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【中「国家安全法」、米「law & order」ともに富裕層を守るのが目的】米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない⑪

2020-06-21 00:03:00 | 世界共通

前回からの続き)

 ご存じのように米中両国はいま、それぞれ以下の人権にかかわる問題に揺れているところです

 中国では先般、「国家安全法」が成立し、これによって香港が享受する「一国二制度」が北京政府によって大きく制限されていくのでは、といった懸念が高まっています。これ、本稿の文脈に沿っていえば、このまま香港の民主化進展を放置したら、やがてそのうねりが中国本土にも波及して民主化、すなわち共産党幹部らにとっては自分たちのマネーの独占体制が動揺する事態になりかねないことを意味します。そこで特権階級としては、こうした自身らの権益を危険にさらす事態を招き得る香港の民主化を何としても封じる必要が出てくるわけで、その策が今回の法制定ということになるのでしょう。彼ら彼女らにとっては中華人民共和国なる「国家」が「安全」ということはそういうこと、つまり自分たちの資産や地位が安泰であってはじめて「安全」だという意味なわけで・・・

 アメリカはご存じ反人種差別ムーブメントです。これについて現在、米ドナルド・トランプ大統領はしきりに「law and order」(法と秩序)を口にしたり、ツィートしたりしています。すでに伝えられているとおり、これ、20世紀後半、トランプ氏と同じ共和党のリチャード・ニクソン氏が大統領選で多用した言葉です。このたびの反人種差別運動の高まりのなか、トランプ氏が人種間の融和を訴える代わりに(?)、このワードを繰り出しているということは、ニクソン氏と同じように、当時の反戦運動にウンザリしていた人々≒今日の上記運動に嫌気する人々、つまり白人層の支持を得たいため、という面もあろうかと思われます(?)。

 でその白人層とは・・・上述のリッチ階級、ということで、反差別が反格差に転化し、資産課税強化など、自分たちの資産が減額等させられるような展開になることを恐れているはず。よって、ここは、上記運動がそうした過激(?)な方向に行かないよう、いまの秩序(order)が守られてほしいわけで、よって今秋の大統領選はそのあたりを訴えるトランプ氏に!となることを期待したうえでの同氏の「law and order」なのだろうと推測されるところです(?)。

 以上のように、米中両国がいま直面している上記の人権に関する問題は、本質的には前述のマネー格差に根差したもの。よって、この問題解決に向けた民主化推進とか格差是正策は、両国リッチ層にとってはその資産や地位のかなりを非リッチ層に持っていかれてしまうことになるわけですから、何としてもこれらを阻止したいところ。そのあたりの一例が、中国の場合は「国家安全法」、アメリカの場合は「law and order」なのだと理解しています。いずれも真のねらいは・・・富裕層の資産と権力を守る、というものなのでしょう(?)。

(続く)

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