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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝細胞癌

2024年03月01日 | 消化器疾患

 内科外来に通院している80歳男性は、泌尿器科にも前立腺肥大症(過活動性膀胱も)で通院していた。

 肉眼的血尿があり、泌尿器科で腹部単純CTを行った。腎泌尿器には特に異常はなかったが、思いがけず肝臓内に腫瘤を認めた。症状はなかった。

 泌尿器科から外科外来に紹介された。現在外科は非常勤の外来しかないが、紹介したのは以前当院に在籍していた外科医だった。

 腫瘍マーカーの提出と腹部造影CTが行われた。腫瘍マーカーはAFPは正常域で、PIVKA-2が2050と高値だった。(CEAは正常域だが、CA19-9が320と高値。B型・C型肝炎は陰性。)

 造影CTの放射線科読影レポートは「肝左葉S4に腫瘤を認める。高吸収域と低吸収域を認め、不均一な造影効果を有し、肝細胞癌に一致する」だった。

 がんセンターに紹介され、手術予定となった。この前外来を受診した時に、今週入院して手術予定です、と報告があった。

 

 この患者さんは降圧薬で血圧は安定していた。問題はいっしょに通院していた妻で、名前をいうと看護師さんたちは全員知っている方だった。

 こじれた身体表現性障害で、心因性多飲症もあった。何度も体調不良を訴えて入院していた。その妻の診察に30分近くを要し、その後夫の方は血圧だけ確認して処方継続となってしまっていた。

 妻は肥満と胸髄症術後などで介護が必要であり、認知症の進行もあった。家族会議の結果、精神科病院通院から入院となった。やっと介護(身体的・精神的)から解放されて一息ついたところで癌が見つかった、ということになる。

 

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肝細胞癌

2024年02月19日 | 消化器疾患

 2月19日(月)の外来予約が入っていた83歳男性が、がんセンターの緩和ケア病棟で亡くなったと報告が来ていた。2月8日付けの診療情報提供書は、最初に紹介した外科医宛に来ていた。

 2018年6月に消化器科の上部消化管内視鏡検査・腹部エコー検査が行われた際に、腹部エコーで肝腫瘍を指摘された。肝炎はなかった。同年7月に当院外科で肝切除術が行われた。(当時は外科医が5名くらいいた)

 2021年12月に右恥骨部の痛みがあり、CTで同部への転移が確認された。手術した外科医はすでに他の病院に移動していて、残った外科医ががんセンターに紹介した。放射線療法が行われて、この転移部はその後も再燃はしていない。

 外科常勤医が不在となり、当方が経過をみていた。2023年5月に腰痛で検査すると第5腰椎への転移があった。またがんセンターに紹介して放射線治療が行われた。

 肝臓内の転移に対しては癌化学療法は希望しなかったため、消化器内科でTACEが行われていた。しだいに腹腔内に腫瘤が散在するようになった。

 2023年9月に肝臓内に腫瘤が複数あり、がんセンターに紹介した。またTACEが行われた。腰椎の病変も進行していた。

 2024年1月11日のがんセンター受診時に黄疸の増悪があり、消化器内科に入院した。その後は緩和ケア科に転科となっていた。

 癌性疼痛の治療とせん妄対策が行われていた。面会制限はなかったので、2月4日家族が見守る中で亡くなったそうだ。

 がんセンターに通院していたが、糖尿病の治療は当院で継続していた。12月に来た時に、もう当院に来ることはないかもしれない、といっていたがその通りになった。

 

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急性胆嚢炎の再燃

2024年02月01日 | 消化器疾患

 昨年12月27日に記載した急性胆嚢炎の75歳男性のその後。

 1月31日に消化器科医が病棟で地域の基幹病院宛の診療情報提供書を記載していた。下記の経緯で先方の病院と当院を行ったり来たりになっているのだった。

 

