
1999年9月21日の大地震で破壊され、長らく修復作業が続いていた台中の霧峰林家花園が、1年位前にようやくリニューアルオープンしたと聞き、知人たちとともに行ってきました。
林家花園というのは、清の時代に、台湾で大きな勢力を持っていたおうちの一つ、林さんのお宅です。当時は他にも新北の板橋の林さん、鹿港の辜さん、高雄の陳さんというお宅が大きな力を持っていたそうですが、こういった大きなうちの勢力は台湾社会に大きな影響を与えていたらしく、霧峰の林家は中部台湾の田畑の測量を行ったり、太平天国の乱に加わったりと、それはそれは物凄い家柄だったようです。

再オープンしたと言っても、一般観光客が見学できるのは、この広い敷地を持つお屋敷の中で、「宮保第」と「大花廳」という棟だけ。ほかの建物群は、まだ修復が終わっていないとのことで、見学できませんのであしからず。

修復されただけあって、確かにレンガの色が新しいですね。早速宮保第の中に入ってみることに。

堂本、ではありませんよ、キンキキッズじゃなくて、本堂です!

屋根瓦とレンガと黒い木造の組み合わせが素敵です。

上方に施された木工彫刻が、また凝ってますなあ。

この日のガイドさんは日本語もできました。大学で日本語を専攻していたそうで、上手に説明してくださいますよ。

扉の両側に施された木工の透かし彫りがイカしています。

燦然と輝く「宮保第」の文字。

透かし彫りの素晴らしさもさることながら、色目もいいですね。

建物の扉の上部には必ず扁額が飾られています。一族の繁栄が込められた文字が書かれています。

木工彫刻の素晴らしさを解説するガイドさん。

棟の中ほどにはお庭があります。

当時このお屋敷に住んでいた人々に使われていた道具類も展示されています。当時の人力車。

木の扉の細工も細やかです。

お屋敷の一室でお客さんにお茶のサービスがありました。

しばしお茶をいただいて休憩です。

部屋の外壁の飾り彫りも素敵です。壁の下のほうはレンガ造りになっていますが、一番下に、小さく四角形に切り出されたところがあるのがわかりますか。これはネコの通り道だそうです。ネズミ退治のためにネコが飼われていたのだとか。

お屋敷の中にはたくさんの小部屋があります。

六角形の窓枠がなんともお洒落。

宮保第から大花廳の棟へと進みます。

おお、なんとも変わった造りですこと!丸い穴みたいなのがぽっかり開いてるけど、何なのこれ?

と、思ったら、階段があってその上にはなんとも素敵な彫刻が施された扉があるじゃないの!これは何??ガイドさんいわく「ここはねえ、舞台なんですよ。今、私たちがいるのは舞台の裏で、ここからパフォーマンスを演じる人が上に上がって登場したのです。」

で、舞台がこれ!ひょえー、すごいゴージャス!だってねえ、お家の中にステージがあるんですよ。昔のお金持ちのうちってすごいわねえ。
ちなみに、おととしの秋、安室奈美恵ちゃんがここでミュージックビデオを撮影したのだそうです!ガイドさんが嬉しそうに説明していました!!

舞台の天井の彫刻も超イカしています。こういうところにも凝ってるのは、さすが豪族!

ステージから広間に向かいました。まあ、もう、これは立派過ぎますわ!

奥のほうにある螺鈿細工のテーブルとか椅子、めっちゃ高いんだろうな~、という庶民のゲスな感想。壁にある肖像は当時の林家の偉い方々。

螺鈿細工のテーブルとか椅子、めっちゃ高いんだろうな~、という庶民のゲスな感想。

長い鉄砲!林家では軍隊も抱えていたそうですので、こういうものがたくさんあったんでしょうね。ちなみに、この長い鉄砲は二人がかりでかついで撃つんだそうです。操作が難しそうだ~。

大花廳の前方の建物には扉の上部に九つの文字が彫られています。これらの文字は、それぞれ字体が違いますが、全部「壽」という字です。「九」の 発音が中国語では「久」と同じなので、いく久しく長寿であれ、という祈りが込められたものなのでしょう。
霧峰林家花園:台中市霧峰區民生路26號 TEL04-2331-7985