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マネーの「バラマキ」のし過ぎが招く「悪いインフレ」①

2012-04-15 00:00:50 | 世界共通

 よく言われることですが、インフレには「良いインフレ」「悪いインフレ」があると思います。個人的には、この両者の違いは「収入の増加がともなうか否か」という点にあると考えています。良いインフレのときは物価上昇と同じくらい、あるいはそれを上回る賃金や給料の伸びがあり、一方で悪いインフレのときは賃金や給料が増えないのに、あるいは減ってきているのに物価だけが上がっていく、ということです(だから単純に「日本はデフレだからインフレを起こすべきだ」という議論は、この良し悪しの区分がしっかりされていないので注意すべき、と思います)。

 いま、世界中でこの「悪いインフレ」が急速に広がりつつあるように感じられます。その原因は何といっても「金融緩和」でしょう。金融不安に対処するため、欧米諸国の中央銀行によって大量に増刷されたマネーが資源・商品市場に流れ込み、石油や小麦などの原材料・食糧価格を高騰させています。

 さらにこの2月、わが国では、この欧米諸国の金融緩和に追随(?)し、日銀金融緩和の強化を発表しました。それ以降急速に進んだ円安・ドル高が、高止まりしている資源の円建て価格をさらに押し上げたため、製造・運輸などのコストがいっそう増大し、日本企業の収益構造を圧迫しています。

 実際、3月の日銀短観は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業で2期連続でマイナス4と、当初の大方の市場予想を下回りました。欧州不安の落ち着き、円高修正、復興需要などのプラス材料があるなかでマイナスとなった最大の原因は、この資源価格の急上昇が引き起こしたコスト増です。

 このように、金融緩和によるマネーの「バラマキ」は、あっという間に資源等のインフレを引き起こし、景気にコスト増というマイナスの影響を与えます。一方で金融緩和には企業収益や従業員の給料を短期間で増額させる効果が乏しいため、足元の情勢としては、物価だけが上がって収入は増えない、という、上記の「悪いインフレ」がもたらされてしまいます。

 ここで「日銀短観結果が良くなかったからもっと景気へのテコ入れをしよう」とばかりにいっそうの金融緩和をしてしまうと、おそらく円安・ドル高がさらに進んでガソリンなどの円建て価格がさらに上昇し、この「悪いインフレ」がますます激化するおそれがあります(他方、輸出企業の株価の上昇は期待できそうですが・・・)。

 したがって、さらなる金融緩和には十分に慎重であるべきでしょう。

(続く)

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