この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

オチケン!

2009-06-12 22:43:10 | 読書
 大倉崇裕著、『オチケン!』、読了。

 ある大学の落語研究会を舞台にした青春ミステリー。
 なのだが、ミステリーとしては限りなくつまらない。
 とりあえず事件と呼べるものは起きるのだが、いずれも探偵役が特に推理することなくいつの間にか解決に至っているという感じ。
 青春ものとしてもはっきりいって凡庸以下。
 傑作『武士道シックスティーン』に比べるべくもないし、個人的には『SOKKI!』の方がはるかに楽しめた。
 落語を題材にしたお話としても及第点は与えがたい。テレビドラマ『タイガー&ドラゴン』の方が物語の展開と落語のネタの絡め方が抜群に上手かった。
 さらに終わり方の中途半端さにはちょっとビックリした。続きが気になるなら続巻を読め、ということなのかもしれないが(続巻があるかどうか知らない)、それはちょっと読者を舐めてると思う。

 感想はその程度だけれど、驚いたことは他にもある。
 実は自分はある大学の映画研究会を舞台にした『エイケン!』というお話を書きかけていて、それも『オチケン!』と同じく物語が始まった時点では部員が二人しかいないという設定なのだ。
 まぁ『エイケン!』の方はミステリでも何でもないし、それ以前に続きを書く気もまるでないのだけれど。
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モンスター・ハウス。

2009-06-11 11:23:50 | 旧作映画
 shit_headさんが「『グーニーズ』以来の傑作」と絶賛していた『モンスター・ハウス』を見てみました。
 フツーに面白かったです。
 親子が一緒になって楽しめるホラー映画の佳作ですね。
 モンスター・ハウス(お化け屋敷)のお話かと思っていたらハウス・モンスター(屋敷お化け)のお話でした。
 
 スティーブン・スピルバーグ×ロバート・ゼメキスpresentなんて銘打ってるから、てっきりスピルバーグが製作で、ゼメキスが監督なのかと思ってたら全然違ってて、監督はギル・ケナンという聞いたことない人でした。
 この人の名前をもう一度聞くことって果たしてあるんでしょうか?疑問です。

 ところで個人的に「モンスター・ハウス」と聞くとやっぱり『風来のシレン』の【モンスター・ハウスの巻物】のことを思い出すんですけど、それについては長くなるのでまた別の機会に・・・。
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今日から!!

2009-06-10 23:48:53 | 日常
 今日から朝日新聞で森見登美彦の『聖なる怠け者の冒険』が始まりましたね!!

 ぶっちゃけいって朝日新聞を購読している割には朝日新聞のことは全然好きじゃなくて、毎日新聞との将棋の名人戦を巡る騒動では公平を期するべき新聞社がそこまで仁義を欠いてどーするよ、とか思ったり、また唐沢俊一を書評委員として雇い続け、新聞社としての見識を疑ったりもしたのですが、久しぶりに三谷幸喜のエッセイ以外で朝日新聞を取っててよかった!と思いました。

 これから毎朝が楽しみだ!!
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氷菓。

2009-06-09 23:25:47 | 読書
 米澤穂信著、『氷菓』、読了。

 読後に感心したのは、作者はデビュー作ですでに自分のスタイルを確立していたのだなぁってこと。
 個人的には《小市民》シリーズの方がキャラが(正確にはヒロインが)ぶっ飛んでいて好きだけれど、こちら《古典部》シリーズも充分面白い。
 殺人など血なまぐさい事件の出てこない、青春ミステリーが好きという方は楽しめると思う。

 以下どーでもいい重箱の隅的疑問。
 
 まず、シリーズ第一作を読んだだけでは『古典部』が何をする部活動なのか、イマイチよくわからない。
 古典文学を愛好する部?っていうわけではなさそうなんだけど。
 本作を読んだだけではただの文芸部としか思えない。どう違うんかいな?

 活動の内容がわからないのに古典部に愛着を持つOGがいるってことが謎だ。
 何が彼女を古典部に執着させるのか?