 地域の基幹病院整形外科に頚髄症で入院していた。手術を勧められて一度は同意したが、その後に翻意して保存的治療となった。当院整形外科に転院してリハビリをしていた。(歩行器歩行で、当院でも手術を勧めたが拒否した)

 入院中に急性胆嚢炎(胆嚢結石あり)となって、消化器科医が診て12月25日に地域の基幹病院に救急搬送になった。

 

 基幹病院外科に入院して、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)が施行された。症状は改善して、手術適応は乏しいと判断された。PTGBDは14日で抜去された。

 1月11日にまた頚髄症のリハビリのために当院(消化器科で)に戻された。1月18日から発熱が続き、胆嚢炎の所見を認めた。(1月19日CT、1月30日MRI)

 抗菌薬投与が開始されて、高熱は治まったが、平熱~微熱で推移して炎症反応(CRP15程度)は横ばいだった。手術適応と判断して、1月31日また基幹病院外科に転送となった。

 胆嚢結石は残っているし、これば最初から手術適応だと思う。患者さんは頚髄症の手術拒否だったが、胆嚢摘出術も拒否したという記載はない。

 

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出血性直腸潰瘍

2024年01月22日 | 消化器疾患

 1月5日、1月14日に記載した79歳男性のその後。COVID-19による肺炎だが、隔離期間を過ぎても遷延・増悪していた。デキサメサゾンを1月12日から初期量に戻したが、どうなることかという状態だった。

 

 1月14日(日)に血便が中等量出た。病棟から連絡が入り、バイタルは変化がなかったので、止血剤の点滴静注を行った。

 翌日15日に看護師さんの撮影した血便の写真を見ると、便が赤黒色で、下部消化管出血で間違いなかった。採血では貧血の進行はなかった(Hb値は前回と同じ)。腹痛の訴えはなかったが、虚血性腸炎を疑った。

 その後は普通便の表面に血便がわずかに付着するくらいになり、治まっていくと判断していた。ところが18日にまた同様の血便が中等量あった。

 19日に大学病院から内視鏡検査に来てもらっている先生に相談して、グリセリン浣腸の前処置で直腸~S状結腸を確認してもらうことにした。上手な先生なので、便が残っていてもさらに深部まで診てくれるかもしれないという期待もあった。

 内視鏡を挿入すると、直腸に浅い潰瘍面が散在していて、そのうちのひとつは1/4周くらいだった。潰瘍面に突出はないが、黒色の血管が複数あった。さらにS状結腸から口側に進んで、残便をかき分けて盲腸まで観察してくれた。

 直腸潰瘍の他には小ポリープがあるだけだった。便秘による直腸潰瘍による出血として、潰瘍面の血管を凝固止血してくれた。

 

 肺炎は解熱して、炎症反応が改善した。胸部CT再検で間質性陰影が軽減し始めていた。1月18日に呼吸器外来に来ている先生に診てもらって、デキサメサゾンの漸減は慎重に1週間ずつ行うことになった。(8mg=6.6mg/日から6mg=4.95mg/日)

 認知症(のBPSD)だけでも大変だが、肺炎と消化管出血と、糖尿病のステロイド投与による悪化(インスリン強化療法、点滴への混合など)もあり、対応が難しい。

 

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総胆管結石

2023年12月28日 | 消化器疾患

 12月26日(火)の午前中は救急外来を担当していた。発熱外来を兼ねているが、救急搬入以外はコロナとインフルエンザの迅速検査(オーダーを入れるだけ)をして、内科外来に回すことになっている。

 地域医療連携室から連絡が入った。施設入所中の102歳女性が内科外来に紹介されてきて、外来担当医には連絡してあるという。迅速検査を行って、両者陰性で外来受診となった。施設嘱託医も連絡を受けた外来担当医も誤嚥性肺炎を想定していた。

