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「さとり(差取り)」に向かう世界⑤(韓国編その2)

2013-01-11 00:01:49 | アジア

(前回からの続き)

 実際、イギリスの租税回避地(タックスヘイブン)反対運動団体「租税正義ネットワーク」が昨年発表した報告書によれば、1970年から2010年までに課税を逃れて韓国から海外のタックスヘイブンに移された資産は総額で約7800億ドルにのぼるとのことです。この規模は中国、ロシアに続く世界第3位で、2010年時点の韓国の対外債務額の2倍以上という巨大なもの。これはこの期間、「さとられたくない(差取られたくない)」韓国の富裕層が外国に資産を避難させた結果でしょう。このランキングで「さもありなん・・・」と感じさせる中ロ両国に次ぐ位置に韓国が入っている様子をみると、富の公正な配分という面に限れば、韓国は決して大韓「民国」などではなく、むしろどこかの専制国家に近いのではないか、という気さえしてきます。

 そしてそんなお金持ちの蓄財を擁護しようというのか(?)、本稿のアメリカ編でご紹介した「バフェット税」(年収100万ドル以上の富裕層に高い税率を課すもの)の導入について、李明博政権(今年2月まで)の企画財政部長官は、得るものよりも失うものが多い、として否定的な見解を示しています(2011年11月)。このあたり、「ビジネス・フレンドリー」を標榜する李政権は、独占的な財閥経営ばかりでなく、同経営者の個人的な金儲けにも「フレンドリー」というスタンスを取っているように感じられますね。

 その一方、優遇策を通じた財閥や特権階級の上記のような繁栄とは裏腹に、財閥以外の多くの企業や事業者の経営状態はますます厳しさを増し、財閥経営者やその幹部と一般勤労者との資産や所得の格差は拡大するばかり・・・。この間の為替政策(輸出に有利なようにウォン安を維持)にともなう高いインフレ率や家計債務の拡大などと合わせ、李大統領の財閥優遇策は格差拡大を助長して多くの国民をむしろ貧しくさせたといった批判が高まっていました。その結果として上述の「経済民主化」、具体的にはこの財閥優遇策をどこまで是正するかが昨年12月の大統領選の大きな争点となったものです

 そんな選挙の結果ですが、ご存知のとおり、急進的な財閥改革を訴えた文在寅氏をおさえ、これに慎重な姿勢を示した朴槿恵氏が勝利しました。とはいえ、得票率では51.6%対48%という僅差、しかも大票田のソウル地区は文氏のほうが最多得票となるなど、経済民主化」つまり「さとり(差取り)」を求める国民の切実な願いが反映されたものとなりました。

 この2月、韓国史上初の女性大統領となる朴氏が、そうした人々の期待を背に受けて、「さとられたくない(差取られたくない)」特権階級の権益にどこまで深く切り込んで、この「さとり(差取り)」の思いを政策として実現していけるのか、注目したいと思います。

(続く)


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