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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

関節炎?

2018年04月10日 | Weblog

 今日は内科クリニックから不明熱として85歳女性が紹介されてきた。他の総合病院脳外科から認知症の処方を受けていた。夫の介護(二人暮らしの老老介護)を受けて何とか生活している。食欲は問題なくあり、重症感はまったくなかった。

 2~3週間前から37℃台の発熱があり、熱が上がる前に痙攣すると夫が言っていたが、悪寒戦慄らしいと紹介状にあった。内科クリニックを先週の土曜日に受診していて、気道症状がないことから尿路感染症疑いとしてニューキノロン内服が処方されていた(今朝は内服しないで受診)。

 昨日の月曜日に受診時の検査結果出て、白血球数8300・CRP10.9と炎症反応高値だったので、当院の予約をとりたいと地域医療連携室に連絡がきていた。患者さん(家族)の希望は翌々日の水曜日で、理由は火曜日はデイサービスがあるからというのんびりしたものだった。

 今日夫と一緒に外来受診した。診察したところでは、左足関節が腫脹して熱感があった。先週から痛くて、同じく先週土曜日に整形外科クリニックも受診してNSAID(セレコックス)の処方を受けていた。痛みは軽減してきたそうだ(受診前は足を床に着けられなかったという)。他には有意な所見はない。

 胸部X線・尿所見は異常なし。空いていたので心エコー(経胸壁)も行ったが異常なし。白血球数5300・CRP1.1と炎症反応は軽減している。尿路感染にニューキノロンが効いたというより、関節炎にセレコックスが効いたのではないか。

 化膿性関節炎ではなさそうだが、結晶誘発性関節炎で足関節炎というのもあるのだろうか。紹介ということもあり、血液培養2セットもとった。セレコックスを継続して、来週再受診とした。予約は、やはりデイサービスの日以外でと言われた。

 化膿性関節炎ではない関節炎で悪寒戦慄はある?。

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小脳梗塞

2018年04月09日 | Weblog

 今日は内科専攻医の若い先生が救急当番をしていた。67歳男性がめまいと嘔吐で救急搬入された。内科再来を診ていたが、その合間に画面で検査を確認した。頭部CTでは異常がなかったので、BPPVかと思った。頭部MRIがオーダーされていた。

 MRIの結果、小脳に新規梗塞があり、両側後頭葉にも梗塞巣があった。MRAでは椎骨脳底動脈系の狭窄がある。その時点で発症2時間半だった。t-PAの適応ありということで、別の内科先生と相談して地域の基幹病院神経内科に搬送となった。救急車で30分以内なので発症3時間ちょっとで到着する。行うかどうかはわからないが。

 BPPVだったら、若い先生にそのまま主治医になってもらおうと思ったがあてが外れた。その後、入院が必要な2名の患者さんがいたので、主治医になってもらった。ひとりは、内科新患の先生から相談されたインフルエンザ罹患後の食欲不振の女性。もうひとりは、内科クリニックから紹介された肺炎の88歳女性(認知症もなく元気)。

 「感染症プラチナマニュアル」の著者岡秀昭先生がCareNeTVで講義をしている。マニュアルを見ながら視聴するとちょうどいい。プラチナマニュアルを病院の指定図書にすると、治療が統一されていいと思う。細かい字が見えないので、大きい字のGrandeの方を使用している。

  

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「休み時間の免疫学」

2018年04月08日 | Weblog

 「休み時間の免疫学」齋藤紀先著(講談社)の第3版が出たので、土日はこれを読んでいた。初版、第2版と購入してきた。免疫学の知識はこれで充分かどうかわからないが、今さら学生向けの教科書まで読む気はしない。著者は出世されていた。

休み時間の免疫学 第3版 (休み時間シリーズ)

 

 当院でも「抗菌薬適正使用支援チーム Antimicrobial stewardship team」が始まった。とりあえずは加算をとるためだが、適正使用にも貢献できればいい。大学病院の感染症専門医と週に1回2~3症例を検討する。

 今回は2症例。80歳代女性の尿培養でEBBL産生菌が検出されて、セフェム系抗菌薬(内服薬)が処方されていた。尿混濁所見を見て処方したようで、たぶん培養結果は見ていない。そもそも発熱も血液検査での炎症反応も陰性だった。保菌だけなのか。まず培養結果だけ伝えることにした。

