なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

透析患者の肝膿瘍

2018年04月26日 | Weblog

 AST(抗菌薬適正使用チーム)で週1回院内の抗菌薬使用で問題になる症例を検討している。血液培養陽性例、特定抗菌薬使用例(カルバペネム・抗MRSA薬)、抗菌薬長期使用例(2週間を越える)が対象になる。ほとんどICN(感染管理認定看護師、正確にはCNIC)と細菌検査室の検査技師さんに任せていて、当方は感想を述べるだけ。それを週1回来ている感染症専門医の先生に診てもらってコメントをいただいている。

 今週は血液培養陽性例で、血液透析を受けている78歳男性の症例が上がってきた。血液培養2セットから大腸菌が検出されていた。肺炎はなく、尿路感染症かと思われたので、透析患者さんの尿路感染症は診断が難しいとか、de-escalationできそうという話になったが、違った。

 7年前に血液透析導入になっている。一人暮らしで、子供はいるがあまり関わり合いになりたくない様子だ。生活が乱れていて、暴言・暴力もあるらしい。透析はいやだと言い出してもめたりしている。

 今回は透析日に来院せず、自宅に連絡したり兄弟に連絡したりした。その後ふらふらしながら病院の駐車場まで車を運転してきたらしいが、そこから動けなくなっていた。その日は透析をして入院になった。

 入院後に発熱があり、炎症反応上昇と若干の肝機能障害もあった。胸腹部CTで肝臓内に膿瘍と判断される陰影があった(もともと多発性肝嚢胞もある)。血液培養を提出して、抗菌薬(メロペネム)が開始された。その後解熱して、炎症反応も改善してきた。

 腹腔内感染症だと培養で検出されなくても嫌気性菌カバーになるので、抗菌薬は変更し難い。

 透析患者さんだと、1日1回メロペネム0.5gのみの投与なので、DPC的には助かると、変なことを思ってしまった。入院すると透析費用は別会計だった?。むしろ、治療は長くかかるし、果たして自宅退院できるかどうかもわからない。

 

コメント (1)
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