(前回からの続き)
前回書いたように、現在、中国政府によって導入が進められている「社会信用システム」(全国民の行動等をスコア付けし、そのランクに応じてメリット(入学、就職、昇進の便宜等)やデメリット(左記の逆)を付与等するシステム)は、国民の道徳心の向上のため・・・なんぞではけっしてなく、同政府の国民統治の強化に向けたシステムとみて間違いないでしょう。
実際、この中には、先述のとおり、ソーシャルメディアで政府を称賛すれば加点、他方で反政府的な投稿をすると減点、などと、露骨すぎるくらい「政府をヨイショしろ!」的な評価項目がいくつも並んでいることから、まあそういうことと理解しています。こうして中国政府は、良い言動(って、つまり現体制礼賛)をするといろいろトクするよ、とインセンティブを与えることで国民に対して体制にいっそう従順になるよう仕向けるいっぽう、逆(体制批判等)をするとソンするよ、とやって反体制的な考えや行動を抑え込むことを狙っている・・・のでしょうね・・・
そしてもちろん中国政府は、国民すべてのインターネットでの通信・通話や買い物等の状況を監視下に置いているものと思われます。そして金融機関等を介してクレジットや債務支払い履歴等、さらには(おそらく)街の監視カメラ等を通じて素行なども。でなければ上記のスコアリングなんてできませんからね。ということで中国人民は、日ごろの言動やおカネの受け取り・支払いなどを逐一、お上(共産党政府)に覗かれていることになります。そこで「政府のコロナ対策は・・・」などと、ちょっとでも政策にケチでもつけようものなら、ホント政府に何をされるか分かったものではないでしょう。そのあたりは、システムのAI的・客観的な評価・・・ではなくシステムを担当する共産党役人の主観的な評価、って気分次第(?)でしょうから、なおさらアブない感じがしますが・・・
・・・って、このシステムで個人的に驚かされるのは、じつはこのこと―――中国政府が体制維持・国民監視目的でこれを導入したであろうこと―――ではありません、かの国(のような専制独裁国家)では当然のように予想されることですからね。そうではなく・・・これが大きな批判等もなく実際に機能しているところ等から、相当数の国民がこのシステムを受け入れ、むしろ積極的に協力している様子すら窺えるところです。この点、自身のプライバシーも含めて何もかもが政府に監視(のぞき見?)されているにもかかわらず、なぜ少なからぬ中国人民は、そんなヤバいシステムを許容するのか、ですが・・・
・・・つまり彼ら彼女ら一般国民もまた、政府役人と同様、「反体制派」を恐れているから、ではないか。そしてその反体制派とは・・・中国の経済発展から取り残されて低所得と貧困にあえぐ数億人(!?)もの人々、すなわち農民と「農民工」・・・