新型インフルエンザの報道では「冷静な対応」をと言うコメントが流されるが、一番冷静な対応をしていないのはテレビ報道だ。特にNHKの午後7時のニュース。
冒頭で長々とインフルエンザ関係の報道をするのだが、その内容が「こんな身近で感染した人が出てびっくりしてます」というようなどうでもいい感想を伝えたりで、「もういいから次行って」と言いたくなる。NHKの偏向報道は「新型インフルエンザ」で一段と加速している印象だ。伝えるべきことを伝えていないという意味の偏向だ。
さてその新型インフルエンザだが、そもそもはメキシコの豚が起源とされている。
メキシコではアメリカのスミスフィールド社という多国籍企業が大規模な養豚事業を展開していて、その養豚の実態が非常に問題を含んでいるとのこと。
狭いエリアにたくさんの豚を押し込め、糞尿は垂れ流し。そうした劣悪な環境でコストを抑え、安い豚肉を世界中に供給している。
メキシコから輸出される豚の実に九割は日本向けだという。
WHOやEUやFAO(国際食糧農業機関)は「伝統的な小規模の養豚業から巨大な工場型への移行は、疫病の発生と流行の危険性を増す」と警告してきたという(「週刊金曜日」)。
報道すべきはこういう事実なのに。
そしてこのような工場型畜産と対極の「宮地豚」というブランドで今注目を集めているのが宮地さんという青年。
テレビ番組に出演した宮地さんは、自身の養豚場の規模はこれ以上拡大するつもりはないとまず言った。私はそれに感心した。
農業とそれ以外の事業を同列にはできないが、何か一つ成功すると、規模を拡大するとか、出店を広げていくとかいう方向に行きがちなのにその方向に関心がないというのは素晴らしい。
宮地さんは「豚肉ってこんなにおいしいものなのか」と言われる豚はストレスのない、清潔な環境で育ってこそであり、そうなると適正規模はおのずと決まってくるのだという。
これからの時代は規模拡大、経済成長をめざすのではなく、適正規模、持続可能な経済活動を共通の価値観としていくべきだろう。
宮地さんの関心は自分自身がそういう境遇だった農家の倅のネットワークの運動を進めることにある。
「派遣切り」が社会問題になっている今日、他の仕事へのシフトということで、農業や介護の仕事へという流れがあるのだが、実際にはなかなかむつかしい。その点、農家の子供だったら、就農するのにとりあえず食と住は確保されていて、仕事のやり方は親に教わればいいので、Iターンの人たちより農業に入りやすい。
しかし倅たちも孤立していては困難にぶつかった時乗り越えられない。だからネットワークが必要になる。
ネットワークということで言えば、かつての農民組合や農協もそうだとは思うのだが、農協などは肥大化して変質していった面がある。
宮地さんたちが考えるネットワークはもっと柔軟な互いに自立したものなのだろう。
「規模拡大を目指さない」それがこれからの時代のキーワードではないだろうか。
冒頭で長々とインフルエンザ関係の報道をするのだが、その内容が「こんな身近で感染した人が出てびっくりしてます」というようなどうでもいい感想を伝えたりで、「もういいから次行って」と言いたくなる。NHKの偏向報道は「新型インフルエンザ」で一段と加速している印象だ。伝えるべきことを伝えていないという意味の偏向だ。
さてその新型インフルエンザだが、そもそもはメキシコの豚が起源とされている。
メキシコではアメリカのスミスフィールド社という多国籍企業が大規模な養豚事業を展開していて、その養豚の実態が非常に問題を含んでいるとのこと。
狭いエリアにたくさんの豚を押し込め、糞尿は垂れ流し。そうした劣悪な環境でコストを抑え、安い豚肉を世界中に供給している。
メキシコから輸出される豚の実に九割は日本向けだという。
WHOやEUやFAO(国際食糧農業機関)は「伝統的な小規模の養豚業から巨大な工場型への移行は、疫病の発生と流行の危険性を増す」と警告してきたという(「週刊金曜日」)。
報道すべきはこういう事実なのに。
そしてこのような工場型畜産と対極の「宮地豚」というブランドで今注目を集めているのが宮地さんという青年。
テレビ番組に出演した宮地さんは、自身の養豚場の規模はこれ以上拡大するつもりはないとまず言った。私はそれに感心した。
農業とそれ以外の事業を同列にはできないが、何か一つ成功すると、規模を拡大するとか、出店を広げていくとかいう方向に行きがちなのにその方向に関心がないというのは素晴らしい。
宮地さんは「豚肉ってこんなにおいしいものなのか」と言われる豚はストレスのない、清潔な環境で育ってこそであり、そうなると適正規模はおのずと決まってくるのだという。
これからの時代は規模拡大、経済成長をめざすのではなく、適正規模、持続可能な経済活動を共通の価値観としていくべきだろう。
宮地さんの関心は自分自身がそういう境遇だった農家の倅のネットワークの運動を進めることにある。
「派遣切り」が社会問題になっている今日、他の仕事へのシフトということで、農業や介護の仕事へという流れがあるのだが、実際にはなかなかむつかしい。その点、農家の子供だったら、就農するのにとりあえず食と住は確保されていて、仕事のやり方は親に教わればいいので、Iターンの人たちより農業に入りやすい。
しかし倅たちも孤立していては困難にぶつかった時乗り越えられない。だからネットワークが必要になる。
ネットワークということで言えば、かつての農民組合や農協もそうだとは思うのだが、農協などは肥大化して変質していった面がある。
宮地さんたちが考えるネットワークはもっと柔軟な互いに自立したものなのだろう。
「規模拡大を目指さない」それがこれからの時代のキーワードではないだろうか。