 直腸穿孔による腹膜炎で緊急手術になった80歳代後半の女性は、術後2週間以上発熱・炎症反応上昇が続いていた。抗菌薬はカルバペネム・抗MRSA薬・抗真菌薬の3剤が投与されていた。培養で有意な菌は検出されていない。発熱~解熱を繰り返して、炎症反応も軽減~増悪を繰り返している。直近では解熱傾向があり、炎症反応は増悪という状態だった。

 明らかなMRSA感染・真菌感染はなさそうで、2~3日後の血液検査の結果が良ければ、まず抗真菌薬を、それから抗MRSA薬を中止してみてはというアドバイスだった。培養再検は全部の抗菌薬を中止にはしにくいので、1剤になったところでその日の抗菌薬が始まる直前に出してみてはとも言われた。

 今日は「感染症治療のエッセンス&ピットフォール」竹末芳生総監修(じほう)を購入。

 

 

 

 

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「皮膚疾患の診かたと診療のコツ」

2018年04月07日 | Weblog

 医師会の「皮膚疾患の診かたと診療のコツ」に行ってきた。マルホの共催なので、ファムビル・アメナリーフとヒルドイドの宣伝になる。

 帯状疱疹・単純疱疹の治療戦略

 HHVは1から8まであるが、HHV1がHSV-1、HHV2がHSV-2、HHV3がHZVになる。HZVは、初感染が水痘、潜伏感染は知覚神経節、再活性化が帯状疱疹。典型的な皮疹はわかりやすいが、伝染性膿痂疹・毛嚢炎と鑑別しにくいことも。神経の1分節に出るが、2分節で出ることや左右両側に出ることもまれにある。散布疹を伴ったり水痘のように全身に疱疹がある場合はウイルス血症を呈していて重症。基本的には知覚神経障害だが、まれに運動障害もある。

 抗ヘルペスウイルス薬は、ウイルスを死滅させる薬ではなく、ウイルスの増殖を抑制する薬。ゾビラックス・バルトレックス・ファムビルは腎排泄なので、腎機能(CCr)による投与量調整(減量)を要する。尿細管で濃縮されて結晶化する(尿細管障害)。血中濃度上昇によるアシクロビル脳症が起きる。また鎮痛薬としてロキソニンなどのNSAID併用による腎障害も考慮しなければならない。高齢者ではアセトアミノフェンが安全。

 新発売のアメナリーフ錠200mgは初めての肝代謝(糞便に排泄)の薬で、400mgを1日1回7日間投与(適応は帯状疱疹のみ)。脂溶性なので必ず食後に内服。空腹時では吸収が低下。抗ウイルス薬は症状が軽減しても規定の日数はきちんと服用する。

 外来のフォローは3~4日目と7~8日に行っているそうだ。神経痛が続く時は、神経障害性疼痛としてガイドラインに沿ってリリカ・サインバルタ・トリプタノールなどで治療する。抗ウイルス外用薬(アラセナ)は抗ウイルス薬の全身投与があれば不要。

 単純ヘルペスによる口唇ヘルペス・顔面ヘルペスも神経節でのHSVの再活性化が起きており、抗ヘルペス薬の全身投与が必要(軟膏だけはダメ)。

 ワクチンは、50歳以上で水痘ワクチン接種が可能。ワクチンを接種しても約半数で帯状疱疹が発症(高齢者ほど比率が高い)するが、軽度で済む。10年ごとに接種するのが好ましい。もうすぐ新しい帯状疱疹ワクチンが出るそうだ(有効性97.2%)。

 

 皮脂欠乏症の治療戦略

 角質の水分保持は、皮脂・角質細胞間脂質(セラミド)・天然保湿因子(細胞内)からなる。皮脂欠乏症は、皮脂欠乏性湿疹、貨幣状湿疹と悪化していく。指先に乗せた軟膏量1FTU(finger-tip unit)0.5gは、手のひら2枚分以上は伸ばさない(十分量を使用する)。FTUで示すと、頭部が2、上肢が3、手が1、体幹(腹側と背側それぞれ)が7、下肢が8、足が2FTU。塗布部位がてかるくらいが適切。

