16日付「信濃毎日新聞」の「野党自民政策のポント」という経済アナリスト森永卓郎氏の文が面白い。
森永氏は野党になった自民党にぜひ「供給側」に立った対立軸をと促している。供給側即ち企業や資本の視点に立った政策だ。
・規制は徹底的に緩和し小さな政府を作り、社会保障は削減する。
・企業による柔軟な雇用調整のために正社員を含め解雇を自由にする。賃
金も企業が自由に引き下げられるようにする。
・税制では消費税を大きく引き上げ、それを財源として法人税を引き下げ
る。資本蓄積を容易にするために所得税の最高税率の引き下げと相続税
の撤廃を行う。
・教育面では、きびきび働いて文句を言わない労働者を作るため、全国共
通テストの成績で学校間の競争を促すと同時に愛国心教育を徹底す
る。
これくらいはっきり言えば、民主党との違いは鮮明になって、こうしなければ日本が生き残っていけないと宣言する。そのことで国民の支持が得られるかどうかは問題ではないと言い切る。強烈な皮肉だ。
冷戦崩壊以後、政権与党自民党が押し進め、小泉・竹中構造改革で「総仕上げ」寸前まで行ったのがこの政策だからだ。
「小泉郵政選挙」で圧勝したのは「小泉マジック」とオセロゲームのような「小選挙区制度」の結果のように言われるが、実は05年の総選挙の際は、まだ自民党を支える諸団体の組織が機能していて、その土台の上に、争点の単純化や、死票が山ほど出る小選挙区制度により、公明党も含めた3分の2の衆院議席が可能になったのだという研究者の分析を聞いた。
この4年間で、自民党を支える組織は、森永氏が列挙したような供給側の政策を推し進めた結果、崩壊していたのだという。負けるべくして負けた自民党だが、民主党が自民党の行った道をまたたどっていく可能性が出てきた。
記者クラブの解放が頓挫しつつあるという。民主主義定着の道は遠い。
「保守本流」は日本愛国党、リベラルな人たちは「自由党」になれば言いと言う感想です。
筑摩書房の戦後日本思想大系7の編集・解説を橋川文三が担当していて、今、ながめていますが、柳田国男・柳 宗悦・鈴木大拙---と「保守の思想」の深さがあります。その水準に行くまでは「大日本愛国等」と「自由党」で行くしかないと言うのが、私の現在の感想です。