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2012年度予想「外貨動揺・円独歩高」でどうする日本①

2012-04-05 00:03:54 | 日本

 2月中旬の日銀の金融緩和から3月までの世界経済におけるマネーの流れは、いわゆる「リスク・オン選好」となっています。

 ギリシャに対する二次支援が決定され、とりあえずギリシャの無秩序なデフォルトは回避されました。危機が遠のいたということでユーロが買い戻されて円・ドルに対して上昇しました。

 またここ数ヶ月程度続いている雇用統計の好結果(失業率低下・新規雇用者数の増加)などから、アメリカの景気が回復しつつあるとする見方が強まってドル高・円安となり、1ドル83円前後にまで上昇してきました。ユーロ圏が落ち着いてきたことなどを受けてブラジル・レアルなどの新興国通貨も高くなっています。

 しかし、まもなく次のようなフローに転化するとみています。「リスク・オフ選好」です。

 円←ドル←ユーロ←新興国通貨

おそらくきっかけはまたもやユーロになりそうな気がしています。4月から5月にかけてギリシャやフランスで選挙が予定されています。その結果、ギリシャの新政権がEU諸国との合意に反して緊縮財政政策を見直すような動きに出たり、あるいはフランスでEU統合に否定的なオランド氏が現職のサルコジ氏に替わって大統領になる可能性があります。そうなったらユーロはたちまち動揺するでしょう。

 そして今年度もPIIGS諸国の債務問題から目が離せません。ギリシャの財政情勢に加えて、直近ではスペインに対する不安感も高まってきました。2011年の対GDP財政赤字が目標値6%に対して8.5%となり、今年の同目標も当初目標達成を早くも断念するなど、ジワジワと財政状態が悪化してきています。PIIGSのいずれの国々も、厳しい経済情勢のもとでマイナス成長は避けられず、税収も伸びないし国債金利も高まって、自力での資金調達がさらに難しくなっていくでしょう。

 いずれ、PIIGS諸国は自国債を持つ民間金融機関に対してギリシャと同率程度の債務カットを要求する可能性が高いと推測しています。「ギリシャに対して借金棒引きに応じたのだからわれわれの借金も同率で棒引きしろ」といった理屈です。まさにモラルハザードです。

 結果として、これらの国債を大量に保有する欧州金融機関のバランスシートが著しく悪化します。一部の銀行等は破綻あるいは過小資本に追い込まれ、公的資金の注入が真剣に議論されるでしょう。また貸し渋りが一層強まって金融システムが機能不全に陥り、景気はますます冷え込むでしょう。

 さらに、新興国への融資等を引き上げるなどの動きが加速し、逃げ足の速いマネーが新興国市場から続々欧米本国に帰っていきます。新興国通貨はいっせいに売られるとともに、外貨建ての借金を多く抱える新興国のなかにはデフォルトの危機に直面する国も出てくるかもしれません(個人的には韓国あたりが危ないと思っています)。

 こうじたヨーロッパの混乱を受けて、アメリカの金融システムも大きく動揺します。PIIGS諸国の国債や、これらの債券および欧州金融機関のCDSなどを大量に引き受けているアメリカの金融機関も大打撃をこうむるでしょう。

 さらにガソリン価格などの激しい物価高や住宅価格の下落等の影響で各種ローン支払い者の破産等も増えて、貸し倒れや不良債権もさらに膨れ上がるでしょう。これらの結果、欧州金融機関に続き、アメリカの金融機関の経営危機も表面化します。

 このような危機の連鎖により、「リスク・オフ選好」における上記のマネーフローがますます強まり、新興国通貨・ユーロ・ドルに蓄えられていたマネーの多くがリスク回避の動きを早めて円に向かうと予測しています。円がすべての通貨に対して買われる「円独歩高」の展開です。

 では、こうした外貨の激しい動揺に起因する円高に、わが国はどう対処したらよいでしょう。

(続く)

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