林業の次は農業の崩壊。TPP参加で日本列島は崩壊列島へ。
野田首相は日本国内の「拙速、疑問」の声にもかかわらず、「TPP参加表明」をした。
この売国行動に対して、マスコミの誘導する世論調査を見る限り一般国民の反応はやや鈍い。
農産物の関税がゼロになり、医療や金融に関するルールも全てアメリカ流が求められ、それに反すれば、企業が相手国の政府を訴えることもできるという内容がどれほど日本の社会を絶望的な状態に陥れてしまうかをにわかに想像できない、いや想像することを許さないための情報隠しが行われているためだ。
農業の前にすでに林業が関税ゼロにより崩壊した。その結果、山は荒れ、大雨が降ると濁流は一気に山を駆け下り、ふもとの家々を押し流し、今では都市もしばしば洪水に見舞われている。
里山が手入れされなくなり、山と人の住む村との境界があいまいになり、クマやイノシシがえさを求めて住宅街にまで出没するようになっている。
林業の衰退は関税ゼロのためだけではないという主張もあるが、主なる要素であることには違いないのでは。
70年代、安い外材で多くの家が新築された。私の住む農村地域でも殆どの家がそれまでの藁葺きの農家から都会風の家に建て替えた。
ところがそれから30年以上たって、また農村の人達は新しい家に建て替えている。
外材を多用した洋風の家は意外にも快適ではなかったようだ。冬は寒く夏は暑い。
それを石油ストーブやエアコンでエネルギーを盛大に使ってしのいできたのだが。
やはりここへ来て、できるだけ国内産、それも地元産の木材を使う方が長持ちして、居心地がいいと見直され始めているが、この経験に学べば安易に農業を捨てると、林業以上に取り返しのつかないことになる。
盲腸手術100万円、歯科インプラント治療10万円。
自民党内で「TPP参加反対」の取りまとめ役をしている加藤紘一議員は「TPPは関税の問題という以上にルールの問題だ」と言っていた。
「すべてアメリカの基準に合わせよ」というのがアメリカの要求であり、TPPの本質だ。
アメリカの基準・ルールに合わせるとどういうことになるか。
遺伝子組み換え食品は表示の必要なし。
薬の服用量も身体の大きいアメリカ人に合わせた内容のものが流通自由。
その他残留農薬の基準も現在の日本のものより緩和されることになる。
極め付きは日本の誇る「国民皆保険の破壊」だ。
保険会社の力が非常に強いアメリカでは、国民皆保険制度の成立を妨害し、上記のような医療費がかかる。
これでは貧しい人は盲腸手術もできず、苦しみながら死ぬしかない。
そんな悲惨な状況がかつて昭和30年代までの日本にもあった。
それを無くすために作られた「国民健康保険制度」。
アメリカの保険会社が狙うのは「医療の自由化」。それによって、今進行している地方の医療体制は更に崩壊し、皆保険が意味をなさなくなる。
「よくわからない」だの「どちらかというとTPPに参加したほうがいい」などととぼけたことを答えている場合ではない。
将来、日本国民にこれほどの痛苦を与えるであろう協定に参加しようとしている野田売国政権。
なぜこれほどまでに売国的になれるのか。
私はよく韓国ドラマを見るが、日本の植民地時代を描いたドラマを見ると、必ず日本の権力者に擦り寄って利益を得る人物が登場する。
同朋の苦しみをよそに自分の利益だけを考える人間はどこにでもいる。
今「TPP参加賛成」を唱える政・官・財・学、そしてマスコミ人は「自分さえよければいい」という連中だ。
ドラマでは売国奴は最後は鉄槌を下されるが、現実では「悪い奴はしぶとく生き残る」のである。