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「円高」を考える:円高は「悪」なのか?③

2012-06-09 00:01:08 | 日本

(前回からの続き)

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 本稿では、円高は本当に悪いことなのか? という問いに対する、

①現状では円高(ドル安)・円安(ドル高)それぞれにメリット・デメリットがあるが、
②一般論としては自国通貨が他国通貨よりも高いほうが有利かつ安全


という私的見解について論じています。
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 では反対に超通貨高のほうはどうでしょうか。

 上記①で述べたように、一般的にいえば、超通貨高になると輸入品の自国通貨建て価格が安くなるため、ガソリンや小麦などの生活必需品の価格が低いレベルに維持できるでしょう。他方、輸出産業の多くは価格競争力を失って廃業等を余儀なくされ、淘汰されていくかもしれません

 これをわが国に当てはめるとどうなるでしょうか。超円高のメリットはそのまま享受できるでしょう。一方で輸出ですが、たしかに、おもに価格だけで比較される商品・製品はキツイと思います。もっと限定した言い方をすれば、韓国勢とガチンコ勝負している一部の電機メーカーなどは大変かもしれません(こうした企業にとっては円高ドル安よりもむしろ円高ウォン安の方が重大事でしょう)。

 しかし、薄型テレビなどの一部の最終消費財(消費者が使う財)を除けば、各種電機製品などに組み込まれる基幹部品、さまざまな精密機械類、産業用ロボットなどなど、他国の追随を許さない、わが国の企業しか作ることができないような高品質・高性能の商品・製品群(資本財中間財と呼ばれる企業等が使う財など)は、たとえ外貨建ての価格が高くなってもなお世界中から必要とされていくでしょう。だから円高をものともせず、これからも多くの日本企業が引き続き世界市場でも売り上げを伸ばしていけると予想しています(ちなみに家電や自動車などの最終消費財の輸出額のわが国の全輸出額に占める割合は14~15%程度。そして80%近くが資本財・中間財となっています[データは2009年])。

 一方で低価格だけが売りの輸出に過度に依存した韓国や中国などのメーカーのなかには、これから本格化する欧米諸国のリセッションで一気に業績が落ち、厳しい状況に追い込まれるところもでてくるだろうとみています(GDPに占める輸出依存度は韓国が50%弱、中国が約30%と日本に比べて高くなっています)。

 もっとも、その気があれば超通貨高の是正は簡単にできます。希望する水準まで為替レートが下がるまで、自国通貨売り・外貨買い為替介入を行うのです。昨年以来、スイスはこの手法を用いて超通貨高の抑止に努めており、スイス中銀がスイスフラン高を阻止するため、1ユーロ=1.2フランの上限を設定し、それ以上にフラン高になる場合はユーロを無制限に買うとしています。超通貨安に対抗するために行う自国通貨買い為替介入の場合は、売れる外貨が尽きてしまえばそれで終わりですが、その逆の自国通貨売り介入は、理屈上、輪転機を回して自国通貨を作れば無限に続けることができます。

 まあこれも極端な方法ですね。わが国はすべきではないでしょう。わが国の経済規模や通貨供給量等はスイスよりもはるかに大きいうえ、巨額の為替差損が出るおそれが高いし、過剰流動性の発生による激しいインフレが起こりかねないなど、副作用があまりに大きすぎるからです。

(続く)

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