クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

学生フォーミュラ フォーミュラSAE シャシー剛性 フレーム剛性 測定 1

2018-01-11 10:39:49 | イベントレポート
少し前に、都内で開かれた学生フォーミュラの技術交流会に顔を出してきました。

会は朝からスタートして丸々一日のスケジュール、私が会場に入ったのは夕方近く。

あらかじめ各大学から質問が出されていて、それに他の大学から回答する、あるいはアドバイザーからの意見などで会が進みます。

例えば・・・最近大きなスポイラー&ウイングをつけたクルマを見かけます、どれくらいの効果があるのか具体的なデータが知りたい⋯⋯

するとどこかの大学の代表が、60km/hでダウンフォース60kgfの計算値があります。
タイムへの寄与はコンマ8秒ほど⋯⋯ではないかと。

さらに・・・シャシー剛性の測定方法と、どれくらいの剛性があればいいのか具体的な数値が知りたい⋯⋯

この質問の答えは会場から出ませんでした。

おそらくですが、今回の交流会に参加していた大学はボディー剛性の測定をやっていないか、やったことはあるが自信が無い、そんな雰囲気を感じました。

ここでアドバイザーの方がマイクを取り、放った言葉が「自分たちで考えなさい」「ここで説明してしまうとあなたたちのためになりません」⋯⋯。

アドバイザーの立ち位置を考えると正しい回答かもと一瞬思ったのですが、質問した学生だってなにも調べないできたとは思えません⋯⋯パソコンのキーを数回叩くことぐらいやったでしょう。

どの大学からも回答が出なかったということは、シャシー剛性を扱う技術が備わったいないことになり、国内学生フォーミュラの技術レベルがそこまでであるとも言えます。

多くの大学が一堂に会して技術交流会を開く理由は、全体の技術レベル向上を目指してのこと。

迷っているのだから、その入り口に立てるくらいまでは教授しても良いのでは⋯⋯大人なんだから。

実際問題、測定方法を口頭で説明したとしても、やったことのない人が理解するのは難しいはずです。

さらに数値となるとその考え方も含めて厄介。

それは、シャシー剛性を「走りの性能」とどう結びつければいいのか、何をもって判断するかといったことです。

一つの目安になることは確かですが、数値だけが一人歩きして肝心なことを見逃すことも考えられます。

確かな数値の扱い方としては、昨年度のマシンと今年のマシンの横比較があります。

同じ計測方法で出した数値なら問題なく使えます。

続く⋯⋯



浅間火山耐久レース 2017 最終戦

2017-11-14 13:44:27 | イベントレポート
2017年の最終戦が12日にありました。
我がチームはロワーアームの破損などあったものの完走。
クラス優勝とシリーズチャンピオンも。

振り返れば、今年もレース中にいろんなトラブルが起きました。

一つには、市販状態のままのショックアブソーバだと五時間持たないというのがこれまで走らせてきた結論。
他チームのトラブルを見てもショックアブソーバに起因するものが大半です。

ショックアブソーバのダンピング機能が失われると、でこぼこを通過するたびに底付きとフルリバウンド(伸びきり)を繰り返し、
その度にボディーなりサスペンションの構成パーツが過度な衝撃を受けます。

するとロワーアームのボールジョイントのピンが折れたり、
ストラットの取り付けボルトが緩む→ボルトの脱落→ストラットが外れる→ドライブシャフトが抜ける。

ストラットタワーが根こそぎスポット剥がれを起こしてリタイヤとか、トップマウントが突き抜けて⋯⋯などなど軽四輪には過酷な状況になります。

そこで別タンク式と呼ばれるリザーバータンクをショックアブソーバの外に持つタイプに改造。
キャビテーション対策と油量を増やすことで温度上昇も抑えられます。
(改造後は市販品に対して3.5倍のオイル容量になっています)

これで、キャビテーションの心配が無くなって5時間の走行に耐えられるようになりました。

もちろんビビオの丈夫なボディーがあっての話ですが⋯


浅間火山耐久レース 2017 第2戦

2017-06-05 10:40:14 | イベントレポート
雪で第1戦は中止。
今シーズンの始まりは第2戦から。
15台が参加、我々が参加したオープンクラスは一台。
敵なしなのでゴールすればクラス優勝⋯⋯だったのですが、スタートするまでこのことを知らず。
当日朝に最終受付をしてエントリーの実態がわかり、エントラントとゼッケンが判明するのは競技がスタートした後だからです。

9時45分あたりから5時間レーススタート。
いつもなら開始直後の一時間は路面がきれいでラップタイムも速く周回数が一番多いはずなのにすぐに赤旗。
転倒車、クラッシュが続き、その後もまんべんなく赤旗⋯⋯