 皮膚保湿剤としては、ワセリン、尿素製剤、ヘパリン類似物質含有製剤(ヒルドイド)がある。ワセリンは単なる脂で、刺激はない。尿素製剤は保湿剤として十分ではなく、刺激がある。ヘパリン類似物質含有製剤は、吸湿(空気中の水分を)して角質層に水分を付与する。保湿性が持続して、刺激性が低い。保湿剤としてはヘパリン類似物質含有製剤が一番良い

 保険診療では、保湿剤の処方量は1回200gまでで、2週間おきに処方できる。不足分はOTCで補うしかないが、お勧めはKaoのキュレル(セラミド製剤)。

 皮脂欠乏性湿疹は、炎症があり保湿剤だけでは治らないので、ステロイドを加える。very strongのアンテベート・ネリゾナを使用しているそうだが、年齢が若い時や吸収率の良い部位ではステロイドの強度を下げる。

 外用薬の混合の時、保湿剤としてヒルドイドソフト軟膏(水の中に油)を使用する。クリームはダメ(水の中に油)。例として、ヒルドイドソフト軟膏+アンテベートを1:1。混合してもステロイドは弱まらない。むしろ混ぜると皮膚透過性が増す。

 経皮吸収剤のトラブル防止にも保湿剤を使用する。貼付剤の2割で皮膚トラブルのため休薬、中止している。刺激性接触性皮膚炎への対応・予防に保湿剤外用を使用する。EGFR阻害薬による皮膚症状(ざ瘡性皮膚炎、皮膚掻痒症、皮膚乾燥、爪囲炎)にも使用する。

 

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Cameron lesion

2018年04月06日 | Weblog

 体調不良でしばらく休んだ後に、午前中外来診療だけしていた消化器科の先生がフルタイム勤務に戻った。救急業務はしない条件で、入院患者さんも少しだけ診はじめた。

 昨日消化器科に2名入院したので、どんな患者さんか訊いてみた。ひとりは80歳女性で心窩部痛で受診した。肝機能障害があり、血清アミラーゼも軽度から中等度に上昇している。総胆管結石は指摘できず、明らかな胆道系の拡張はない。総胆管結石が一時的に末端に陥頓して、うまく自然排した後ではないかという。

 今日MRCPで確認することになっていたが、昨夜から腹痛が増強していた。時間を早めて行ったMRCPでも総胆管結石は指摘できない。しかし肝機能がさらに悪化して総ビリルビンも4.4まで上昇している。血清アミラーゼも昨日より上昇していた。排石した後だけとはいえなくなってきた。ちょうど今日は消化器病センターのある病院から外来応援に来てもらっていたので、相談してそちらの病院に転送になった。胆道ドレナージをおく処置になるのではという。

 

 もうひとりは消化管出血による小球性貧血の84歳女性だった。上部消化管内視鏡検査でバレット食道(LSBE)があり、悪性を疑う潰瘍性病変を認めていた。生検して結果待ち(食道腺癌疑い)だという。また重度の食道裂孔ヘルニアがあり、ヘルニア門内に胃潰瘍(周囲に再生上皮があり良性)があった。

 なんでも食道裂孔ヘルニアの横隔膜貫通部の胃潰瘍は、Cameron lesionというそうだ。胃酸だけではなくて、血流の問題があるらしい。どちらの潰瘍も潰瘍底に黒色の点状出血があるが、露出血管はなく、慢性の出血が続いていたと判断される。受診時の貧血はHb4,9g/dl(MCV59)で、輸血をした後は鉄剤投与で経過をみていた。

 消化器科の先生には、無理はしないで、ぼちぼちやっていくよう勧めた。

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肛門挙筋症候群

2018年04月05日 | Weblog

 今日の午前中は救急当番だった。84歳女性が心肺停止で救急搬入された。家族は救急隊が到着するまでの15分間に何もしていない。救急隊到着時は心室細動を認めて、AEDを作動させたが効果はなかった。心静止で心肺蘇生術を行いつつ、搬入されてきた。喉頭までの挿管による人工呼吸、点滴とアドレナリン静注が行われていた。

 搬入後もPEAにもなったり心静止になったりで、アドレナリンを2回追加して心肺蘇生を継続したが難しい状況だった。ところが、その後思いがけず弱い脈拍が触れ始めて、下顎呼吸様の動きが見られた。血圧70mmHg。人工呼吸を継続したが、意識はなく瞳孔も改善しなかった。

