大阪で母子が餓死
というニュースが報じられた。DVの可能性があるという。
生活保護の申請を阻んでいる理由の中に、夫の暴力から逃れるために住民票も移せず、従って仕事にも出られず、子供を保育所に預けることもできず、生活保護の申請もできないという悲惨な場合がある。
DVの加害者になってしまう男たち自身も成育環境に恵まれず育っている場合が多く、被害者の女性もまた然り。
親族に頼れないという状況がある。
前のブログで、金子勝慶大教授の意見を書いたが、みずほ情報総研主席研究員の藤森克彦氏もまた、増え続ける生活保護受給者の実態について、自民党議員などの自己責任、不正受給論とは違う見方を示している(4月10日信毎記事)
支配層のみずほの研究員の立場から見ても現在の日本の貧困の実態は放置して置いて良いものではないという見解だ。
片山さつきなどの不良国会議員が火を点けた「不正受給」だが、世間が思うほど多いわけでは決してない。
11年度の不正受給額は約173億円で、同年度の生活保護総額約3兆5千億円の0・5パーセントほどである。不正受給件数3万5千件は被保護世帯の2・3パーセントで殆どの生活保護受給者は適切に受給している。
また潜在的に働けるのに働かない人も多いわけでは決してない。
受給世帯を世帯類型別に見ると、高齢世帯と傷病・障害者世帯が75パーセントを占め、その他の世帯は18パーセントにとどまる。
稼働年齢層であっても、頼れる人間関係を持たずに孤立している、発達障害、家族崩壊、基礎学力の不足、アルコール依存などの複合的問題を抱える人も少なくない。
ある自治体における受給世帯の調査では世帯主の25パーセントは育った世帯も生活保護を受けていた。親から子へと貧困が連鎖しているのだ。
これを本人の努力不足とだけ片付けていては問題は何も解決しない。
ではどうすべきか。月並みではあるが、生活を立て直し、就労や社会参加に向けた準備を一歩ずつ行なっていくために、困窮者に寄り添った課題と自立に向けたプランを一緒に考え、継続的な支援をする相談体制を各地に設ける必要がある。とうのが藤森研究員の見解だ。
こうした活動は、民間のNPOなどがほそぼそと、取り組んでいる例がおおいが、これこそ政治が今やらなくてはいけないことで、維新の橋下のような「公務員たたき」をして、うっぷんを晴らしている場合ではない。
生活保護基準切り下げ法案が国会を通過した。その一方で、安倍政権はミャンマーやアフリカ諸国への支援には熱心だ。財界の強欲連中を引き連れて。
しかしこの問題を自己責任論で放置すれば、結果治安も悪化し、一層の社会的コストを要するようになる。社会は生活困窮者と無関係には存在しえない。
先の衆議院選挙で議席を獲得した自民党の国会議員でまともな、人間としての常識を持っている人物は皆無だというのが私の感じ方だ。良識派と思われていた政治家は全て落選した。