2012年度に入りました。
現在、世界経済にはさまざまなリスクが想定されていますが、個人的には今年度最大のリスクはインフレだと思っています。もっとも、欧米諸国(および新興国)とわが国のインフレの度合いには多少の違いがあって、それを天気予報風に表現すると、
・欧米諸国:インフレ暴風警報
・わが国 :インフレ注意報
欧米諸国ではインフレがますます激しくなり、社会不安も高まって、ところによりデモや暴動が多発するような事態となるでしょう。一方わが国でもインフレに十分な注意が必要になるでしょう・・・といったところだと思います。
欧米諸国では、度重なる金融緩和であふれたマネーが国際商品市場に流れ込み、石油や小麦などの価格を高騰させています。その一方で実体経済の回復が遅々として進みません。インフレがどんどん激しくなるのに市民の賃金や給与が上がらないため、市民生活が大きなダメージを受けて社会不安が増大していきそうだ、という予想です。
他方でわが国は状況がやや異なります。金融緩和を続けてきた欧米諸国に比べて規律ある通貨管理が行われていることなどから為替は長く円高/外貨安のトレンドを描いてきました。この円高がファイアウォールとなってドル建ての石油などの資源価格の上昇を抑制し、それが物価の安定に寄与してきました。
もっとも、2月の日銀の金融緩和以降、一転してやや円安/ドル高の基調となり、これらの資源価格の円建て価格が急激に上昇し、それがインフレをもたらしかねない状況となってきたので十分な注意が必要になってきた、ということです。
(続く)