先週の5月22日(水)に消化器科医が内視鏡的胃瘻造設術(PEG)をする予定だった。お手伝いを依頼されていて、午後2時ごろをいわれていた。
その日は病棟の多職種カンファランスとICTのラウンドもあり、リハビリ病棟での思いがけないお見舞いの家族の低血糖発作もあった。そういえば胃瘻造設で呼ばれないと思っていたが、中止になっていたのだった。
患者さんは88歳女性で、4月初めに著しい低ナトリウム血症(100)と判明して、担当した内科の若い先生が大学病院に搬送した方だった。大学病院での治療後に、当院に転院していた。
食事摂取が進まず胃瘻造設が予定されたが、前日の血液検査でHb5.9g/dl(MCV94.7)と貧血があることがわかった。吐血下血はなかった。
急遽貧血精査の上部消化管内視鏡検査が行われて、十二指腸潰瘍(A2)を認めた。検査した時は明らかな出血はなかったので処置は不要だった。
4月9日大学病院搬送時のHbは12.1g/dLと年齢的にはほぼ正常域だった。4月23日大学病院病院から転院してきた時にHb9.2g/dLと(後から見ると)すでに低下していた。
5月の連休明けに行った下肢エコーで軽度の深部静脈血栓症が疑われた。造影CTを行って、下肢の深部静脈血栓症が確認されたが、肺血栓塞栓症は(CTでわかる範囲では)なかった。そこでDOAC(エドキサバン)が開始された。
これも後で見るとだが、CTで十二指腸球部から下行脚にかけて壁肥厚があるようだ。大学病院入院時から十二指腸潰瘍があり、にじむような出血はあったのだろう。そこにDOACが処方されたので出血が進行した、という経緯のようだ。
P-CAB(タケキャブ)内服が開始されて、輸血(濃厚赤血球4単位を2日間)も行われて、今週はHb14.4g/dLと正常(より上昇?)だった。
十二指腸潰瘍の治療が開始されて、貧血が改善すると、食事摂取できるようになった。胃瘻造設は不要となるようだ。