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ギリシャの破綻が火をつける?金融デリバティブリスク②

2012-06-15 00:00:25 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 じつは個人的に国債デフォルト以上に懸念しているのがこのCDSの取り扱い。CDS(Credit Default Swap)とはデリバティブ(金融派生商品)のひとつで一種の保険商品。債券所有者が、CDS販売会社に一定の保証料を支払っておけば、その債券発行国がデフォルトした場合に、同販売会社が当該国に替わって当該債券の元本に相当する金額を支払うというものです。

 CDSは市場外で取引されることが多く、どの金融機関がどの程度の量のCDSを販売しているのか、とか、どれくらいのCDSを保有しているのか、といった取引実態が財務諸表などからよく見えないところがまた不気味・・・。

 このギリシャ国債に関するCDSの詳細については、いろいろ調べてみたものの、正確なところはよく分かりませんでした。ただ一部の情報によれば、ギリシャがデフォルトした場合の欧米金融機関のCDSの支払い総額は約100兆円にのぼるとのことなので、かりにそのとおりとすると、ギリシャの公的債務残高約35兆円をゆうに上回ることとなります。

 これから推測するに、同CDSには、ギリシャ国債保有者のCDSだけでなく、ネーキッド(naked;裸)CDSと呼ばれる、ギリシャ国債を持ってもいないのに少額の保証料だけを支払っておいて、ギリシャがデフォルトした場合に国債元本相当額を受け取れるような契約となっているものなどが相当量含まれているのでしょう。

 このネーキッドCDSの保有者は、債務不履行が起これば国債元本と同額の保証金をCDS販売者から受け取るので、同保有者は、いわばギリシャのデフォルトに「賭け」をして「ギリシャよ、破綻しろ!」と歪んだ期待をすることになります。これこそ、ギリシャ国民の苦しみをネタにする、まさに保険金殺人のような商品ですね。

 それにしても、かりにギリシャがユーロから離脱して無秩序なデフォルトに追い込まれてこうしたCDSの大々的な決済が発生した場合、はたしてこれらを売りさばいた側の金融機関は大丈夫なのか? 元本相当額の支払いにマトモに応じられるのか・・・?

 このCDS問題こそ、ギリシャ危機、ひいてはこの後に続くであろうPIIGS諸国のソブリンリスク、さらには世界的な金融システミックリスクの本質だと思っています。

(続く)

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