世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【中国:すさまじき「r>g」で動乱は不可避?】ピケティ・ブーム~格差是正の契機に~⑤

2015-02-17 00:01:40 | アジア

(前回からの続き)

 先述したアメリカ以上にr>g」(資本収益率「r」が経済成長率「g」を圧倒的に上回って持続不可能な格差を生み出している状況)のすさまじさを見せつけている国が中国でしょう。

 本来ならば「平等」こそ最高の理念とすべき共産党の一党独裁が続く中国ですが、その実態は・・・ご存知のとおりです。たしかに毛沢東時代(1970年代半ばまで)には皆がそろって貧しいという意味での平等感があったのでしょうが、1980年代半ば以降の小平の「改革開放」以降、今日までの中国は、まさに同氏の「先富論」(「可能な者から先に豊かになれ。そして落伍した者を助けよ」:Wikipediaより)のとおりの社会になっています

 いや、違いますね。まあ前半はそのとおりになったけれど、後半―――落伍した者を豊かになった者は助けよ―――はとても実現したとはいい難いでしょう。その意味で、中国ほど「トリクルダウン仮説」なんて成り立たないことを如実に教えてくれる国はないと思っています。かくして一握りの富者はますます富み、99%の人々の所得や資産はなかなか増えず、両者の格差は拡大する一方・・・。

 そのあたりを示す例として「労働分配率」(生み出された価値のうちの労働者に還元された部分の割合)をあげることができると思います。中国の率は40%程度と、独仏等の欧州諸国の60~70%、アメリカや日本の60%台前半などと比べると極端に低くなっています。その一方、残りの60%(資本分配率)は特権階級(共産党幹部とか国営企業の経営者等)の取り分となっています。たしかこの国、プロレタリアート独裁(労働者階級)の国であって、ブルジョアジー(資本家階級)は「敵」なんじゃなかったっけ・・・?

 で、この赤い「資本家」たちに厚く分配された富は財産となって加速度的に、かつ世代を超えて増え続けていきます。なぜなら、中国では富裕層の資産所得等への税率が低い(一律20%程度)うえ、いまだに相続税が導入されていないからです。まさに「r>g」・・・。これではお金持ち、とくにその子息子女はウハウハですね・・・。

 いま中国の習近平政権は「反腐敗キャンペーン」を展開し、不正蓄財等に走る多くの共産党幹部や役人等を摘発し断罪しています。まあその志は評価できますが、これがかの国の経済的不均衡の抜本的な是正につながることはないでしょう。本気で中国が「平等」の理念を実現するためには、ピケティ氏が推奨する累進課税制度とか資産課税の導入・強化等が不可欠でしょうが、これは習氏を含む共産党という名の既得権益層の利益に真っ向反する仕組みだから、まず無理なはず・・・。

 結局、中国は3千年のカルマの歴史を繰り返すことになる―――一部の富者の理不尽な支配に耐えかねた大多数の人々(多くは農民)が蜂起、これを打倒しようとして国が乱れることになる―――のではないでしょうか。それが「王朝国家」中国の宿命だと思っています。

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【「アメリカン・ドリーム」... | トップ | 【格差大国に変貌しつつある... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア」カテゴリの最新記事