 そのくせ廃部になっている古典部。
 そのOGが現役のときどーにかしようとは思わなかったのか?
 遠く異国の地から復活させようとしなくてもよかろうに。

 っていうか、経験上、兼部が認められているのであれば、廃部になるってことはありえないよね。単に名義を借りればいいだけの話だし。

 というような疑問はもしかしたら二巻で解決されるされるかもしれないので、必ずしもマイナス評価にはならないのだけれど、どちらかというと、狭い部室に可愛い女の子と二人きりでいるのに、まーったくドキドキもソワソワもしない主人公の朴念仁的性格がありえねーと思ってしまった。いくら“省エネ”が信条といってもねぇ。笑。
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飲酒運転はなくならない。

2009-06-08 23:24:00 | 戯言
 飲酒運転はなくならないと思う。
 
 酒を飲むというのはつまり理性を無くすというのと同意だ。
 理性のない人間に「酒を飲んだら運転をしてはいけませんよ」と道理を説いたところで聞き入れるわけがない。
 なので、飲酒する人間に「飲酒運転を根絶しましょう!」と呼びかけることで飲酒運転がなくなると考えるのは根本的に間違っている。

 飲酒運転はなくならないと思うと書いたが、飲酒運転をなくすのは実はものすごく簡単だ。
 具体的には単純にすべての自動車にアルコール検知器をつけて、運転手の呼気からアルコールが検知されたらエンジンがかからないようにすればいい。ただそれだけの話だ。
 スウェーデンでは2012年からすべての新車にアルコール検知器が装備されると聞く。遠くない将来、スウェーデンでは本当に飲酒運転がなくなるのではないか、と思う。

 一方日本ではどうか。
 一部のバス会社などでの導入が進んではいるものの、それが一般に普及している、またはそのための法整備が検討されているというような話はまるで聞かない。
 なぜアルコール検知器が日本では普及しないのか。
 答えは簡単、酒を飲む人間も飲まない人間も自動車にアルコール検知器を装備するに当たって発生する費用を負担したくないのだ。
 アルコール検知器の値段はそれこそピンきりだが、それなりの精度があり、なおかつ簡単には取り外せないものとなると、結構な額になる。
 酒を飲む人間は端からアルコール検知器の装備に反対だし、飲まない人間はなぜ飲まない自分が何万円もの額を負担しなければならないのか、納得しない。
 そして日本人の大部分がこのどちらかに属する。
 だから、日本では飲酒運転がなくならない。
 日本人の大部分は口ではどうこういってはいても、本気で飲酒運転をなくそうなどとはこれっぽっちも思ってないのだ。

 日本では政府主導でETC装備車が増えている。
 一説には一般車のETC装備率は50%にも届こうとしているという。
 アホか、と思う。
 ETCそのものはただの便利な道具にすぎないけれども、政府が積極的にその普及を努めているという現状は到底まともとはいえない。
 ETCの普及のための努力と熱意の1/10でもアルコール検知器の普及のために振り分けてくれたら、と思わないでもないが、ま、当分の間は無理でしょうね。
 これからも新聞の紙面を、まったく罪のない小さな子供や老人を酔っ払いが車でひき殺すという殺伐とした記事が賑わすことだろう。

 次の犠牲者の冥福を祈って、乾杯。 
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最近借りた本など。

2009-06-07 21:52:37 | 読書
 最近家での空いている時間の1/2ぐらいは未だにスーファミで『風来のシレン』をプレイしています。
 目指せ、99F!!などと大口を叩きながら、これまでのところ記録は55F。よーやっと半分を超えたか、ってぐらいです。もう目がウサギかってぐらいに真っ赤に充血するほどプレイしてるのにね。
 55Fまで行ったときももうちょっとは粘れると思ったんだけど、『エヴァ』のヤシマ作戦もビックリのデブートンの超長距離攻撃を喰らってシレンはあっけなく天に召されました。
 さすがにこのときは身も心も疲れ果て、しばらくは『シレン』を封印しようと本体からコントローラーとソフトを抜いて片付けたのですが、ふと気づくと五分後にはテレビの前には『シレン』をプレイしている自分がいましたね。
 恐るべし、『風来のシレン』!!まさに廃人製造機だよ!!

