これの元になっているのが機械寸法です。例えば縮みストロークが極端に短かったりすると底突きして強いGが発生します。
なので持ち合わせているストロークを伸びと縮みでどのような分配にするか、
つまりは車高をどの位置にセットするのがいいのかといった考え方です。

アライメントリフトに乗せていつもの身体チェックから始めます。

フロントロワーアーム高さはマイナス5mm(バンザイしている上反角状態)1Gー0Gのホイールストロークが105mm。

2名乗車で車高はさらに12〜13mm下がります。
そうなるとロワーアーム高さはマイナス17mm、1Gー0Gのホイールストロークは117mmとなります。

次にショックストロークとの関係をみます。
ホイールストローク(1として)ショックストロークは(0.9)のレバー比で動くので117mm×0.9は105mm。

ストラットのストローク寸法は148mm(伸びきりから縮みきりまでの可動量)なので、148mmから1Gー0Gの105mmを引きます。
これはジャッキアップしてタイヤがだらんと釣り下がったところから、ジャッキを外して地面に降ろした姿勢までのショックストロークです。
残りのストロークは43mm。

現在の車高から足が伸びる方向に105mm、縮む方向に43mmの分配だということがわかります。

フロントストラットの148mmストロークの中にはバンプラバーが組み込まれていて、伸びきり時のバンプラバー先端からタッチ開始までのストロークが105mm。

ちょうど2名乗車時の1G姿勢の時が105mmストロークしている位置なので、ゼロタッチポイント(押し付けてはいないが触れている状態)にバンプラバーが待機していることがわかります。

縮み方向には常時バンプラバーをつぶしながらストロークすることになるので、入力(ストローク寸法)が大きくなればバンプラバー硬さの影響を受けます。

凸にフロントが乗り上げるとピッチングモーションのきっかけを生み、車体リヤが沈み込む方向の入力を受けつつ凸を通過するので
⋯⋯特に後席の乗り心地がやんわりとした上下動ではなく、の理由が見えてきます。


続く・・・