東野圭吾著、『白夜行』、読了。
本当はドラマが終わるまで原作に手を出すのは止めとこうと思ってたんだけど、最近ドラマの脳内視聴率が下降気味なので、とうとう我慢できずに読んじゃいました。
ゴメンよ、はるか(←呼び捨て)。
いやぁ、噂に違わずやはりスゴイです、『白夜行』。
完璧ではありません。(以下ネタバレ。)
例えば探偵である今枝があれだけ違和感を覚えていながら、自宅に戻ってすぐ便所に直行するというのは明らかに変です。
松浦の死体が大阪の唐沢邸に埋められているというのも不自然ですし、必然性がないと思います。
他にもいくつか矛盾点や疑問点はあります。
けれど、それらの瑕瑾が瑣末でしかないと思えるほど『白夜行』はスゴイ。
主人公は桐原亮司と西本雪帆の二人に違いないのに、その二人の内面描写を一切することなく、回りの人間からの視点からだけで彼らの行動や心理が語られるという小説の技法は前代未聞といっていいでしょう。
小説としての面白さだけであれば直木賞を受賞した『容疑者Xの献身』と『白夜行』、どちらが上ということはないと思います。
けれど、その小説技法という点に置いて『白夜行』は唯一無二なのですから、この作品が直木賞を受賞していないというのは不可解としかいいようがありません。
あらためて直木賞って存在意義がないよなぁと思わずにはいられませんでした。
本当ならもう少し感想を述べるべきなんでしょうけれど、ただただ圧倒されるばかりで具体的な感想は思いつきません。(以下ネタバレ。)
一つだけいえるのは、最後に生き残った雪穂は哀れだなぁってことです。
実家の庭から死体が見つかった彼女に警察の追及が及ばないはずはないですし、少なくとも死体が見つかった時点で彼女の商売人としての命は絶たれたといってよいでしょう。さらに夫である康晴とはすでに一成たちによって楔が打たれていますからね。
自ら死を選んだ亮司は、雪穂を守りたいという信念の元で死んだわけですけど(実際にはそれは叶えられない)、けれど雪穂はこれからの人生、何一つ希望のないまま、白夜ですらない闇夜を生きていかなければならないのですから、自業自得ではあっても哀れといわざるを得ません。
ドラマ版の『白夜行』が3/23の放映分で最終回を迎えます。
ドラマ版って原作では触れられなかった箇所を補完するような形で作られていて、それはそれでありかなとは思うんですけど、やっぱり上澄みだけを掬ったという感は否めないですよね。見事なまでにお金の掛かりそうなシーンはばっさりとカットされていますしね。
いっそのことアニメで作ったらどうだろうって思いました。というか、アニメ向きの素材じゃないですかね、『白夜行』って。
基本的に登場人物は皆容姿端麗ですし、内容も二人の人物の二十年にも及ぶ時の流れを追うものですし(ドラマ版は武田鉄也演じる笹垣を見ても時の流れが感じられない)、そういった点でもアニメにしたらいいんじゃないかと思いました。
最後にモキエルさんの『白夜行』総括レビューを紹介。こちら。
二人の人生が年表としてよくまとめられているので物語の流れを理解するのによいと思います。
本当はドラマが終わるまで原作に手を出すのは止めとこうと思ってたんだけど、最近ドラマの脳内視聴率が下降気味なので、とうとう我慢できずに読んじゃいました。
ゴメンよ、はるか(←呼び捨て)。
いやぁ、噂に違わずやはりスゴイです、『白夜行』。
完璧ではありません。(以下ネタバレ。)
例えば探偵である今枝があれだけ違和感を覚えていながら、自宅に戻ってすぐ便所に直行するというのは明らかに変です。
松浦の死体が大阪の唐沢邸に埋められているというのも不自然ですし、必然性がないと思います。
他にもいくつか矛盾点や疑問点はあります。
けれど、それらの瑕瑾が瑣末でしかないと思えるほど『白夜行』はスゴイ。
主人公は桐原亮司と西本雪帆の二人に違いないのに、その二人の内面描写を一切することなく、回りの人間からの視点からだけで彼らの行動や心理が語られるという小説の技法は前代未聞といっていいでしょう。
小説としての面白さだけであれば直木賞を受賞した『容疑者Xの献身』と『白夜行』、どちらが上ということはないと思います。
けれど、その小説技法という点に置いて『白夜行』は唯一無二なのですから、この作品が直木賞を受賞していないというのは不可解としかいいようがありません。
あらためて直木賞って存在意義がないよなぁと思わずにはいられませんでした。
本当ならもう少し感想を述べるべきなんでしょうけれど、ただただ圧倒されるばかりで具体的な感想は思いつきません。(以下ネタバレ。)
一つだけいえるのは、最後に生き残った雪穂は哀れだなぁってことです。
実家の庭から死体が見つかった彼女に警察の追及が及ばないはずはないですし、少なくとも死体が見つかった時点で彼女の商売人としての命は絶たれたといってよいでしょう。さらに夫である康晴とはすでに一成たちによって楔が打たれていますからね。
自ら死を選んだ亮司は、雪穂を守りたいという信念の元で死んだわけですけど(実際にはそれは叶えられない)、けれど雪穂はこれからの人生、何一つ希望のないまま、白夜ですらない闇夜を生きていかなければならないのですから、自業自得ではあっても哀れといわざるを得ません。
ドラマ版の『白夜行』が3/23の放映分で最終回を迎えます。
ドラマ版って原作では触れられなかった箇所を補完するような形で作られていて、それはそれでありかなとは思うんですけど、やっぱり上澄みだけを掬ったという感は否めないですよね。見事なまでにお金の掛かりそうなシーンはばっさりとカットされていますしね。
いっそのことアニメで作ったらどうだろうって思いました。というか、アニメ向きの素材じゃないですかね、『白夜行』って。
基本的に登場人物は皆容姿端麗ですし、内容も二人の人物の二十年にも及ぶ時の流れを追うものですし(ドラマ版は武田鉄也演じる笹垣を見ても時の流れが感じられない)、そういった点でもアニメにしたらいいんじゃないかと思いました。
最後にモキエルさんの『白夜行』総括レビューを紹介。こちら。
二人の人生が年表としてよくまとめられているので物語の流れを理解するのによいと思います。
新海美冬は唐沢雪穂を凌駕する魔女ですから。
最後の方まで読んでみて戦慄が走らなければたいしたものです。
原作は亮司と雪穂の心の内をまったく語っていないんですよね。
でもだいたいはこんなんだろうなというのを、ほとんどの読者が同じ線引きをするわけで、それをモロに表現したのがドラマ版といってもいいです。
ドラマは現段階でこそ2人とも水準レベルの冷徹さを持っていますが、序盤は酷かったです。
なにしろ松浦という雑魚キャラを立てているのがとても気に入りませんでした。
やっぱり原作に深く感銘を受けちゃうとどうしてもダメですね。
>直木賞を受賞していないというのは不可解
で~す~よ~ね~!(←強調!)