 その後、隣りの市の救急隊から搬入依頼がきた。当院腎臓内科に通院中の87歳女性が心肺停止となって、現在心肺蘇生中だという。家族の目の前で倒れたというが、年齢的には難しいだろう。

 搬入後に心肺蘇生を継続したが反応がなく、死亡確認となった。駆けつけた他の家族に説明してたりして、昼過ぎまでかかった。

 

 102歳女性はどうなったか確認した。白血球13800・CRP7.2と炎症反応が上昇して、胸部CTで右肺に肺炎疑いの所見があったのは予想通りだったが、肝機能障害(AST 219・ALT 173・ALP 324・γ-GTP 327・血清ビリルビン1.7)と血清アミラーゼ上昇(2171 IU/ml)もあった。

 腹部CTで総胆管拡張があり、総胆管末端に結石がありそうだ。膵臓は全体に萎縮しているが、膵頭部は腫脹しているかもしれない。総胆管結石による急性胆管炎・急性膵炎だった。

 入院の手続きがされていた。当院では対処できないので、搬送を手配する必要がある。そう思っていると、すぐに入院が取り消しになって、地域の基幹病院へ搬送となっていた。ちょうど放射線科の読影医が来ていて、所見を聞いたらしい。

 よく102歳を受けてくれたと思うが、超高齢でも内視鏡処置で対応できると判断したのだろう。

 

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急性胆嚢炎

2023年12月27日 | 消化器疾患

 12月25日の夕方に整形外科医が、地域の基幹病院が引き受けてくれたので今から搬送する、と話しているのが聞こえた。患者さんは頚髄症で入院していた74歳男性だが、搬送理由は別にあった。

 

 この患者さんは11月7日に意識障害で先方の病院に救急搬入された。当初は脳神経内科や精神科で診察を受けたが、四肢の不全麻痺が判明して頚髄症として整形外科の入院となった。

 手術を勧められたが、結局手術はしたくないということで保存的治療となった。すぐに自宅退院もちょっということで、12月7日リハビリ目的で当院に転院してきた。

 当院でも手術を勧めたが、拒否していた。電子カルテには「四肢麻痺で動けなくならないと手術しないのでは」と記載されていた。

 12月14日に右膝関節の腫脹があり、関節穿刺などで治療していた。炎症反応の上昇があり、内科の別の先生がかかわって胸腹部CTが施行されていた。胆嚢内に結石があるが、胆嚢炎の所見はなかった。

 12月24日(日)夜に上腹部痛が訴え、微熱もあった。整形外科医が胸腹部造影CTを行うと、胆嚢の腫脹を認めた。白血球21800・CRP24.3と著明に上昇していた。肝機能はさほど上昇がなく、CTで胆道系の拡張がなかった

 消化器科医に相談することにしたが、大腸内視鏡検査をしていてすぐには対応できなかったらしい。午後4時過ぎに診察して、腹部MRIを追加された。(上記所見なのですぐに搬送依頼でよかったとは思うが)

 

 翌日の12月26日の朝、ロッカールームで消化器科医と会った。昨日のことを話してくれた。

 腹部造影CTでは胆嚢周囲の低濃度域が判断しがたかったという。胆嚢襞腫脹の描出で、穿孔ではないと思うが・・・。受け入れはどうかと心配したが、先方の外科医がすぐに搬送するようにといってくれた、と言っていた。

 

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直腸癌

2023年12月21日 | 消化器疾患

 12月19日(火)の午前中は救急当番だった。発熱外来も兼ねていて、最初に受診した患者さんがコロナの迅速検査陽性だった。最近はもっぱらインフルエンザばかりだったので、ちょっと驚いた。

 午前11時ごろに隣の市の救急隊から搬入依頼がきた。12月17日(日)にも下痢で当院に救急搬入されている69歳男性という。ちょっと待って下さい、と電子カルテで確認すると、確かに受診していた。

