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【ルノーの時価総額の3/4は「日産株」・・・】ルノーは日産を手放すのか③

2013-11-15 00:02:49 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 直近のルノーの業績は近年にないほどの落ち込みとなった2012年と比べてさらに悪化しています。日経新聞によれば、今年1~6月期の純利益は9700万ユーロと、昨年同期の7.7億ユーロから激減しています。昨年と同様、地元の欧州での販売が低迷したほか、韓国の合弁プロジェクトであるルノー・サムスンの経営不振が響いたもようです。

 そんな落ち目のルノーにとっては、いまや同社グループ傘下の日産だけが頼りといったところではないでしょうか。前回書いたように、すでにルノーは日産に対して稼働率が低いルノーの工場で日産車を生産させようとしているほか、日産から電気自動車(EV)関連をはじめとするさまざまな技術供与等をしてもらっています。

 そしてお金の面でも・・・。ルノーは日産の発行済み株式の約43%を保有してます。ここから得られる年間の配当金額は600億円近くになると思われます(今年度の日産の1株当たりの配当予定額「30円」で計算)。これは本業での売り上げや利益が落ち込んでいるいまのルノーにとってはとても貴重な収入でしょう。もし日産がもたらす配当金が無かったとしたら、今年上半期の黒字確保は難しかったかもしれません。

 さらに、日産株の取得時からの価格上昇がルノーの財務改善に大きく寄与しています。ルノーが所有する日産株の時価評価額は1.8兆円ほどの金額になります。ルノーにとっては66億ユーロの日産への投資が2倍以上(約136億ユーロ)にもなったわけで、この出資は大成功だったといえるでしょう。「あのとき(1999年)日産株を買っておいて本当によかった~」いまルノーの幹部はそんなふうに感じているのではないでしょうか。

 ところで、先日書いたように、現在のルノーの時価総額は2.3兆円(約180億ユーロ)くらい。そしてルノーが持つ日産株の評価額は約1.8兆円―――ということは、投資家はルノーの資産価値の3/4以上は日産株が占めていて、それ以外のルノー本体およびルノーの海外事業等の合計の価格は全体の1/4以下、日本円で5700億円程度の価値しかない、と判断しているということなのでしょうか・・・? 個人的には「そういうことなのだろう。いまのルノーと日産を比べれば・・・」と思っています。マーケットは、ルノー・日産アライアンスとは、実質的には「ルノーの皮をかぶった日産」といった見方をしている、といった感じでしょうか・・・。

 自動車メーカーとして販売台数がフランスで第1位、欧州全体で第2位(いずれも2012年)、そしてフランス政府が出資する国策会社でもあるルノーの市場価値は、所有する日産株を除いてしまうと、年間の販売台数が100万台あまり、時価総額で日本で6番目の自動車メーカーである三菱自動車(7000億円弱)にも及ばない・・・。それほどにルノーは落ちぶれたと見るべきか、日産が立ち直ったというべきか・・・。まあ両方なのでしょうね・・・。

続く


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