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2012年度予想「外貨動揺・円独歩高」でどうする日本②

2012-04-07 00:00:51 | 日本

(前回からの続き)

 おそらく、欧米諸国は、過剰流動性が引き起こした激しいインフレ資産・所得の格差の一層の拡大によって投資や消費が大きく落ち込み、厳しいリセッションに見舞われるでしょう。欧米諸国への輸出依存度が高い新興国経済も同様に激しく混乱するでしょう。それこそ世界恐慌に近い状態です。

 このようなときは、わが国としてはとても外需に頼れない状況となります。したがって内需を一段と振興させる必要が高まるものと思われます。

 そこで、まず考えられるのは、金融政策でしょう。おそらく、円高が進むにつれて「円高=悪」の観点から日銀に対して新たな金融政策を求める声が高まるでしょう。結局、日銀は2月に続いて大規模な金融緩和(第2弾)をせざるを得ない状況に追い詰められる可能性が高いと思います。

 本来、金融政策で期待されるのは、低利資金の大量供給→企業の設備投資が増加→企業の収益が増加→市民の賃金・給与が増加→消費拡大→景気回復・・・といった効果でしょう。

 しかし、わが国の企業は、バブル崩壊から長い期間にわたってバランスシートの改善に努めてきたこと、またこの間に多くの企業がM&Aや設備投資を自力で行えるほどのキャッシュを蓄えてきていること(非金融法人の現金・預金総額は約205兆円[日銀2011年])、などから、現状、企業側には資金需要はそれほど多くないと考えられるため、こうした流れは太くなっていかないでしょう。つまり、新たに流動性を供給しても民間投資や消費を刺激することがない、いわゆる「流動性のワナ」とよばれる状態になっていると考えられます。

 そのなかで、金融緩和の効果をしいてあげるとすれば、金融緩和でマネーサプライ増加→円安→輸出企業の業績回復の思惑から外国人が日本株買い→株価上昇→資産効果で景気回復・・・といったところでしょう。

 しかしこの効果も限定的と考えられます。わが国の家計の金融資産のうち株式等の占める割合は約12%(日銀2008年)程度に過ぎず、こうした株価上昇の恩恵は十分とはいえません。それに、3月末時点でも日経平均は1万円程度。バブル期の最高値(1989年の38,915円)の約1/4あまり・・・。この程度の水準では含み益が増えたどころか含み損がやっと少し減ったという人々のほうが多いくらいかもしれません。

 さらに、上記のような経済情勢から、欧米諸国の金融緩和の圧力はたいへん強く、日銀が多少の金融緩和をしてもますます外貨が増刷されて為替が円高/外貨安に振れる可能性が高いでしょう。そうなれば外国人がふたたび日本株を売却する動きに出ると想定されるため、株価の安定した上昇はなかなか望めません。

 むしろ、一層の金融緩和には、先日ここで書いたような副作用、つまり円安にともなう資源価格等の上昇等に起因するインフレという悪影響をもたらす心配があります。3月下旬、アメリカで講演した日銀の白川総裁は、この副作用、つまり金融緩和が引き起こすインフレの危険性について言及しています。いまのところ日銀もさらなる金融緩和には慎重であるようです(いまの主要国の中銀総裁で、こうした金融緩和のマイナス面を堂々と指摘できるのは白川総裁くらいかもしれません)。

 こうしてみてみると、外貨危機がもたらすと予想される事態への対処法としての金融政策には効果がそれほど期待できそうにありません

(続く)

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