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【ルノーには日産の「子会社化」しかない?】ルノーは日産を手放すのか④

2013-11-17 00:03:09 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前回までに書いたとおり、ルノーは非常に厳しい状況に追い詰められてしまった感じです。どうしたらよいのでしょうか・・・。

 そこで考えられる策のひとつが、本稿のタイトルにあるように、手持ちの日産株の売却です。1999年、ルノーは日産を傘下におさめるために66億ユーロを投じました。現在、ルノーが持つ日産株は発行済み株式の43.4%、時価総額はおよそ136億ユーロ(約1.8兆円)ほどになります。かりにルノーがこれら全数を売れば70億ユーロ(9100億円超)もの売却益を手にすることができる計算になります。このお金を元手に経営再建を・・・といった想定も可能かもしれませんが・・・。

 しかしこれではルノーの未来はまったく見えなくなります。なぜならいま日産株を手放してしまったら、ルノーは日産から得ていた配当収入も、高い生産技術も、そして日産車を自社工場で作らせてもらう機会も、何もかも失ってしまうからです。そんなことをしたら、他の自動車メーカーと比べて車作りの「強み」を何も持っていないルノーはジリ貧必至です・・・。

 で、ルノーにとってもっと現実的で有効な手は、日産の「子会社化ではなかろうか、などと考えています。つまり、日産株をあと7%ほど買い増して所有率を50%超へ持っていくというもの。こうすればルノーは日産の経営権を得ることになり、もっと自由に日産の事業に介入できるようになるはずです。本国フランスの雇用を守るため、日本などにある日産の生産ラインを稼働率が低迷する自社工場に移管させることや、日産が持つさまざまな技術とか特許を(産業スパイ行為を通じて、などではなく)堂々と中国企業に売却する、なんてこともできるようになるかもしれません・・・。

 現在の株価(11/15終値924円)で計算すると日産株7%分の金額は2900億円ほど。経営不振に陥っているルノーにそんな大金を出せるわけはないでしょう。そこで登場するのがルノーに15%出資するフランス政府だったりして。社会主義色の強い(?)現オラント政権が日産の子会社化を推進するようルノーに働きかけて資金援助するかも。さらに「買収してください」と言わんばかりに「アベノミクス」がユーロ高円安を演出しているわけだし・・・。心配性の私はそんな懸念を抱いています。どうか杞憂に終わりますように・・・。

 ・・・といったことを含め、苦境にあえぐルノーがパートナーの日産に対してこのさき、何らかの大胆なアクションを取ることは避けがたいだろうと予想しています。日産はルノー工場での日産車の生産拡大とか韓国等の海外事業への協力などをさらに求められそう。これらの多くは日産の生産性、ひいては日産の企業価値を低下させるおそれが高いもので、日産の経営陣としてはあまり深入りしたくないのが本音でしょう。このあたり、大株主ルノーの過剰な(?)要求と日産自らの利益確保とをどうバランスさせるのか―――14年もの長きにわたって日産に君臨するカルロス・ゴーン氏の経営手腕が問われるのは、本当はこれからなのかもしれない、と思っています。

(「ルノーは日産を手放すのか」おわり)


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