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中央銀行に頼る世界経済の行く末③

2012-06-27 00:00:57 | 世界共通

(前回からの続き)

 ここでは、日米欧の各中銀の金融政策の真の目的と効果の有無について、①わが国(日銀)、②アメリカ(FRB)、③欧州(ECB)として、個人的な解釈を含めてまとめてみたいと思います。次にFRB。

②アメリカ(FRB)

 FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和の真のねらいはズバリ「資産バブルよ、もう一度!だと思っています。

 つまり、金融緩和で低利資金を大量に市場に供給して株式市場や不動産市場を刺激し、これらの資産価値を高めることで、2007年の住宅バブル破裂から始まった逆資産効果に歯止めをかけるとともに、あわよくばこれらの資産の含み益の再拡大を図って新たな個人消費や投資を促そうというものです(逆資産効果とは、住宅などの資産の含み益が減るどころか、多くの場合、それらの時価が購入時の価格よりも下がって含み損が発生しているような状態のために消費や投資が抑えられることをいいます)。

 しかし、これも思惑通りにはいかないのではないかとみています。不動産や株式などの資産価値の大幅な上昇が期待できそうもないからです。

 まず不動産ですが、代表的な不動産関連指数であるケース・シラー住宅指数を見ると、2007年第1Qのピークの約190(2000年第1Qを100)から2011年第4Qは約130となっており、30%を超える大幅な低下。最近は下げ幅こそ小さくなってはきているものの、住宅価格は引き続き下降傾向を示しています。まだまだバブルの残滓があって適正な価格にまで下がりきっていないということでしょう。

 したがって、多くの不動産所有者にとっては、住宅価格の再上昇で含み益発生!どころか、いつになったら本当に下げ止まってくれるのか(含み損の拡大が止んでくれるのか)、と固唾を呑んで見守っている状況、といったあたりが正直なところなのではないでしょうか。

 そして株式市場のほうも何とも不透明な展開が続いています。今年に入ってからのダウ平均株価を見ると、12,000~13,000ドルのレンジを上下しています。一見すると住宅バブル時の高値約14,100ドル(2007年10月)に迫っているようにも感じられますが、現在の株価水準は、企業の本業の儲けなどを反映したものというよりは、アメリカ市場で盛んな自社株買いなどの操作によってかさ上げされているといったほうが実態に近い、といった指摘があります。

 今後、市場が待ち望む?FRBの量的緩和第3弾(QE3)などをきっかけに株価が上昇する可能性はありますが、これも市場にマネーが流れ込むだけで、企業のモノやサービスの売り上げ拡大や雇用増を直接的にサポートするものではないことなどから、この効力も一時的なものにとどまるだろうとみています。

 ほどなく、巨額に及ぶ未処理の不良債権や超危険なデリバティブなどをめぐって、大銀行や住宅公社などのアメリカ金融機関の財務に対する懸念がマーケットに広がり、欧州のソブリン危機拡大などをきっかけに、これらの金融株が主導するかたちで株価が下落していくものと予想しています。バンクオブアメリカやシティグループといった主要金融機関の株価が1年ほど前と比べて20~30%程度も下がっているのも不気味な感じです。

 ここでとくに注意しておきたいのは、長期間にわたってゼロインフレ(緩やかなデフレ)が続くわが国と違って、アメリカはインフレ率が高いこと。住宅バブル末期の2007年から2012年までの各年間の平均インフレ率は約2%(5年間の通算インフレ率は約10%)です。不動産価格も株価もこのインフレ率と同率で上昇していかなければ実質価値は目減りすることになってしまいます。

 だから5年も前(!)の価格と比べて「住宅価格が下げ止まった」とか「株価は史上最高値まであと1,000ドル」といったくらいではとても喜んでいられない、というのが実情でしょう(一部には、実際のアメリカのインフレ率はもっと高いのではないか、という説も根強いので、不動産価格や株価の本当の到達目標ラインははるかに高いでしょう・・・)。

 FRBは、資産価格の上昇をサポートしつつもインフレは抑えなければならない、という、きわめて難しい舵取りを迫られているといえそうです。

(続く)

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