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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膵癌・閉塞性黄疸

2015年02月23日 | Weblog

 午後に91歳男性が内科外来に来た。明らかな黄疸だった。今年になってから食欲が落ちているという。体重減少があるが、測定していないので正確にはわからない。妻が昨年老人保健施設に入所して、一人暮らしだった。1週間前に知人に黄疸を指摘されたが、受診したのは今日だった。

 腹部エコー、腹部造影CT、さらにMRCPと一気に検査した。消化器科医に画像を見てもらって検討した。総胆管・肝内胆管、それに主膵管が著明に拡張している。膵頭部に腫瘍があり、周囲の血管に浸潤していた。十二指腸水平脚にも浸潤しているようだ。総胆管は膵内胆管での圧排だけではなく、腫瘍浸潤があるのだろう。CA19-9は一万を越えている。診断は3時間でつき、膵頭部癌・閉塞性黄疸だった。

 手術はできない。抗がん剤の適応もないだろう。治療は胆道ドレナージだが、乳頭部からかのアプローチができるかどうか。まずこの患者さんは小柄で、腰が曲がっている(認知症はなくて、年齢を考慮すればしっかりしている)。十二指腸が周囲の圧排のためか大分変位している。明日、上部内視鏡検査を行って、十二指腸下行脚にうまく挿入できるかどうか、乳頭周囲に癌の浸潤がなく処置ができそうかどうかを確認して、乳頭からのアプローチができそうであれば、専門の病院と相談することにした(当院ではできない)。PTCDは当院外科で行っているが、今日相談したところでは、乳頭からの処置でという返事だった。肝内胆管の拡張の程度から見て、PTCDは充分可能と判断される。

 首都圏に住む息子さんに電話して、病状を伝えた。最初重症度が伝わらなかったようなので、胆道感染から敗血症性ショックになることなど、急変の可能性があることを伝えると、明日来てくれることになった。何の処置をするにしても家族の同意がないとできない。紹介のしようもなくなる。

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