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「円高」を考える:本当に「超」円高なのか?③

2012-06-03 00:01:03 | 日本

(前回からの続き)

 ところで、これまでもここでいろいろ書いてきたような理由から、今後は高い確率で円高外貨安(ドル安・ユーロ安)が進むものと予想しています。

 一方で、実質実効為替レートビッグマック指数でみたドル円レートは名目レートほどの円高ドル安にはならないだろうとみています。アメリカや欧州などのほうがわが国よりも物価上昇率が高いからです。

 具体例をあげてみましょう。たとえば、現在のドル円の為替レートが1ドル100円でアメリカのリンゴの価格が1ドルとします。その後、円高ドル安が続いて1年後には1ドル50円になったとします。まさに見た目には超円高です。しかしアメリカのほうでインフレが進んでリンゴが2ドルになっていれば、そのリンゴの円建ての価格は2ドル×50円/ドル=100円となり、円ベースでは1年前と同じ価格になります。

 さすがにここまで極端なことにはならないとは思いますが、実質的な為替レートを見るには、この例のように、名目のレートだけではなく、物価上昇率などもチェックが必要となります(ちなみに現在、わが国よりもアメリカのほうが物価上昇率が3%程度高くなっています)。

 つまり、名目レート上は「超円高」(=超ドル安)とか「歴史的な円高」(=歴史的なドル安)だからといって、輸入品が歴史的安値になったり、海外旅行でブランド品がチョー安く買えて、超ラッキー!ということになるとは限らないということです。

 そして、当然のことですが、政府・日銀には、こうした実質的な為替レートをふまえた判断に基づく各種の政策運営をしてもらいたいと願っています。実態ベースではそれほどの円高とはいえないのに、名目のレートでは超円高という理由で、頻繁に円売りドル買い為替介入や金融緩和を繰り返したら、それこそ無用な国富の喪失(巨額の為替差損の発生)や通貨価値の毀損・インフレを招いてしまう懸念があるためです。

 世界金融危機がいよいよ深刻化し、ドルやユーロが大量に増刷されて欧米諸国で激しいインフレが起こる可能性が高まっています。そうなればますます見た目の円高(外貨安)が進んでいくでしょう。

 そうしたなか、これからは「超円高」とか「歴史的円高」といった表現に惑わされることなく、実体経済や物価水準などを適切に反映した為替レートを冷静に見極める視点が(政府・日銀にも、そしてわたしたち一般市民にも)求められると思っています。

(「『円高』を考える:本当に『超』円高なのか?」おわり)

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