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【一帯一路、最大の目的は「ユーロ」を稼ぐこと?】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国②

2020-02-05 00:02:47 | アジア

前回からの続き)

 前回、中国が「一帯一路」構想を掲げて、かつてのシルクロードよろしく「西」を目指すのは、経済面でのアメリカへの過剰依存を改めるべく、これに並ぶ世界経済の極である欧州との連携を強めるため、といった見方を綴りました。もう少し具体的には、これによって欧州の産物(赤い貴族がお好みの?ブランド品)・・・よりもむしろ欧州連合(EU)の通貨「ユーロ」(ついでに少しばかりは?英国の「ポンド」)をさらに得ることが大きな狙い、ということだと思っています。よって両者間にある国々、すなわち陸路では中央アジア諸国、海路では南~西南アジア諸国などは、失礼ながらオマケみたいなものなのではないかと・・・

 このあたり、中国の貿易の現状を見ても想像ができるところです。同国の2018年の貿易総額(輸出・輸入の合計)は約4.6兆ドル。このうち対欧州(EU加盟28か国、以下同じ)は約6800億ドルで全体の14.8%、対アメリカは約6300億ドルと同13.7%です。つまり中国にとって欧州はアメリカ、ASEAN諸国(同12.7%)、日本(同7.1%)などを上回る最大の貿易相手になっています。

 これを貿易収支で見ると次のようになります。中国の同収支はトータルで約3500億ドルの黒字(世界一)です。これ国別では、やはり?対米黒字が3200億ドル余りと際立って大きいわけですが、対欧州の黒字額も約1272億ドルと、アメリカに次ぐスケールになっています(一方、韓国や日本、産油国や資源国との貿易収支は中国の入超となっている)。それだけ欧州は中国の重要な輸出市場だということになります(以上、数値はJETRO HP)。

 上記からも、いまの中国にとって、欧州がアメリカと並ぶパートナーになっていることが分かります。本稿の文脈に照らして、ここで強調されるべきは、欧州との貿易では決済通貨としてユーロが使われるであろう点です。これ、アメリカはもちろん産油国等を含めた欧州以外の各国との貿易では通常、米ドルがやりとりさせるのと大きく違います。つまり中国は、欧州貿易で(ドルではなく)せっせとユーロを稼いでいる、ということになりますね。

 上述、そして先日の記事でも書きましたが、中国は貿易および金融通貨制度をアメリカ・・・って、もっとはっきりいえばドルそして米国債に大きく依存しています。だからこそいまの発展があるという面もあるのでしょうが、他方でこのままだと中国はいつまでたってもアメリカの経済情勢や金融政策に縛られてしまうし、最悪、アメリカが中国を敵性国家などとみなして債務を履行しない、なんてことをしてこないとも限りません(・・・って、まずそれはありえないでしょう、そんなことをしたら中国は当然もはや米債務を引き受けないし、それでいちばん苦しむのは、ほかならぬアメリカですからね)。こうした不自由さやリスクから脱するために中国はドルへの依存度を下げなければなりませんが、そのドルにかわる現実的な選択肢が・・・ユーロ、というわけです。一帯一路の狙いはユーロのさらなる確保、というのはそのような意味です。

(続く)

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