(前回からの続き)
ところで、以前、幼稚園児たちの「ままごと」でこんな光景を見かけたことがあります。それは、自分たちが作ったお金で木材やプラスチックでできた果物や野菜などを売買するという、「お金」の単位や使い方の勉強を兼ねたままごとでした。
はじめ、園児たちは、
「リンゴを1つ下さい」「90円です」「はい100円」「おつりは10円です。ありがとうございました!」
というように平和に遊んでいましたが、そのうち、園児のひとりが、ゼロを1つ加えるとお金の単位が1つ増えることに気がつきました。100円にゼロを1つ加えて1,000円、1,000円にさらにゼロを加えて10,000円、といった具合に「高額紙幣」を次々に乱発し始めたのです。
すると、さきほどのシーンは、
「リンゴを1つ下さい」「900,000,000,000円です」「はい100,000,000,000,000円」「おつりは・・・?いくらになるの!?」
などとなって、園児たちの小さな経済は大混乱! 結局、みかねた周囲の大人たちが園児たちが乱造した大量の高額紙幣をすべて回収し、かわりに幼児教育用のプラスチック製の硬貨を市場に投入して事態を収拾したのでした・・・
たわいない「ままごと」ですが、ムツカシイ理論や理屈を抜きにすれば、いまの世界経済(とくに欧米経済)で起きていることの本質はこれと同じ。ようするにマネーの大増刷です。
その結果、
「リンゴを1つ下さい」「9ドルです」(高っ!)「はい10ドル」(マジで買う気か!?)「おつりは1ドルです。サンキューベリマッチ!」(って、生活は?・・・できっこないので「フードスタンプ」受給へ(涙))
といった絵空事が本当に現実になりかねないほどの激しいインフレが巻き起こるリスクが高まっています。
それでも、以前にも書いたように、欧米諸国にはインフレ策以外の手はないでしょう。市民の生活はますます厳しくつらいものになっていくでしょう。だから、インフレが激しくなる前に、多くの市民が「リンゴ」(実物資産)を買っておこうとするかもしれません。
ともかく、日米欧ともに、ガソリン価格の動向から目が離せなくなってきた新年度入りです。
(「今年度最大のリスク=インフレ「リンゴを1つ下さい」」おわり)