なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

病院でリストカット

2018年08月08日 | Weblog

 昨日、誤嚥性肺炎が治癒して午前中に退院した84歳男性が、自宅に帰ってから高熱が出て動けないと病院に連絡が来た。主治医だった内科の若い先生が不在の日だったので、救急搬入されたその患者さんを診ていた。

 救急室では名前を聞いたことのある36歳女性がストレッチャーに乗っていた。初期対応をした外科医(大学病院からのバイト)が、常勤の外科医に申し送っていた。

 ちょっと遠方の精神科病院に通院している。5年前に気管支喘息の発作で入院治療をしたことがあった。そのころ母親の話では統合失調症で通院となっていた。入院すると母親が付き添うことになるが(病院の事情もあるが、いないと本人が不安がる)、母親は症状が良くなるとすぐに連れて帰っていた。その後主治医が代わったが、喘息発作で2日~3日の入院を計3回していた。さらに睡眠薬の過量内服でこれも2日入院していた。

 1週間前に転倒して頭部切創の処置を受けた(ステイプラー)。その日は抜鉤に来ていたのだった。病院の売店でカミソリを買って、病院のトイレで手首を切った。傷は浅く、看護師さんが気づいて処置室に連れてきた時には止血していた。縫合処置を受けて帰宅した。

 帰宅後に自宅で浴室掃除に使用するバスマジックリンを1/3ほど飲んだ。母親が精神科病院に連絡すると、精神科では対応できないといわれて(単科病院)、当院を再受診した。調べたところ、飲んでも重大な問題にはならないらしい。1日経過観察のために外科病棟に入院した。今日は特に問題なく無事退院になった。

 今回は精神疾患名は双極性障害・人格障害となっていた。母親の話だから正確かどうかわからない。印象としては境界型(情緒不安定型)人格障害と思われるが、精神科の問題なので何ともいえない。

 担当した外科医が、「何で死にたいと思うかなあ」、と渋い顔で言っていた。外科で担当する症例ではないが、傷の処置があるので、仕方なく外科で入院としたようだ。

 精神科・春日武彦先生によれば(CareNeTV)、「人格障害では、うつ病の様な本気の自殺行為(縊首・飛び降り)はしないで、(命には別条のない)リストカットや過量内服が多い。しかしついやり過ぎて本当に死ぬこともあるから注意が必要。」。精神科としても、年齢を重ねて(病状・パフォーマンスの)勢いが弱まるのを待つしかないそうだ。

 

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