今回の浅間火山耐久レースを見学に来られた二人に、
転倒してひび割れたままのフロントガラスで走っている(オフィシャルに安全を確認してもらってからですが)ボコボコのクルマの印象はどう映ったことか、
それも一台や二台ではなく。
時間が経つにつれ足回りのトラブルが増え始め、フロントタイヤがあらぬ方向に向いたクルマが引きずられてきます。
こういった場合ドライブシャフトがミッションの出口のところからすっぽ抜けて泥だらけ。
大概⋯⋯



さながら軽自動車破壊レース、又は壊さないウンテン大会は、各車の弱いところ確認できますレースのようなものでもありました。
どのクルマだったかリヤラテラルリンクが座屈して破断⋯⋯そのクルマを見たオフィシャルが、あと少しだからそのまま走れ・・・
もちろんユックリですが走らせてゴールしました。

我々はクラス優勝、総合で2位、トラブルなし(出ず?出さず?)
昨年まで我チームのドライバーだった人が新たに大学生チームを率いて参加。
そちらはクラス2位総合3位、壊さない、かと言って遅いわけではない素晴らしい闘いぶり。

美味しい「レタス」を賞品でいただきました。











お持ち帰り

2017-05-15 10:17:21 | イベントレポート
ニュートンブレーキday参加者に現役のF-3ドライバーがいました。

彼は座学を受けるその日まで四つのラインのことを知りませんでした。
座学を受けた後もピンときません、同乗走行でやっとそんなことがあることを知ります。

その次週の全日本F-3選手権富士Rd、2レース制の1レース目の雨の予選でクラス2位。
2レース目の予選はさらに雨足が強くなり他のドライバーがタイムを伸ばせないでいるの中、
タイムアップ、2位に1.5秒差のトップタイム。

その日の雨の決勝レースは2位。
翌日のドライコンディションの中のレースは2位に大きく差をつけて今期初優勝。

練習会メニューの「何か」を持ち帰り、それが翌週のレースに生かされた⋯⋯

ドライバー本人よりもなんたってお父さんがニコニコ。

そのお父さんに決勝レースの朝ご挨拶した折『息子から、とても良い練習会だったと聞きました』と。

練習会に参加してもその場かぎり(その日限り)で終わるケースと、何かに気がついて自分のものにする、今回のドライバーは後者。

*長谷川綾哉F-3Nクラスです。






ラリーモンテカルロ ヒストリック 

2017-04-22 23:46:58 | イベントレポート
東京大学のヒストリックラリープロジェクトにスバルff-1(1300G)が駆り出されることになりました。

ヨーロッパの治安に左右される懸念はあるものの、来年のラリーモンテカルロヒストリックにエントリーの予定です。

車両受け渡しが迫っているので、天日干しと室内清掃を行ないました。

無事に戻ってきても対面できるのは二年半後(二シーズン使用予定)

50うん年の歳月を経て海外ラリーに連れて行かれるとは⋯⋯ff-1も驚いているに違いありません。

クルマの運命って分からないものです。


春を告げる板金ハンマーの音

2017-02-07 16:16:08 | イベントレポート
春の足音ではなく板金ハンマーの音から浅間火山耐久レースのシーズンイン。

といっても開幕戦までには少し時間があるのですが、昨年の古傷が残ったままの88号車を修復するところから作業スタートしました。

別途手に入れたビビオのインジェクション車をみると、左前がストラットタワー、サイドフレームまで歪んでいて、
大掛かりな修復作業となりそうなので一時保留⋯⋯

先ずは88号車に集中です。

ターマック&ダート

2016-11-22 10:53:07 | イベントレポート
朝一番は小雨と霧。

ウエットコンディションのミニサーキット(一周1.7km)から競技はスタート。

デミオ用にワンオフで仕立てたビルシュタインダンパーの具合をウオームアップ走行で確認、
ヘアピンコーナーの立ち上がりで内輪空転が出ます。
まだLSDが装着されていないのと、車高セッティングが今ひとつ……
ダンパーを組んだだけのにわか作りではしかたありません。

しかし、リヤの流れが落ち着いているので走りの組み立てはなんとかなりそうです。
ウオームアップ走行、ワントライ目、ツートライ目と様子を見ながらペースアップし、まずまずのタイム。

