湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

日乗で語られる墨東綺譚

2010-03-04 22:04:04 | 湘南ライナーで見る


「あなた」
「~なさい」
「~でしょう」
「~していらっしゃい」
明治、大正、昭和初期の小説に登場する女性たちの言葉遣いが美しい。
しかも目上に対しても、こうしたやや上から目線的な物言いである。
『濹東綺譚』(永井荷風著 岩波文庫 460円+税)に出てくる娼婦お雪などは、これが妙になまめかししくていい。夏目漱石や森鴎外で読む気高い女性たちと変わらない言葉遣いなのだ。
先日、その『濹東綺譚』を映画化したDVD(新藤兼人脚本1992年監督 東宝)を観た。
映像になり女優さんが喋ると、さらに不思議な情感を作り出す。そのころにタイムスリップしてみたくなる。お雪だけではない、お雪の雇い主(乙羽信子)、そして主人公の母親(杉村春子)との会話も素敵だ。
この映画、タイトルは『濹東綺譚』だが、『断腸亭日乗』という永井荷風先生自身の日記に沿って展開していく。つまり、『濹東綺譚』の主人公は先生自身である。
“比類なき都市散策者”とも呼ばれるその永井荷風先生が、大正、昭和初期の東京を歩く。映像では、当時の景色が薄暗くも色鮮やかでいい。ただ、淡々とした“日常”が描かれているので、興味のないものにはちっとも面白くない映画かもしれません。念のため。
余談だが、前半では若いころ “お世話になった”八神康子さんにも再会できる(笑)。蒸気機関車の登場シーンは『裸の銃を持つ男』を彷彿させ笑いを誘った。
尚、乙羽信子さんは1960年の作品にも出演している。こっちも観てみたい。

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やはり、3社とも日本振興銀行さんのネットワーク。たいへんありがたいことです。胸を張って開幕を迎えることができますね。

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