 2週間前から下痢が続いて、嘔気もあって食欲がないという。日当直は外部の先生だった。腹部CTでは異常なしとしていた。血液検査で炎症反応は陰性で、電解質や腎機能の異常もなかった。症状が続くなら入院してはと勧められたが、経済的理由で外来点滴だけで帰宅していた。

 自称”下痢”は違うことがあるので、救急隊に訊いてもらったが、とにかく頻回でひどいとだけ患者さんが言っているそうだ。(搬入後にわかったが、ぶっきらぼうな対応の患者さん)バイタルは問題ないので、来てから考えることにした。

 

 発熱もなく、バイタルを確認しても血圧が高め(160)以外は問題なかった。普通に会話もできるが、下痢が続くとしか言わない。(高血圧症でクリニックに通院しているが、薬が切れていた)

 本当に水様便なのか確認するために直腸指診をすると、直腸下部に全周性の腫瘤が触れた。出血も付着してくる。直腸癌だだった。

 下痢ではなく、むしろ便秘で便が出にくかったのではと訊くと、半年前からそうだという。排便時に出血があったほずだがと訊くと、うなずいた。

 直腸癌で直腸が狭窄して、わずかに残った内腔の隙間から液状で血性の便が少量ずつ断続的に出ている、というのが正確な症状だった。

 腎機能を確認して、胸腹部造影CTを行った。直腸下部の腫瘤=癌が描出された。明らかな肺転移・肝転移はないようだ。(右股関節置換術をしていて、直腸の高さで読影しずらいが、その目でみれば17日の単純CTでも腫瘤は疑える)

 明らかな腸閉塞ではないが、一番狭窄した部位を見ると、そのうち詰まりそうだ。当院は現在外科手術ができないので(常勤外科医不在)、搬送するしかない。

 地域の基幹病院は先週病棟逼迫の案内が来ていて、受け入れは厳しいかもしれないという心配があった。先方の地域医療連携室に連絡して消化器内科の先生につないでもらと、幸いに受けてもらえた。「直腸のステントは・・・」、と独り言が聞こえてきた。

 

 その日の朝に、前日の当直だった整形外科医から、当方担当の老衰の90歳代の男性が亡くなりましたと報告があった。繰り返す誤嚥性肺炎とせん妄があり、家族がもう高カロリー輸液などは希望しません、といわれていた。

 亡くなったのは午後11時過ぎで、深夜帯でないのがまだ当直医としてはよかったか。しかし救急外来の方が、午前0時過ぎと、午前2時過ぎ、午前6時過ぎの受診があり大変だったようだ。

 その日の午前10時過ぎには担当していた食道癌・多発性肝転移の80歳代男性が亡くなって、病棟で看取った。その日はCOVID-19肺炎でみていた80歳代女性も軽快退院したので、入院が一気に3名減ってしまった。

 

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アルコール性肝硬変

2023年12月17日 | 消化器疾患

 12月14日当直の内科の先生が翌日午前3時過ぎに、当方の患者さんに続いて消化器科の74歳女性の死亡確認をしていた。アルコール性肝硬変・肝性脳症だった、 

 電子カルテで確認すると、2022年10月に同様の食べられない・動けないで入院した際は当方が担当していた。当初、名前と病名を見ても思い出せなかった。入院サマリーを見ても、病気のことだけしか記載していないので、どんな患者さんだったかわらかない。

 何か書いていたような気がして当ブログを確認すると、2022年10月18日と10月23日にこの患者さんのことを記載していた。あの患者だったと思い出した。最初に外来で診た時に、付き添ってきた夫に飲酒の事情を訊いたのも覚えていた。

 

 今回は、9月28日からの入院だが、退院の当てがなくずっと入院継続となっていた。11月半ば過ぎに病棟の患者さんと病棟看護師さん数名がCOVID-19に罹患した(きっかけは職員持ち込み)。その時、4人部屋に2名入院していた消化器科で診ている患者さんがCOVID-19に罹患した。そのうちのひとりだった。