その後「オートテスト」このタイムも加算されます。
車庫入れは急ぐもんじゃないし……

お昼休みを挟んでダートコースに移動。
「鳥のもも肉炭火焼き」と「美味しいお米のおにぎり」が参加者全員のお昼ご飯。
皆でワイワイの時間はいいものです。

テクニックステージタカタを走るのは14年ぶり。

ターマックでは分からなかった限界挙動がダートコースに持ち込むとあからさまになります。

乗り心地もハンドリングも、車両運動の全てを拡大して見ることができるのがダートコースの特徴です。

と言うわけでデミオ用のビルシュタインダンパーのターマック&ダートのテストは無事に終了、
仲間も応援に駆けつけてくれて充実した秋の1日でした。







浅間火山耐久レース 2016 第五戦

2016-11-01 10:58:24 | イベントレポート
第五戦、二台エントリーして一台転倒!しかしリタイヤではなくそのまま走行。
成績はオープンクラス二位と三位、転倒車が二位!?でした。

シリーズ成績は全戦(五戦)参加した#99号車が優勝!
シリーズポイントは争っていたもう一台と同ポイントだったのですが、優勝回数で我々の勝ち。

雨が降ったら参加はやめよう……というのがチームの、いや私の中での決め事だったのですが、
一度小雨がさらっと降った程度で幸運にも晴れ続き。
なので今年は全戦参加が叶いました。

壊さない走りと、壊れないように工夫するクルマ作りがこのイベントのキモ。
速さを追求する前にこう言った下地作りが……

でも走りにしろクルマ作りにしろ具体的にどうする!

そこが面白いといえば面白い……のかな。

現地で森さんの知人が応援に見えました。

その方が自身のブログで浅間火山耐久レースの模様を紹介。
「KSvillage 軽井沢」で検索できます。
(#99号車#88号車がチームオリジナルボックス)



都市伝説?

2016-10-28 11:37:17 | イベントレポート
* 浅間仕様ビビオのリヤラテラルリンク フルピロ仕様です。


サスペンションにピロボールを入れると動きがナーバスになると聞いたことがあるんですけど……
と時々お客さんに聞かれます、真顔で。

誰が広めた話か知りませんが、都市伝説の一つです。

乗用車のサスペンションとゴムブッシュの組み合わせは、ごく当たり前の組み合わせと言えます。

ただし乗用車に限ってです。

最近になって、積載重量が予想できる範囲の2トントラックなどで、サスペンションにゴムブッシュが使われている例があるものの、
支える重量が大きい場合は金属ブッシュです。

ゴムブッシュに話を戻すと…ゴムブッシュはチカラを受けると、あるいはチカラを伝えるときに必ず変形します、すると支点となっている位置が動きます。
片方に押されても静かにしていれば問題は少ないのですが、大きい荷重を受けてブッシュが底付き状態になると、元に戻ろうとする力も大きく、
入力が少しでも変動すると、それに応じてブッシュもすかさず動きます。
というよりも暴れまわると言った方がいいかもしれません。

振動を吸収して静かな走行を実現してくれるのは確かですが、ブッシュが暴れまわることで、タイヤの位置決めが曖昧になることは否めません。

そこでゴムブッシュをピロボールに変換すると、支点のブレがなくなります。
設計者が図面に書いた通りに、タイヤがストロークします。

フルピロと言われる、ゴムブッシュを全てピロボール(スフェリカルボールジョイント)に変えたクルマを走らせると、
タイヤノイズとかはうるさくなるもの、ブルブルとかユサユサとかの忙しい揺れが一切なくなり、ダンパーの減衰感を感じられる「静かな揺れ」になります。

浅間火山耐久レース仕様のビビオを、富士スピードウェイの広場でシェークダウンした時の印象は、強烈な一撃を食らわすに十分な、あるいは夢にまで見そうな………これにナンバー付けて走りたい!状態でした。

フルピロはナーバス?

ビビオを試乗したメンバーにはおそらく笑い飛ばされるでしょう。





戦い前日

2016-10-27 11:22:15 | イベントレポート
 * タスマニアラリーを走ったレビンが来てます


今週末に浅間火山耐久レースの最終戦があります。

今回はビビオ二台でエントリー。

ドライバーは10名!

私はビビオ二台を運ぶキャリアカーのドライバー兼整備担当で会場に向かいます。

耐久レースも楽しみですが、前日に別の楽しみがあります。

「スバルff-1」を見に寄り道していくことです。

ff-1のオーナーは車体以外にも今となっては手に入らない貴重なパーツを沢山ストックされているとのことなので⋯⋯見せてもらうのが楽しみです。

その後宿に入って、近くのレストランでいつものように夕食。

今週末の天気は良さそうだけど、時期的に山の上は冷えるかも。

ドライブがてら応援にでも行こうか、という方歓迎します。

会場が分かりづらいかもしれませんが、そこは鼻を聞かせて会場探しをしてください。

入場料もパスも不要です。