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台北の迪化街といえば、聞いたことがある人も多いと思います。ガイドブックなどで紹介されているように、迪化街は漢方薬や乾物、布地を売る問屋街で、道の両脇にはたくさんのお店が並んでいます。漢方薬の材料や干し椎茸、貝柱、ドライフルーツなどが袋にいっぱい詰め込まれて置いてあったり、ガラスケースの中に入ってずらーっと積み上げられていたり、豪快な商品配置に圧倒されちゃうほどですね。
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台湾のお正月には欠かせないたくさんのお菓子も迪化街で調達できます。その中でも必須とも言えるキャンディーが鮮やかに並んでいる様はアートと言えるかも。
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でも、それだけがこのストリートの魅力ではありません。19世紀初頭から水路の淡水河に近い迪化街は、商品の倉庫的な役割として栄えました。それでこの道沿いや迪化街の近辺には上の写真のように古い建物が多く残っているのです。台北市政府は迪化街を古蹟として保存するため、現在修復工事を行っています。
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そして上の写真はなんと、元祖ワトソンズ。ここも今、外装だけを残して中は改造中でした。
さて、建物の外観だけでなく、今回はその中も少しご紹介したいと思います。迪化街にお住まいの知人のお宅は迪化街の中の漢方薬屋さん。店舗の2階が住まいになっていました。お邪魔しま~すと中に入ったら、古い造りの部屋や古い家具がすぐ目に飛び込んできました。お聞きすると、このおうちも100年以上昔からあって、当時とそんなに変わりがないとのことでした。迪化街は台北市政府から「古蹟」に指定されているため、住人であっても勝手に改築してはいけないのだそうです。
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お宅の床は木の床。100年間ずっと変わっていないとか。また窓の形も上の写真のようにモザイク風のデザインが施された八角形のもの。芸術性といい耐久性といい、素晴らしい窓だなあと思います。ドアも木製で、釘1本も使わずに作られたものだとか。当時の大工さんの熱心な仕事ぶりが伺えました。
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寝室の壁際に立派なタンスが置いてありました。なんでも、100年近く前、中国大陸から来たお嫁さんが台湾でオーダーメイドしたタンスなんだそうです。木彫りの彫刻もさることながらタンス全体のデザインにオリジナル性が感じられます。鏡もタンスのデザインに合わせてうまく取り付け、当時の手法ではめ込まれています。本当はタンスの上部に鳥の木彫りの彫刻があったけど、いまは外してしまっているそうです。
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また、寝室を拝見すると、端の部分は幅70センチほどタイル敷きになっていて、洗面ができるようになっています。洗面台は今のものに取り替えたそうですが、手前の陶器製の台はいったい何だと思いますか?これは洗面器を載せる台なんです!これも100年もので、知人は今でも実際に毎日使用しているそうです。こういう台ひとつとっても、デザイン、色遣いの巧みさには驚きます。鑑定団の中島さんならきっと「いい仕事してるねえ」と唸るでしょうね。なんと、この洗面台は市から譲ってほしいと言われたことがあるそうです。博物館には偉い人が使った物品が展示されているが、当時の普通の人が日常生活で使っていたものがないので展示させてほしいとお願いされたそうです。しかし、
「今も私、使っているからねえ。」
と、知人はお断りしたそうです。
レトロなお宅にお邪魔して骨董品に囲まれ、何だかタイムスリップしたような気がしました。おうちの中の写真を撮らせてくださったRさんに感謝いたします。