錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

錦之助映画祭り(パート3)日誌~その2

2009-09-09 14:30:54 | 錦之助映画祭り
 錦ちゃんの映画を観ると俄然やる気が湧いてくる。頑張らなくちゃ!と思う。
 9月2日(水)に『股旅三人やくざ』を、5日(土)に『殿さま弥次喜多』を観る。今、新文芸坐で「鮮烈なる東映 ‘50s ~’70s」と題して、第一部・美術監督井川徳道特集をやっている。新文芸坐の売店で販売中の「一心錦之助」の在庫がなくなったという連絡があったので、その補充もあって、特集初日の午前中に行く。飯田橋の仕事場から池袋まで本20冊を旅行用バッグに入れて持って行ったのだが、途中で肩が抜けそうになる。私は、「五十肩」(四十肩が正式名?)とかいうヤツで、腕を上げるとイテテとなる。一時期は服に腕を通すのも大変だった。今はずいぶん良くなっているが、それでも、あまり重いものが持てない。「一心錦之助」は、厚めのコート紙を使ったので一冊の重量がかなりある。自分で言うのもなんだが、もっと軽い本にすれば良かったなー。
 新文芸坐にたどり着き、受付の女の子に納品書と本を預ける。井川徳道さんの新刊書「リアリズムと様式美 井川徳道の映画美術」が展示してあったので1冊買う。3,990円(税込)。ワイズ出版の本は相変わらず高い。パラパラとめくる。装丁も良いし、写真とデッサンがたくさん入っていてなかなかイイ感じ。あとは内容がどうかということ。井川さんには、「一心錦之助」の原稿依頼をしたときからずいぶんお世話になっている。京都シネマではゲスト・トークもお願いした。その日はお客さんが少なくて申し訳ないことをしたと思っている。7月に京都文博の錦之助特集で『祇園祭』を上映した日、私も京都へ観に行ったのだが、その時井川さんご夫妻も観にいらしていたので、映画が終わってから、食事にお誘いした。京都駅ビルの高層レストランへ行き夜景を眺めながらいろいろお話を伺った。その時、井川さんは8月末に出る新刊書を楽しみにしている様子だった。京都のホテルで東映が出版記念パーティをやってくれることを井川さん流の控えめな話ぶりで(自慢をしない)、実は内心嬉しそうに語っていた。残念ながら、私は忙しくてパーティへ行けなかった。5日に井川さんはトーク・ゲストとして新文芸坐に見えるので、その時お祝いを申し上げるつもり。さて、『股旅三人やくざ』を観るのは、約2年ぶり。同じく新文芸坐で「佐藤勝特集」を行った時に観て以来だ。『人生劇場 飛車角』と二本立てで、その日は沢島忠監督のトークがあった。『股旅三人やくざ』は三話構成のオムニバス映画。第三話の「春の章」で「待ってました!」とばかりに錦之助が登場する。面白いのなんの!錦之助が喜劇役者としても一流であることを証明した一作である。

 5日(土)、午後1時から井川徳道さんのトークがあるので、応援に駆けつける。12時半ごろ新文芸坐へ行く。井川さんはすでにいらしていると思い、直接5階の事務所へ行く。矢田さんがいたので、尋ねると、井川さんは下で映画を観ているとのこと。階下のロビーへ。喫煙所に今日の聞き手の山根貞男さんがいらしたので、挨拶する。山根さんに11月の「錦之助映画祭り」のことを話す。そろそろトークが始まるので、館内に入る。錦之助ファンの会の仲間が何人か観に来ている。町田さん、ポテトさん、あゆさん、くみさん、悟道さん。井川さんのトークは40分くらい。聞き手の山根さんの説明がちょっと長すぎ。井川さんの話に錦之助さんのことが出る。錦之助さんは俳優の中でもセットの作りをよく見ている人だったそうで、井川さんに会うと、「いいセットですね」と褒めてくれたという。井川さん曰く、「錦之助さんは東京人で素直に褒めてくれはったと思うんですが、私は京都人で、褒め言葉はお世辞なのかなと思うほうなんで、錦之助さんが怒ってました」
 トークが終わり、井川さんをロビーで待ち受け、挨拶と新刊書のお祝いを申し上げる。私が来ているので、ちょっと驚いた様子。「いい本が出来ましたね」と井川さんの本を出して見せると、ニコニコなさっている。
 「ロビーで本にサインしなくちゃダメですよ!」きょとんとした顔をしている井川さんをロビー中央のテーブル席へ案内する。どうも打ち合わせが出来ていない様子。ロビーに出てきた錦之助映画ファンの会の仲間に「井川さんの本、買ってよ」と声をかける。すぐに列が出来て、サイン会が始まる。井川さんは几帳面に、サインを求めるお客さんの一人一人に名前を聞いている。これで、十数人は本を買ってくれたと思う。良かった。
 サイン会が終わり、そろそろ映画が始まるので、井川さんに挨拶して、館内に入る。井川さんはこれから京都へ帰られるとのこと。
 『殿さま弥次喜多』は6月京都シネマで二度観た。この映画、何度観ても面白い。錦ちゃんのアップが多いのが良い。ひばりさんは(ちょっと太り気味だけど)、さすが。素のままのひばりさんが出ていて、しかも錦ちゃんへの好き好きモードがうかがわれ、ほほえましい。丘チンの焼き芋屋は絶品。ほんとに可愛い。抱き締めたくなる。ほっくら暖かそう。賀津雄さんが兄貴の引き立て役に徹して、でしゃばらないのも良い。
 まあ、そんわけで、この2日間、錦之助さんに元気をもらって帰ってきたわけである。

 11月の「錦之助映画祭り」を盛り上げるために私も頑張ろうと思う。今年は、石原裕次郎のイベントが国立競技場であったり、市川雷蔵の没後40年特別企画「大雷蔵祭」が12月から開催される。錦之助も負けちゃいられない!という思いを強くする。裕ちゃんには石原プロが、雷蔵さんには角川映画の全面的バックアップがあるのに、われらが錦ちゃんには、強力なプロダクションや映画会社の支援がない!東映本社の協力といっても事務的だし、東映ビデオ(株)(東映とは別会社)ができる限りの協力をしてくれているに過ぎない。頼みの綱は、錦ちゃんファン。それと協力してくださる俳優さんやスタッフの方々。
 錦之助に営業や金儲けは似合わない。生一本、純粋な心意気で世間の荒波に立ち向かう。男の中の男一匹!これぞ錦之助!
 錦之助映画祭りもこの意気で行こうと思う。(つづく)