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【外見と内面が全く違う人民元の異様】中国は世界金融の覇者にはなれない⑥

2015-04-21 00:01:18 | アジア

(前回からの続き)

 それにしても人民元は異様な通貨だと思います。「外」からみると・・・貿易黒字額(2013年:約3600億ドル)、外貨準備高(同:約3.85兆ドル)のいずれも世界一の中国の通貨だから当然、強含みな印象を受けます。当局の介入等により現在こそ実質的なドルペッグになっていますが、これがなければドルや円などの外貨に対してかなりの程度、切り上がっていくように思えます。

 その一方「内」からみると・・・人民元は爆発的に(?)増刷され、外貨に対して大きく切り下がりそうな気配を感じます。今後、地方政府等が借金返済に行き詰まった場合、そのデフォルトが引き起こす混乱や体制動揺を恐れる中央政府が地方に代わって債務保証をするようなケースが頻発するとみているからです。で、その際の資金は、ドル債を売却するなどして市中から調達されたものではなく、中国人民銀行(中央銀行)がコッソリ刷った(?)資産の裏付けのないおカネになるような気が・・・。そんなことが繰り返されていくうちに中国内ではインフレがひどくなり、通貨の価値が低下していくことに・・・。

 中国の会計検査院の検査によると、2013年6月時点の全政府債務30兆元あまりのうち、地方政府分は約18兆元(1ドル6元として約3兆ドル・・・)となっています。さすがにこのすべての弁済を中央政府がする羽目に陥ることはないでしょうが、中国各地に点在する「鬼城」(ゴーストタウン:地方政府等が多額資金を投入して開発したものの失敗に終わったプロジェクトの廃墟)の惨状を眺めていると、この先、これらのかなりの部分を「匿名筋」という名の当局由来のマネーが肩代わりするのだろうな~と予感せざるを得ません。

 19日には中国人民銀行が預金準備率を1%引き下げました。ということは・・・その1%分に相当するマネーが、より利回りの大きな地方政府の債券等に流れることを中央当局は期待しているのでしょう。まあ地方は資金調達が楽になりそうですが、一方でこれは怪しいプロジェクト乱立など、地方等のバブル膨張リスクとそのデフォルトリスクをますます高めることにつながるわけで・・・。その分、国内には人民元紙幣が溢れ返って・・・

 外面(そとづら)と内面(うちづら)がまったく違う―――まるでどこかの〇〇みたいな(?)人民元のこうした異常性を象徴するのはやはり中国における「ゴールド)」人気でしょう。香港政府統計局のデータによれば、2013年の中国の金の輸入量(香港経由)は1158トンと前年比で2倍以上に増加したそうです。香港経由1年分だけで日本の金準備(約765トン)を軽く上回る量だから、他ルート輸入分とか自国産出分を合算した中国全体の金の増分はいったいどれくらいなのか(中国は金輸入の公式データを明らかにしていない)・・・? とにかく、この瞬間も中国内で金塊が着々と積み上がっているのは間違いのないところ・・・。

 で、もし通貨が信頼性を保っているのなら、その発行国の国民は何も資産を金で持たなくてもいいはず。その通貨建ての預貯金をしておけば実質金利(=名目金利―インフレ率)はプラスとなり、利息を生まない金よりも資産形成上、有利だからです。このあたりはサブプライム・ローン・バブル崩壊~アベノミクス開始直前期の日本がその典型例です(この間、世界の趨勢に反して日本人の多くは金を売ってキャッシュ[円]に換えた)。さらにいえば、上記のように人民元は世界一の貿易黒字国&外貨準備国の通貨ですから、放っておいても(キャッシュでも)その実質価値の増え方の速さは世界一かもしれない・・・。

 それでも人々は人民元を金に交換しようと今日も金の購入窓口に並んでいるわけです。つまりそういうこと―――外見の良さとは裏腹に、人民元がボロい通貨=(超?)インフレ通貨だということを皆、よく知っているということなのでしょう。人民元は当てにできない、だから彼ら彼女らはインフレに強い資産No.1の金を選好する―――これこそ人民元に一番近いところにいる中国人の正直な「人民元」観の反映だと思っています。

(続く)

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