 以前当院の循環器科に通院していたが、廃科となった時に、循環器科の開業医に紹介になった方だった。新任の循環器科の先生に依頼した。家族と相談の上、人工呼吸器を装着して、病棟に上がったが、結局その後数時間くらいで亡くなった。先月地域の基幹病院循環器内科に心不全の増悪で入院しているが、その時は浮腫が増加したそうだ。今回は浮腫を認めず、心室細動そのものによるのでは、という話だった。

 

 73歳男性が頭痛で救急要請したと連絡がきた。昨夜嘔気・嘔吐があり、頭痛・めまいがしたと言っていた。意識は清明で、その時は頭痛はなく、めまい(浮遊感)を訴えた。頭部CTは異常はなく、念のため頭部MRIも行ったが、新規の脳血管障害はなかった。

 血液検査で予想外の炎症反応上昇があった。発熱はなく、胸部症状はなく、腹部の症状もなかったが、この方は人工肛門が造設されていた。以前からあるが直腸指診で肛門の激痛を訴えて、途中でやめるようになる。肛門周囲膿瘍などを疑って胸腹部造影CTを行ったが、腹腔内のは問題がなかった。左下葉背側に浸潤影があり肺炎があった(胸部単純X線でもぼやっと若干の陰影があるようにも見える)。

 人工肛門造設なので、最初は直腸癌術後かと思ったが違った。難治性の便秘と肛門痛(膀胱痛も)があり、消化管疾患で有名な病院で検査して、肛門挙筋症候群と診断されていた。「肛門挙筋症候群」?。

 患者さんの強い希望で、当院で人工肛門造設が行われた(担当医は大学病院へ移動)。たぶん診断した病院では手術に応じなかったのだろう。様々な治療が記載されているが、人工肛門というのは一般的ではないかもしれない。

 せっかくの手術後も肛門痛は続いていた。手術の前後に複数のペインクリニックを受診したが、効果のある治療はなかったそうだ。現在慢性疼痛としてトラムセット・リリカ・モルヒネが処方されていた。現在の外科外来担当医も、前の先生から引き継いだものの、外来で診察に来るたびに困っているという。

 内科としては肺炎の治療をして経過をみる。肛門挙筋症候群という病気があるとは知らなかった。とりあえず、外科外来の処方は継続とする。

 

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膵癌

2018年04月04日 | Weblog

 大学病院から内科新患に来ていた先生が、4月からフルタイムで他の病院に勤務することになった。医局からの派遣ではなく個人契約だったので、応援は終了となる。

 内科専門医専攻医になった若い先生が4月から来ている。専攻医は、ホスト病院から地域医療枠で数か月派遣されることになっている。ただ自治医科大学出身の先生は義務年限があり、県の意向で3年のうち2年は地域の病院に出されるそうだ。今回来られた先生も1年間の予定で赴任した。週に1回はホスト病院である医療センターに戻る。

 さっそく今日は内科新患を診てもらった。60歳代なかばの男性が左季肋部痛で受診した。胸部・腹部単純X線を行って、肺気腫があるのはわかったが、腹部はわからない。37℃台の発熱(自覚してなかった)と検査で炎症反応上昇があった。 胸腹部CTを追加すると、膵体部に腫瘍があり、多発性肝転移とリンパ節転移も認めた。血液検査に腫瘍マーカーも追加すると、CA19-9が振り切れるほど上昇していて、CEAもかなり増加していた。下肺野の肺炎胸膜炎も疑っていたが(炎症反応上昇から)、それはなかった。

 患者さんは、食事は3食はとれる。体重減少は測定していないのでわからないというが、目がくぼんだというので減少しているはずだ。 鎮痛薬のみ処方して、後日家族といっしょに受診した時に詳しい病気の説明と治療の相談をすることにした。手術適応はないので、抗がん剤治療をどこで受けるかになるが、通院できれば腫瘍内科のある病院に紹介したい。

 医療センターの内科専門医専攻医担当の先生からは、「地域医療枠で貴院に若い先生が続けて行くかどうかは、実際に派遣された先生が良い研修ができたかどうかで決まります。病院の腕次第です。」、と言われている。

 

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心気的な印象

2018年04月03日 | Weblog

 70歳女性は先週発作的な動悸で内科新患を受診した。先月からその症状が続いて1週間前に循環器科外来を受診していた。ホルター心電図や心エコーなどの検査が行われて、異常はなかった。動悸といっても有意な頻脈ではなく、不整でもなかった。一見して、心因性という印象をもつ雰囲気の方だった。

