山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

中央アルプスの素晴らしき谿!

2010-09-05 16:41:00 | フライフィッシング
午後3時半、相棒の熊さんから呻くような声で電話が入りましてね。

ケガしちゃってムリかもって。
『このバカチンがあ、よりによって遠征の日にケガするなんて何事じゃい』

と、そんな訳で今回の遠征は僕と幼なじみのOちゃんの二人旅になりました。
夜中の12時半に車止めに到着して、夜気に当たりながら睡眠薬代りにちょっとだけハイボ-ルを。

『岩魚はとりあえず尺を4尾キ-プして2尾は無人小屋の宴会用の刺身に、残りは朝飯用にヅケだな』
『多分明日は爆釣になるからね、3尾釣るごとに先行を交代して行こうぜ』
『塩焼き用は2尾、9寸でいいんじゃない』

こんなことを語り合っていたらいつの間にか午前3時を過ぎておりましてね。
午前5時には歩き始める予定だったのに二人ともアラ-ムを設定する気なんて更々なくて。

強い日差しに無理矢理起こされたのは何と午前7時過ぎの事でした。
『ヤバイッ!』な~んて危機感も更々なくて『さて、ボチボチ行きまっかあ!』
こんな風にガツガツさせないところが中央アの素晴らしさなのかもしれませんね。


とまあ少し前置きが長くなりましたが中央アルプス爆釣レポをお届けいたしましょうかね。

出だしからへばっている僕たちは、車止めから山道を4時間ほど歩く予定だったのを2時間に短縮して途中から入溪することに。
こうしてOちゃんと山を歩くのも久しぶりのことでビ-ルや酒の詰まった50Lのザックが肩にズッシリと堪えるのです。






溪相はこんな感じ。
大石や大岩が行く手を阻んで遡行に難儀させられるのですが、そこがまた中央アの素晴らしさなんですな。







水の透明度はピカイチで、左の岩陰や右奥の巻き返し、手前の落ち口から
尺岩魚が飛び出す瞬間をイメ-ジするとドキドキしてしまうのです。






1時間ほど遡行すると、上流から釣り人が下って来ました。
1キロほど上流まで行ったのでもう帰るという事で。

仕方なく脱溪して1キロ上流から入り直しです。
入溪路がないので入溪も脱溪も楽しい藪漕ぎ、これもまた中央アの素晴らしさなんですな。






相変わらず険しい谿ですが今度はどうでしょうかね。







左奥の岩陰で1尾、白泡から1尾、白泡の手前で尺、右奥の深みで1尾、
手前の岩の前の流れで尺、とまあこんな感じでこのポイントで5尾はいただきですな。






そろそろ昼の時間ですからね
冷やしたビ-ルが喉の奥に染み渡ります。
岩魚の刺身は夜の宴会の楽しみに取って置いて、ビ-ル本来の味を楽しむのも大人と言うもので。

と、上流からまたふたり釣り人が下ってきましてね、どうも芳しくないようで。
聞かれたので『僕たちは爆釣で、これから今夜の宴会用にキ-プしますよ』と。

野営はどこでと聞かれたので『無人小屋で』と応えると
『あの無人小屋は遭難者の仮安置所になっていて今まで20人以上の遺体が安置された』と。

それを聞いたOちゃんは『泊まるのやめて帰ろうぜ』なんてことをぬかしやがって
『いい年してなに怖じ気づいてんだよ、大体が霊感なんてこれっぽっちもないくせにさあ』
と言う僕も背中にぞくぞくするものを感じていた訳で、それならここでザックの荷を少しでも軽くしておこうとサントリ-角もグビグビっと。








黒部の谿と違って木々に覆われた谿は涼しくて、おまけに涼風も吹き渡り何とも心地よい午睡を誘います。
これこそが中央アの谿のひときわ優れた素晴らしさなのかも知れませんね。

こうして、まどろみの時間を無為に過ごす。
いつの間にか本物の心の余裕を持つ本物の大人に進化していることに気づいている僕たちなのでした。







谿の岩の上にひっそりと咲くスギゴケの花
『ナント可憐な』、そんな風に素直に感動できる僕たちは何てピュアなんでしょうか?