 こんなこっちゃいかんなと思って、図書館に行って本を借りてきましたよ。
 借りたのは以下の四冊。
○『氷菓』(米澤穂信著)
○『オチケン!』(大倉崇裕著)
○『野望への階段』(リチャード・ノース・パタースン著)
○『三百字小説』(川又千秋著・編)

 米澤穂信の『氷菓』は前からずっと借りたくて、図書館に行くたびにチェックしてたんだけど、同シリーズの二作目以降はあるのに、なぜかシリーズ一作目である本書は置いてない。
 閉架図書にあるのかなと思って館内の検索機でチェックしたら開架図書で貸し出し可能になってる。あれぇ???
 で、司書のおばちゃんに探してもらったらあっさり見つかる。
 こういうときって何だか敗北感に苛まされるよね。
 少し前、ツタヤで『CSI』のシーズン5のvol.6から8がどうしても見つけ切れなくて、仕方なく店員さんに聞いたら何故かそれらは倉庫に置いてあった。
 このときは「そんなワケわかんねぇとこに置いとくなよ!」と心の中で毒づいたものだけれど、そーゆー店員さん(図書館なら司書)との勝負とかやってる人っていませんかね?自分だけ?

 大倉崇裕の『オチケン!』はタイトルに惹かれ何となく。大学の落語研究会を舞台にした落語ミステリーだそうな。

 パタースンの『野望の階段』は何となく、、、ではなく、借りたくて借りたんだけれど、借りたくて借りた割にはたぶん読めないだろうな、という予感が満々。
 パタースンは『子供の眼』や『罪の段階』はリーガル・サスペンスの傑作だと思うけれど、『サイレント・ゲーム』あたりから怪しくなってきて、『ダークレディ』とかサイコーに詰まんなかった。
 そんなパタースンの最新作がアメリカ大統領選を題材にした本書。
 面白そうではあるけれど、最近すっかり読書力っていうんですか、とにかく分厚い本でも読み通せる力が減退著しいので、最後まで読めるかどうかは甚だ疑問。

 逆に簡単に読み終わりそうなのが川又千秋の『三百字小説』。 
 自分はショートショートを(たまに)書く割には、人の書いたショートショートを読むことがなくて、それはショートショートの神様星新一でさえそう。
 それがなぜ本書を借りたかというと、新作のショートショートを書き下ろすと約束した割には全然アイディアが浮かばないので、読んだら何かいいアイディアがパクれるかも、、、訂正、いい刺激を受けるかもと思って借りてみました。

 各書のレビューはまた後日。
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ターミネーター4。

2009-06-06 23:52:13 | 新作映画
 マックG監督、クリスチャン・ベイル主演、『ターミネーター4』、6/5、Tジョイ久留米にて鑑賞。2009年22本目。

 自分は『ターミネーター2』信者です。
 フェイバリット・ムービーが『ターミネーター2』なんですよね(同率で『ショーシャンクの空に』も好きなんだけど)。
 シリーズの原点である『ターミネーター』ももちろん好きなんですけど、どちらか一つを選ぶとすればやはり『ターミネーター2』ですね。
 アクション映画の一つの到達点だと思っています。

 そんな『ターミネーター2』信者である自分にとって『ターミネーター3』は許しがたい存在です。
 まず単純にアクション映画としてつまらないし、内容は前作を否定するものだし、何より作り手がそれまでのシリーズに対してリスペクトしているようには思えないからです。
 またテレビシリーズの『ターミネーター:サラ・コナー・クロニクルズ』もいっちゃなんだけどそんなに面白いとは思えない。
 俳優も作り手も頑張ってはいるけど、ただそれだけって感じがします。

 では最新作である『ターミネーター4』はどうか?
 先行して公開されたアメリカでの評判はもう一つだし、監督は『チャーリーズ・エンジェル』のマックGだし、全然期待してませんでした。
 ま、とりあえず観てみるか、ぐらいの気持ちで観に行ったのですが、、、『ターミネーター4』、案外面白い!!
 少なくともトイレでのドタバタバトルが作品の最大の売りである『ターミネーター3』よりかは遥かにアクション映画として楽しめる。
 新出のバイク型のモトターミネーターや巨大ロボットであるハーヴェスターもいい味を出してると思います。
 何よりきちんと前作、というか『ターミネーター』及び『ターミネーター2』に対して作り手が敬意を払っているのが随所で窺えます(無理やり感も否めないが)。