 循環器科医が心因性として、精神科クリニックに紹介した。内科受診の前日に受診して、SSRI少量と安定薬が処方されいた。SSRIは2週間くらいは内服しないと効果が出てこないこと、それまでは症状が出た時に安定薬を頓用で使用して様子をみる治療になることを説明した。安定薬を少し追加して、1日に2~3回くらいは使用してもいいことにした。

 夫が先月から前立腺癌の治療を受けていて、その送り迎えをしていて、心身ともに疲れていたそうだ。精神科の見立てはパニック障害なのだろう。

 今日再受診の予約を入れていた。安定薬の頓用はそれほど使用することがなかったが、症状はほとんど起きず良くなっているという。精神科クリニック通院を続けてもらうことにした。表情明るくなっていたというか、険しさがなくなっていた。

 

 内科クリニックの紹介で、時々後頭部~後頸部痛が出たり、だるさが出るという76歳女性が内科新患を受診した。この方も心因性の雰囲気をもっている。頭痛を訴えて先週当院の神経内科外来を受診して検査を受けていた。結果は異常なし。

 症状が出現する時に心配になって血圧を測定すると、180になっていてさらにびっくりするそうだ。そのうち血圧は下がってしまう。普段は血圧が110~120くらいだった。内科クリニックでCa拮抗薬が頓用として処方された。

 デパス(0.5mg)2錠分2が処方されていた。いつからと訊くと、15年くらい前に当地に引っ越す前に住んでいたところのクリニックで処方が開始されていた。いろいろな症状を訴えて頻繁に受診してから開始されたそうだ。それを今のクリニックでも継続していた。朝就寝前内服となっていたが、就寝前には必ず内服して良く眠れるが、朝は内服していないので余ってしまうという。

 褐色細胞腫による発作性高血圧でもないと思われた。症状が出現した時に、デパスを頓用して少し休んでもらうことにした。しばらくそのやり方で経過をみて、良くならなかったら再受診して下さいと伝えた。帰り際の表情は少し明るくなっていた気がするが、気のせいかな。

 

 日曜日に96歳女性が意識障害で救急外来を受診した。頭部MRIで脳梗塞を認め、MRAで右内頚動脈が閉塞していた。心房細動もあるが、脳血管全体が狭窄しているので、塞栓症ではないかもしれない。内科の先生が病状悪化時はDNRとしていた。助かることは助かるが、そこから回復することはなく、点滴で長く入院することになりそうだ。(頭部CTはその2日後の撮影で、当日のCTでは病変を指摘できない)

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間質性肺炎

2018年04月02日 | Weblog

 昨日の日曜日に、84歳男性が発熱・呼吸困難で救急外来を受診した。土曜日の日直の後に病院に泊まって日曜日の昼までいたので、日直の先生(神経内科)に相談された。

 この患者さんは、1年半前から当院の呼吸器科外来(大学病院からのバイトの先生担当)に通院して経過をみられていた。処方は鎮咳財のみを症状のある時だけ内服するように出されていて、ステロイドは投与されていない。酸素飽和度は室内機で正常域だったが、労作時の息切れはひどかった。、それでも仕事をしていたらしい。

 胸部X線・CTで見ると、昨年12月と比較して胸膜下の蜂巣肺の部分は増加している。肺野に淡いスリガラス陰影があるような気がするが、自信はなかった。明らかな浸潤影の増加で細菌性肺炎併発とはいえず、間質性肺炎自体の悪化を考えたい。ただし、肺気腫の画像でもそうだが、蜂巣肺に感染が加わるとべったりとした浸潤影にはならないかもしれないが。

 呼吸器内科の常勤医のいる地域の基幹病院への転送を勧めたが、幸いに引き受けてもらえた。治療としては、1)抗菌薬投与で経過をみる?、2)抗菌薬を投与しつつステロイドを投与する?(ステロイド量の設定は?)、のどれでいくのだろうか。抗菌薬の投与のみで改善すれば、短期間で当院に回されると思う。

 昨日の91歳女性はステロイドパルス(ソルメドロール500mg)を開始したところ、解熱して陰影も改善した。ステロイドは症状をマスクしてしまうので何ともいえないが、COPのような気がする。