あれでとれなかったのに、なぜこれで?ってなもんです。
あ、誤解なきよう、『容疑者X~』の素晴らしさは認めているつもりですから。
モキエルさんも仰ってますが、この感動を持続したまま『幻夜』へGO!です。
二重の衝撃がアナタを襲います。ふっふっふ。
面白かったですよね~。本を読んでしまうとドラマは疎かになってしまうのが世の常人の常?!終盤だというのに先週は見逃してしまいました。しかもうたた寝してて・・・
みなさんは続いて『幻夜』を勧められるんですね。私も未読です。誰か持ってるかしらん?
そーいえば、モキエルさんの言われるようにドラマではやけに松浦の出番が多かったですね。
やっぱり渡部篤郎をチョイ役ってわけにはいかなかったのかな。
ところで、松浦の死体がなぜ唐沢邸の庭に埋められていたのかがよくわからなかったんですけど、何か理由がありましたっけ?
普通に考えたらどこか人知れぬ山の奥にでも埋めそうなものですけど。(今枝と同じように。)
小夏さん、ドラマ版は、単に純粋にテレビドラマとして評価するならそれほど悪い出来ではないと思うんですけど、原作に思い入れがある場合見ないほうがいいかもしれません。
直木賞に関しては何ていうか、以前から不可解な賞だと思ってましたから、また一つそう思う根拠が増えたな、って感じです。(浅田次郎が『蒼穹の昴』では落選して、『鉄道員』では受賞しましたよね。『蒼穹の昴』の方がはるかに面白いのに。)
それにしてもモキエルさんと同様に『幻夜』を薦めるんですねー。
もちろん読むつもりではあるんですけど、気分転換に同じ東野圭吾の『トキオ』の方を先に買っちゃったんですよね。
そっちも面白いって薦めてくれた人がいたから。
でもすぐ読み終わると思うので、『幻夜』はその次に読みますね。
keiさんの例のお友達は『幻夜』を持っていないのでしょうか。
もし持ってなかったら、今度は逆にkeiさんがその人に本を貸すチャンスですよ!笑。
ドラマ、自分もパソコンしながら見てるので、あまり集中しては見ていません。
なので、ふと気がつくとがらっと登場人物が入れ代わってて、あれ~、友彦くんはどこいっちゃったの~、って感じです。
松浦の死体が唐沢邸に埋められているのは妥当だと思いますよ。
たしかあの頃はまだ亮司は大阪でしたから。
雪穂の息がかかっている土地であって、掘り起こされる危険性は少ない。
死体の隠し場所としては最適だと思いますよ。
今枝の方は不用心の感があります。
まあ毒ガスを仕掛けられているなんてことまでは想像しなかったんでしょう。
ところで家に帰ってすぐに便所に行くなんてことはありませんか?
いや、このまま誰もずっとコメントしてくれないかと思ってましたよ。笑。
そうですか、大阪には他に死体を埋める適当な場所がないんですね。
大阪の土地鑑がないからもっと山奥に埋めたらいいじゃん、みたいなことを思ってました。
ちなみに佐賀県だったらいくらでも埋めるのに場所は困りませんよ♪(おぃ。)
今枝の方はやっぱり無用心ですよね。
うわ、もう漏れる!って思いながら玄関の戸を開けることも無きにしも非ずですが、唐沢雪穂の身辺調査している最中は用心の上にも用心を重ねないといけないと思います。
「白夜行」はとても面白い本だと思いますけれど、読者の想像にまかせる部分が、やや多すぎなのではないでしょうか?
私は想像の余地が多い作品は、決して嫌いではないのですが。
審査委員の先生方にしてみれば、「もう少し書き込めよ、東野くん!」って感じだったのではないかと想像しています。(あくまでも私の個人的な想像です)
「容疑者Xの献身」は、読者の想像の余地がありつつ、ほのかに作者の意図が感じられるところが絶妙なんだと思います。
直木賞の審査の過程を想像するといろいろ面白いですよね。
といっても自分は直木賞にあまり信を置いていないんですけど。
ブログ、少しだけ拝見させてもらいました。
仙台にお住まいなんですね。しかも伊坂幸太郎を見かけたことがあるとか!うらやましいです。
そうそう『終末のフール』は早く読まれた方がいいですよ!
終末世界を舞台にしていてもとても前向きなお話なので読むと元気になれますから。