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ギリシャの破綻が火をつける?金融デリバティブリスク①

2012-06-13 00:02:46 | ヨーロッパ

 世界中が注目するギリシャの国会議員再選挙が目前に迫ってきました。現地の最新の世論調査によれば、緊縮財政を堅持するとしている旧連立与党・新民主主義党と、脱・緊縮財政を主張する急進左派連合の支持率が拮抗しており、実際に開票してみるまではどちらが多数となるかは予断を許さない状況のようです。

 ところで、以前も書いたように、かりに急進左派連合が政権をとり、国際社会との約束を反故にして緊縮財政を放棄したら、普通に考えれば、ギリシャは金融市場からの資金調達が不可能となるばかりか、欧州中央銀行(ECB)などからの資金供給も断たれて、たちまち債務不履行(デフォルト)に追い込まれるでしょう。お金の貸し手である欧州連合(EU)諸国などからみれば、借りたお金をまともに返そうともしないギリシャに対し、「もう金は貸せるか!」と突っぱねるという、至極当然の行動をとるということです。

 ところが、この当たり前の対応がなかなかできないところがEU諸国の何ともなさけないところ。それどころか、本音では「ギリシャなんか仲間に入れなければよかった」と内心で後悔しつつ、ギリシャ同様の苦境にあるスペインなどはともかく、EUの大国フランスや、はてはEUの盟主ドイツにいたるまで、「ギリシャのEU残留を望む」などと言い出す始末・・・。

 その理由を急進左派連合のツィプラス党首のコメントに見て取れます。彼は「EUはギリシャを見捨てない。ギリシャがEUを離脱してデフォルトを宣言したらEU圏そのものが崩壊するからだ」といった趣旨の発言を繰り返しています。これはつまり「もっとわれわれに金を貸せ(限りなく「よこせ」に近い?)。さもないと『デフォルト』して欧州金融システムを破壊するぞ!」ということ。ほとんど脅迫に近いですね。

 まさにそのとおり。ギリシャがデフォルトしたら多くの欧州金融機関が経営危機に瀕し、欧州金融システムが瓦解してしまうおそれが一気に高まるでしょう。だからこそEU諸国はギリシャに対して「EUから出て行け!」といった毅然とした態度を示せないものと思われます。まるでPIIGS諸国債という名の火薬庫の前でデフォルトという名のダイナマイトを振り回すギリシャに対して何の手出しもできなくなっているかのようです。

 ギリシャの公的債務残高は約3500億ユーロ(約35兆円)(2011年)。ギリシャがデフォルトすればこれらの多くは返済されないこととなり、ギリシャ国債を持つ欧州金融機関の経営に大きな悪影響を与えるでしょう。これにより現時点(6月上旬)で欧州金融機関が被る損失は500億ユーロ近いと見積もられています。そしてすでに多くの同国債を引き受けているECBの資産は大きく毀損されるでしょう(ECBが保有するギリシャ国債は約4~500億ユーロと推定されています)。

 もっともEUのセイフティーネット(欧州安定メカニズム[ESM;7/1発足予定]の5000億ユーロ等)を活用すれば、この程度の金額(巨額には違いないが、スペイン・イタリア国債などと比べれば、という意味)であれば、一部の例外的なケースを除けば、破綻や過小資本に陥った銀行等にESMの資金を投入することなどで何とかしのげるかもしれません。

 しかし、国債の債務不履行だけにとどまりそうもないのがギリシャ危機の怖いところ。その最たる理由は、ギリシャが無秩序に(何らの[談合めいた?]事前調整等をすることなく)デフォルトしたらCDSの決済が発生するおそれがあるためです。

(続く)

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