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【大半の生活財を輸入に頼る新興国に欠かせないのが、ドル】北朝鮮の猛反発に見る「決め手は通貨」③

2020-06-29 00:02:40 | 世界共通

前回からの続き)

 前回までに綴った、このたびの北朝鮮の韓国等に対する外交姿勢の硬化は、同国の外貨準備・・・というか手持ちの米ドルの減少が止まらないことの焦りの表れといえるでしょう。そのあたり、韓国に厳しく当たることでアメリカを引っ張り出し、経済制裁の緩和―――ドルへのアクセスの回復―――を要求しようという、相変わらずの瀬戸際作戦ということなのでしょうか?

 ということで、そんな北朝鮮を見るにつけても、この手の国においては、やはり決め手は国際決済通貨としてのドルなのだな、ということをあらためて感じさせられます。つまり、国家国民が必要とする物資の大半を外国に依存している北朝鮮のような国≒新興国は、これらを買うためのドルが絶対に欠かせない、といったようなことです。まあ同国の最大の貿易相手は中国だから、人民元があればメイド・イン・チャイナは購入できるのでしょうが、以前から論じているとおり、人民元は「疑似ドル」すなわちドルにその信認を裏付けてもらっているわけで、その意味では人民元よりもドルのほうが明らかに価値が上です。よって北の人々にとって脱北者に風船で飛ばしてもらうのは、何といってもドルがありがたいでしょう。いっぽうの人民元はないよりはマシ、といったあたりでしょうか・・・(?)

 同じことは、これまたアメリカ(ドナルド・トランプ政権)の一方的な?経済制裁に苦しめられているイランについてもいえそうです。先日の韓国メディアの報道によれば、イラン政府は現在、韓国に対して、韓国内の銀行に開設されたイラン中央銀行の口座の凍結解除を求めているとのこと。この口座には韓国がイラン産原油の輸入料金として支払った数十億ドルが預けられているとのことですが、アメリカの対イラン制裁の一環として韓国がこれを凍結する措置をとっているため、イランはこのドルを手にすることができず、ゆえに当該凍結された金額に等しい外国財を購入できなくなっているようです。

 (石油・天然ガスを売れるだけ北朝鮮よりはマシとはいえ)イランもまた北朝鮮などと同じく、生活必需品などの大半を外国からの輸入に頼っていて、それらの購入にはドルが必要です。それに同国はいま(一時ほどではないようではあるのもの、)新型コロナウイルス感染拡大にともなう外国産医薬品等の調達ニーズが高まっているとみられ、その意味でもドルが引き出せないのは苦しいところでしょう。イラン国民は当然、この口座凍結を韓国等にやらせたアメリカを恨むのでしょうが、だからといって、こちらの記事に書いた事情などから中国やロシアなどはイランの味方には必ずしもなってはくれないこともあり、結局、自分たちはそのアメリカの通貨にこうしてすがるしかないというトホホさもまた痛感するところでしょう(?)。このへんはアメリカと戦争状態にある(現在休戦中)にもかかわらず、ドル札がぶら下げられた風船が自分のところに飛んでくるのを待ちわびる北朝鮮の人々の心情と同じです(?)。

 なお韓国は、本心ではイランに対して上記措置をしたくはなかったものと思われます。イランは韓国にとって重要な石油輸入先のひとつだからです。ですが・・・韓国としてはアメリカの、イラン制裁に協力・同調せよ、みたいな指示に逆らうことは、(とくにいまのタイミングでは)できないのでしょう。北朝鮮が上記のような感じですからね・・・

(続く)

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