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木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

排泄は避けて通れない

2020年02月05日 | Weblog

し尿処理を担うのは?『やすらぎの刻・道』
大事なおばあちゃんを悲しませないためにおじいちゃんの不始末を背負って産業廃棄物処理業者のもとでし尿収集車の清掃をする孫の翔。
こうした誰もが嫌がる汚い仕事を請け負うのは社会的に差別されている側だ。例えば被差別出身者、朝鮮半島にルーツを持つ人達、前科のある人も一般社会から受け入れられない傾向があり、ここへたどりつく。こうした業者の中には違法すれすれの「反社」と呼ばれる者もいる。
今は下水道が整備されているのでバキュームカーを意識することもあまりないが、農村地帯ではかつてし尿は肥料として使われていた。
まず汲み取り便所からたまった大小便を汲み出し、野溜めに入れて醗酵させる。これを農産物の根元に肥料として入れるのだ。日本ではこのし尿肥料を江戸時代あたりから重宝して、農村から町に買いに来るのだ。
確かにし尿は臭い。だけど排泄無くして生物は生きられない。どんなに身分の高い人も金持ちも美人も排泄なくして存在しない。
子供の頃、みんなが「臭い、臭い」と言って騒ぐのを私は「おかしいな」と思っていた。確かに臭いけどみんな出す物なのに。
西欧では肥料として使わないのか、下水道が完備するまではいわゆるオマル形式。しかもこれを家の窓から下に投げ捨てるものだからこれを頭から浴びることになる。道もひどく汚れた。
日本でも平安時代はオマル形式で捨て場所はある程度決まっていたのだろうが、公道は今のように清潔ではなかったらしい。
ヨーロッパで下水道が日本より早く発達したのは不潔さに耐えられなくなったからだ。伝染病の元でもある。
人が立って移動できる大きさの下水道は様々な歴史の舞台となった。
ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」では主人公が下水道を伝って逃げるし、ナチスがユダヤ人を迫害した時代には地下水道に身を潜めてやり過ごした場合もあり、ヨーロッパ映画にはよく登場する。

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