 発熱は2日で治まり、COVID-19罹患による原疾患の悪化は認めなかった。その後も入院継続となっていたが、数日前から誤嚥性肺炎となり、抗菌薬が投与されていた。肺炎自体によってというより、それをきっかけにして全身状態が持たなかったということらしい。

 

 この方は市会議員の娘さんで、それなりにいい職場に就職した(公共放送局の支部)。結婚を機に退職したが、出産後に離婚した。親族から引き継いだスナックを経営することになり、仕事柄飲酒量が増えていった。

 再婚した夫は誠実な方だったが、本人はアルコールはやめられず、アルコール性肝硬変・肝性脳症となった。アルコール依存の治療のために精神科病院を受診していたあたりは、本人の止めたいという気持ちがあったのか、夫の熱意だったのか。

 

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魚骨が腸に刺さった

2023年12月06日 | 消化器疾患

 12月4日(月)は新患受診が多かった。大学病院からの応援医師が担当だったが、再来も診つつの外来で対応ができなかった。その日内科再来を診ていた当方と、別の内科医2名も呼ばれて分けて担当していた。

 最後に呼ばれた先生は、内科クリニックから紹介された腹痛の56歳女性を担当した。11月17日ごろから心窩部痛(軽度)があり、クリニックを受診した。腹部所見には乏しく、PPIを処方したそうだ。

 その後、11月29日にも受診したが、やはり腹部所見には乏しいと判断していた。そこから症状が悪化して、再々受診をした。筋性防御はないが反跳痛があると判断されて、当院紹介となった。

 こちらでも腹部所見は同様と診断された。腹部CT(単純)で小腸の一部に周囲の脂肪織の炎症像があった。腸管内に石灰化のような細いものがある。腸管壁を突き抜けているようだ。魚骨と思われた。

 症状が出る前にあら汁を食べいたそうで、やはり魚骨らしい。魚骨の穿孔による小腸周囲の限局性腹膜炎ということになる。

 地域の基幹病院は受け入れできず、県庁所在地にある市立病院へ搬送となった。硬膜下血腫に続いて、お世話になることになった。

 

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嘔吐が続く

2023年11月30日 | 消化器疾患

 11月28日(火)に他の町の精神科病院から、5日間嘔吐が続く79歳女性が搬送されてきた。

 アルツハイマー型認知症で入院してるが、寝たきり状態で発語もなかった。11月初めから食事をとらせようとしても、口を開かなかったという。

 腹部は少し膨満しているが、割と柔らかい。圧痛としてはとれなかった(表情が変わらない)。下痢はなく、むしろ便秘だった。癌による腸閉塞だと当院では(外科手術ができないので)対応できない。

 CT(当初は単純で、造影も追加)で見ると、胃液が貯留して十二指腸下降脚までガスで拡張している。小腸はほとんど拡張していなかった。大腸はガスで拡張していて、上行結腸の限局性壁肥厚(浮腫状)とS状結腸のある程度長さをもった壁肥厚を認めた。(読影に来ていた非常勤の放射線科の先生に診てもらったが、癌ではありまえせん、と)

 腸閉塞とはいえなかった。上腸間膜動脈症候群も考えたが、有意な十二指腸の締め付けはない。

 経鼻胃管を入れようとしたが、ある程度入ったところで口側がたわんでしまう。めったにないが、透視下で挿入した。すると、黄色の便臭のある消化液が吸引されてきた。これだけ見れば、第腸閉塞による腸閉塞だが、画像上はいえない。

 両側肺に嘔吐の誤嚥による誤嚥性肺炎もある。基幹病院外科に依頼するわけにもいかないので、当院で経過をみることにした。

 その後、経鼻胃管からの吸引液は胃液らしいものになってきた。運よく軽快しても経口摂取はできない病状になっていると思わるが、できる範囲で治療するしかない。

 

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