(前回からの続き)
ということで、本稿の冒頭に示した「円高は悪か」についての私的な見解;
①現状、円高(ドル安)・円安(ドル高)それぞれにメリット・デメリットがある
②一般論としては自国通貨が他国通貨よりも高いほうが有利かつ安全
に関連していろいろ書いてみましたが、これだけは間違いなくいえるでしょう。
「円高は決して悪ではない」
むしろ、円高(=強い円)は、石油などの輸入必需品の価格の世界的な高騰から国民生活を守るファイアウォールとなってくれるうえ、金融危機で減価する一方の外貨と違ってしっかりと価値を保全してくれる、なんともありがたい状態ということができると思っています。
世界的な金融危機とリセッションが深刻になるにつれ「円←ドル←ユーロ←新興国通貨」というマネーの「リスクオフ・フロー」が顕著になって円が独歩高となっていくと見込まれるなか、今後はマスコミなどで「円高悪者論」がますます唱えられるようになるでしょう。
各種の政策や投資などに関して重要な判断を下す際には、こうした「円高は悪だ!」とか「超円高だ!」といった声は適当に受け流しながら、物価上昇率の違いなどを勘案した実質的な為替レートを冷静に見極めたり、ギリシャなどの悲惨な有様を目の当たりにしつつ、あえて通貨高のアドバンテージや通貨安の怖さをしっかりイメージすることが、これからはとりわけ大事になってくると思っています。
(「『円高』を考える:円高は『悪』なのか?」おわり)