 とはいえ、べた褒め出来るほどでもないんですけどね。
 特に設定と展開が強引というか、いい加減というか。
(ここから先ネタバレあり)
 そもそもなぜスカイネットが侵入型ターミネーターを製作したのかが著しく説得力を欠きます。
 すべてが予定通りだった、みたいなことをスカイネットはいってますが、カイルを捕獲出来たことも、ジョンがスカイネットの中枢部に侵入したことも、どう考えても偶発的な要素が働いて、ですよね。そこまで計算出来るとは思えない。
 それにすべての目的を達したのにその後もスカイネットが侵入型ターミネーターを停止させない理由がまったくわからない。しかもわざわざ修理までして。
 他にも重箱の隅を突付こうと思ったら切りがないのだけれど、その最たるものは、何といってもラストの心臓移植でしょうかねぇ。
 いくら何でも型が適合するわけないじゃん!!と思ってしまいました。


 まぁでもアクション映画としてはそれなりにいい出来だと思いましたし、思っていた以上に楽しめました。
 ただ、隣りに座っていたオッサンが途中携帯電話をいじくっていたのが妙に気になりました。
 盗撮していたかどうかの確証はないのですが、電話で話すわけでもなし、メールを打つでもなし、それ以外で携帯電話をずっと手に持つ理由ってあるんでしょうかねぇ。。。

 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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ウサギとカメ、そしてサル。

2009-06-05 21:56:00 | ショートショート
 天まで続くかと錯覚させる上り坂を、ハア、ハアと息も絶え絶えに見上げながら、カメは一瞬意識が遠のいていくのを感じた。
 同時に村を出発したウサギはとっくにその姿も形も影も耳も尻尾も見えない。
 何て足の速い奴なんだ、そう心の中で呟きながらカメはこんな無謀な賭けに乗ってしまった自らの無謀さを呪った。

 そもそもの始まりは一週間ほど前のことだった。酒場で一人ちびちびと飲んでいたカメに酔っ払ったウサギが絡んできたのだ。
「それにしてもカメって奴は」 
 そこで一旦ウサギはぐっと杯をあおった。
「何てノロマな生き物なんだろうねぇ」
 そう言うとポンポンとウサギはカメの甲羅を叩いた。
「もしオイラがこんなノロマに生まれてたら、きっと悲しくって死んでしまうよ。その点カメは偉いよねぇ」
 同じく酒場で飲んでいたサルがウサギの悪酔いを諌めようとした。
「止めなよ、ウサギさん。カメさんにそんな失礼なことをいうもんじゃないよ」
「何だって?失礼なこと?オイラはカメさんのことを褒めてんだよ。なぁ、カメさん」
 普段であればこんな酔っ払いの戯言など耳を貸さなかっただろう。だがこのときのカメはウサギに負けず劣らず酔っていた。気も大きくなっていた。そのせいで、つい売り言葉に買い言葉でこう答えてしまった。
「そんなことないよ」
 サルに手を引かれ、その場を立ち去ろうとしたウサギはぼそぼそとしゃべるカメの言葉をその大きな耳でしっかりと捉えた。
「何か言ったかい、カメさん」
「そんなことないって言ったのさ」
「そんなことないってどういう意味だい」
「カメだって、その気になればウサギと同じぐらい速く走れる、ってことだよ」
 カメの言葉にウサギは腹を抱えて笑い出した。
「聞いたかい、サルさん。カメはその気になればウサギと同じぐらい速く走れるんだってさ!」
 一しきり笑ってから、ウサギはカメに向かってこう言った。
「じゃあ、カメさん、オイラと一つ競走をしようじゃないか。山一つ向こうの大岩までだ。どうだい?」
「ああ、いいとも」
 いつにも増して困ったような顔をしたサルを尻目に、カメとウサギはこうして世にも珍妙な競走をすることになったのだった。

 炎天下の山道でカメは意識が朦朧となっていた。顔は汗なのか、涙なのか、グシャグシャに濡れていて、心臓は今にも口から飛び出さんとばかりにバクバクと鼓動し、四本の脚が絡まってしまうのではないかと思うぐらい歩きは覚束なかった。
 このときのカメは競走以前にすでにまともに歩ける状態ですらなかった。だが、カメには棄権出来ない理由があった。
 いつの間にかこの競走にお互いの全財産を賭けることになっていたのだ。
 酔いが覚めてカメは顔が青くなったが、取り決め書にあるサインは見慣れた彼自身のものだった。
 地道に生きることが彼の信条であったが、同時に一度決めた約束事はどんなことがあっても決して違えぬ、というのもまた彼の信条であった。それは彼の誇りでもあった。
 今彼に出来ることはどれほど苦しくても一歩一歩前に進むことしかなかった。