なんとか日が落ちる前に車止めに帰り着きました。
大人ならやはり温泉だしょ、ビ-ルだしょ。
山地図を広げて次回の遠征の企画を練るのも楽しいものでございます。

こうして僕たちの爆釣の旅は1日で終わりを告げたのでございます。





流れの奥深くで僕たちの陰に警戒しながらフライを見つめる尺岩魚
そんな数々の岩魚たちとの息を詰めるような神経戦を存分に楽しんだ一日でありました。


中央アルプス、それは大人の余裕を問われる懐深い谿とでも言っておきましょう(未完)


コメント (26)    この記事についてブログを書く
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26 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
酒は、、、 (Kz)
2010-09-05 17:51:44
酒は災いの元だな!

それにしても岩魚の画像一つもなしに釣りレポをまとめるなんざ、さすが大人の余裕のなせるワザか?
おお確かにあの岩陰にも流れだしにも尺岩魚が見えるぞ。ただ水面に上がって来なかっただけなんだよな。

素直に二人とも撃沈だったと吐いてしまえば楽になるのにねえ。

撃沈、バンザ~イ!

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いいなぁ~ (へなちょこN)
2010-09-05 21:46:23
また行ったんっすね!
今年はいつも天気が良くて絵が凄く綺麗ですね。

こちらは禁漁で悶々としているところに、茫然自失、意気消沈、自信喪失、お先真っ暗...な事件が追い打ちをかけ瀕死状態です。

今シーズンもう一度お逢いしたいですね。
返信する
しかし、 (Lure-K)
2010-09-05 22:20:07
いろいろな沢を知っていらっしゃいますね~
豊富な経験が、大人の余裕につながるんですね。

遭難者の仮安置所・・・、

知らなければ、気になりませんが、知ってしまうと恐ろしいですね。




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う~む (高崎)
2010-09-05 23:34:11
Kちゃん

まあ一言で言えば撃沈なんだけれどもね。
溪そのものは素晴らしかったのさあ。
でもねえ、やっぱ前夜の酒がいけなかったねえ。

少なくとも3人に先行されちゃって岩魚の反応は皆無、こんな経験は初めてなんだよねえ。
次回は早起きいたしますよ。
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Unknown (ヒロキチ)
2010-09-05 23:36:42
岩魚釣れすぎて写真撮る暇が無かったという事ですね^^;

こんな深い渓なのに先行者が結構居るんですね。

同じ歳ぐらいで渓流やってる仲間。そして気の会う仲間見つけなきゃ。

いつも楽しい日記ありがとうございます!
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お察しします (高崎)
2010-09-05 23:38:20
へなちょこNさん

早くも禁漁、お察しいたします。
しかもあの一件ですね、お察しいたします。

9月のシルバ-ウィ-クあたり
上京できるようなら1泊で南アにでも入りませんか
有終の美を飾れるかどうかはわかりませんが本物の源流はええですぜ。
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避難小屋 (高崎)
2010-09-05 23:41:26
Lure-Kさん

無人小屋とか避難小屋というのはそう言うことらしいですよ。今まで結構使わせてもらっていたのですが聞いてしまうとあまり気持の良いものではありませんね。

いやあ○ボもまた楽しからずや、余裕余裕ですな。
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仲間 (高崎)
2010-09-05 23:48:14
ヒロキチさん

お恥ずかしい限りです。
竿抜けもしつこく狙ってみたのですがウンともスンともなく終わってしまいました。

ホント、どこ行っても釣り人はいるものですねえ。
それでもサンデ-アングラ-としては、どんな条件でも釣らなくてはあきまへんな。

遠征に同行してくれる仲間はいた方が絶対にいいですね。でも僕たちは山も谷も殆ど単独行でこのOちゃんが同行すると決まってろくな結果にならんのですよ。
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残暑お見舞い (too)
2010-09-06 00:09:58
暑いっすね~。

熱が頭まで回ってイワナ爆釣で結構結構。

気持ちよく寝ていると人に釣られそうですが、、
高山では熊に襲われた人がいたりしてノンビリ釣行も命がけになってきました。
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アルプス賛歌 (太っちょボブ)
2010-09-06 00:51:32
日本アルプスは、北も南もいいけど中央も素敵なんですね。

憧れているのに行った事が無く、ちょっと歩いた記憶は八ヶ岳縦走で台風に遭遇してえらい目にあったことと、夜叉神峠から仰ぎみた白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)の美しかったことぐらいです。

一つ前の記事、黒部の峪には是非とも行ってみたいです。
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