 「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き」を買ってみたが、これだけでは難しい。

特発性間質性肺炎診断と治療の手引き

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病棟急変

2018年04月01日 | Weblog

 昨日土曜日は日直だった。外来受診は少なく、救急搬入も不思議になかった。これだけだと楽な日直だが、午前中から3名の入院患者さんの急変した。

 ひとりは83歳女性で3年前に心不全で循環器科(当時)に入院した既往がある。内科クリニックで治療を継続していて、喘息もあったがそちらの処方は中止になっていた。今回は今月初めに喘鳴がひどくなって紹介された。心不全の悪化とはいえず、気道感染による気管支喘息発作と判断された。

 抗菌薬とステロイド(デカドロン点滴静注)で喘鳴は軽快してきたが、予想よりも長引いて、プレドニン内服をゆっくり漸減していた。途中から吸入ステロイド(ICS/LABA)を開始して、プレドニンを中止する直前だった。

 前夜に胸部苦痛を訴えたと後で看護師さんが言っていたが、すぐに治まったそうだ。昨日午前10時ごろにナースコールがあり、冷汗と血圧低下(76/50mmHg)を認めた。意識も低下した。心電図では広範にST低下があり、ST上昇はなかった(aVRのST上昇とはいえなかった)。CK-MBの上昇はないが、トロポニンT陽性だった。ふだん2ケタのBNPが4ケタになっていた。ACSによる心不全と判断される。

 心臓血管センターのある病院へ連絡すると、幸いに受けて受けてもらえて、救急搬送した。点滴を開始して、血圧100ちょっとになって、会話もできるようになっていた。看護師さんが同乗していたが、搬送途中の救急車内から連絡が来て、また血圧が70台ですという。点滴を早めてもらって、何とか搬送先に着いた。

 

 もうひとりは、90歳女性で地域の基幹病院循環器内科からの転院した患者さんだった。認知症があり、施設入所を希望されていて、当院でリハビリをしながら施設待ちだった。施設から実態調査が来て、もうすぐ入所できる見込みだった。

 先方の病院には、心不全で入院して、発症時期は不明の陳旧性心筋梗塞と診断されていた。入院当初はかなり悪かったらしく、高齢でもあり、病状悪化時はDNRでしたと診療情報提供書に記載されていた。

 当院に転院してすぐに、浮腫の増加・胸水増加があった。もともとの利尿薬(ダイアート・アルダクトンA)にラシックス・サムスカを追加して何とか軽快していた。

 昨日朝から呼吸困難を訴えて、喘鳴が聴取された。胸部X線でまた胸水の増加・肺うっ血があった。内服薬としては限界になる。血圧は保たれているので、ラシックス点滴静注・ハンプの点滴静注を開始した。心電図では転院時とほとんど変わらないが、心筋梗塞の範囲が少しずつ広がっているのかもしれない(転院時の心エコーでEF40%)。

 家族(娘は看護師)と相談したが、基幹病院での治療を希望された。ベット事情の厳しい病院だが、連絡すると日直医から循環器内科に相談するのでといったん返事待ちになった。その後搬送を受けてくれたので、さっそく救急搬送した。(さすがに自分の病院から紹介した患者さんなので、受けてくれるとは思っていたが)

 

 さらに両側肺炎で入院した91歳女性は一気に陰影が広がった。3日前の夜間に発熱で入院したが、両側の肺野の複数個所に浸潤影とスリガラス様陰影が散在して、奇異な印象だった。細菌性肺炎ではないかもしれないと思いながら、酸素吸入は不要だったのでまずは抗菌薬投与で開始した。

 発熱が続いて、昨日胸部X線・CTを再検すると、両側肺野にスリガラス様陰影がまだらに広がっていた。心房細動・心不全もあるので、その影響もあるが、これは細菌性肺炎ではなく。間質性肺炎などの何らかのびまん性肺疾患ではないか。白血球数13800、CRP21.5と炎症反応が上昇していた。

 これは呼吸器科のある病院で診てもらった方がいい。患者さんは高齢だが認知症はないし、できるだけの治療を受けさせたい。家族を呼んで、病状をお話して救急搬送を勧めた。家族の希望はここで診てくださいだった。このまま進行すると数日持たない可能性が高いとお話したが、転送は希望しなかった。専門科に行っても、年齢的に気管支鏡の検査や人工呼吸器管理まではしないとは思うが。

 

 

 

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