木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

宮沢賢治がもっと長生きしたらどう生きたのか

2024年07月14日 | Weblog
昨日はカルチャー講座。小川未明の『灰色の姉と桃色の妹』という作品を講師の先生と共に考えました。きょうだいで性質や能力が違うことはよくあります。親もどちらかというと相性のいい子供とそうでもない子供があるはずです。まさにそんな話。陰気な姉と明るい妹。みな妹を愛します。そんな妹をだまして破滅させる姉。未明がこれを書いたのは昭和初期。とても子供向けとは思えませんが読者はどのように受け取ったのでしょうか。庶民は貧しく、親はそれほど教育を受けているわけではありませんから子供は今よりずっと邪険にされていた気がします。
未明自身は一人っ子で、父は神社の宮司でした。
そして結婚して親になりますが生まれる子供は幼くして亡くなり、女の子一人が無事成人して子孫はいます。時代は戦争に向かうちょっと前。未明は当時の社会主義の思想に共鳴していましたが、やがて天皇主義の愛国思想に飲み込まれていきます。戦後は再び本来の童話作家に戻りますが、汚点は消えません。作家の中には戦後になると途端に主義を変える節操のない人もいましたが、長く自分の過去に苦しむ人もいました。作家といえどもそれこそいろいろ。
いつも思うのは同時代に世に出た宮沢賢治はどうだったのだろうということです。賢治は37歳で亡くなり反動的な時代には生きていませんでしたから、生きていたらどうだったのだろう。
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