 ようやく山の頂上にある一本杉が見え始めたときカメは気づいた。近づくにつれ、いよいよはっきりとなっていく。何と驚いたことに勝負の最中であるにも関わらず、ウサギがさも気持ちよさそうに杉の木の下で眠り込んでいたのだ。
 カメは無性に腹が立って、「馬鹿野郎!!」と叫ぼうとした。
 しかしそこでカメははっとなった。
 これはもしかしたら、願ってもないチャンスなのではないか?
 今ここでウサギを起こしてしまえば、いうまでもなくカメは自ら勝利を放棄することになる。
 それよりもこのままウサギになど構わず先を急ぐべきなのではないか。それが賢明というものではないか。
 そう考えて一歩踏み出そうとして、別の声が頭に響く。
 ここでウサギを起こさずに先に行くのは卑怯者のすることだ。勝っても負けても正々堂々と勝負は行うべきだ。
 相反する二つの声にカメはひどく混乱した。
 混乱し、悩んで、考えて、そして一つの決断を下した。
 カメは再び歩き出した。ウサギを起こすことなく。
 勝負というものは非情である。相手を見くびって、油断をしてしまう方が悪いのだ。ウサギを起こさなくてもそれは決して卑怯ではない。
 そう自分を無理やり納得させカメは先を急いだ。
 このような選択をしてしまった以上、いよいよ負けるわけにはいかない。死んでも勝たなければならない。
 カメは一歩一歩確実に進んでいった。歩みが鈍い分休むわけにはいかない。地面がぐらぐらと揺れ、今にも気を失いそうになる。しっかりしろ。気を失うなら大岩についてからだ。頑張れ。今は死ぬ気で頑張れ。

 坂がようやく緩やかになってカメはほっとなった。ここまで来れば大岩はもうすぐだ。幸い後ろを振り返ってもウサギがやってくる気配はない。
 大岩が見えてきてカメの顔に笑みが浮かんだ。この競走の審判をすることになったサルが大岩に腰掛け、カメに向かって手を振っている。
 そしてカメは最後の力を振り絞って大岩に触れた。
 勝った。勝ったんだ。カメの目から喜びの余り涙が溢れ出した。
 そのとき大岩からサルがひょいと降りてきて、勝利の余韻に浸るカメに言った。
「やぁ、遅かったね、カメさん。先についたウサギさんが心配して迎えに行ったんだけど、途中で会わなかったかい?」
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明日はいよいよ!

2009-06-04 22:53:37 | 日常
明日はいよいよ『ターミネーター4』が公開日ですね!!(正確には先行上映日)

自分はレイトショーで観てこようと思っています。

そんなわけで今日は早めに寝ないと、、、寝ないと、、、、寝ないと・・・。

モ゛ーモ゛ー。
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今夜は君を寝かせないよ・・・。

2009-06-03 23:21:37 | 日常
 佐賀県出身芸人であるはなわのせいで、一般的に佐賀県は田舎だと認知されているようですが、しかし同じ佐賀県であっても自分が住む鳥栖市は田舎ではありません。
 そう主張する根拠は何といっても交通の便のよさにあります。
 福岡市から久留米市に行くためには鳥栖市を通らないわけには行きませんし、久留米の先にある熊本、さらにその先の先の鹿児島に行くにもそれは同じです(迂回して行けないってわけではないですが)。

 なので気がつくとぽこぽこぽこぽこ雨後の筍のように物流センターが出来ています。
 ふっと目を離すとそこには物流センターが!!
 うわっ、ここにも!!あそこにも!!天井裏にも!!床下にも!!
 あっちにもこっちにも物流センターだらけでほんと油断も隙もあったもんじゃありません。
 っていうのはさすがにオーバーですけど、とにかく鳥栖市は交通の便がよく、そのおかげでそれなりに栄えているってわけです。
 というわけで鳥栖市は決して田舎ではないのです。

 なのですが。

 モ゛ーモ゛ーモ゛ーモ゛ー五月蝿いんだよ、ウシガエルが!!(「モー」ではなく「モ゛ー」。「モ」に濁点がつく。)
 雨が降ったせいか今日はまだしも静かですが、昨日一昨日はもう一晩中モ゛ーモ゛ーとウシガエルが鳴いてました。
 勘弁してくれ、っていいたいです。
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