この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

単純に「面白かった!」とは言えない『透明人間』。

2020-07-21 22:06:01 | 新作映画
 リー・ワネル監督、エリザベス・モス主演、『透明人間』、7/18、イオンシネマ筑紫野にて鑑賞。2020年22本目。

 本作は公開二週目に観ました、
 公開二週目に観たといっても決して期待値が低かったというわけでなく、フリーパスポートを利用しての鑑賞だったので、一週ずらさざるを得なかったのです。
 公開二週目に観るとネットでの評判やら周りの観た人の評価など、否応なしに耳に入ってきます。
 観た人観た人全員「面白い!」と絶賛の嵐でした。
 おかげで観る前はすごく期待のハードルが高かったのですが、実際観てみると、ゴメンなさい、正直そこまでは面白いとは思えませんでした。
 
 なぜ面白いと思えなかったかというと登場人物の行動に納得できない部分が多々あったからです。
 例えば、ヒロインのセシリアは一度は逃げ出した元恋人のエイドリアンの屋敷に忍び込みます。
 セシリアはそこでエイドリアンが彼女をストーキングしていた決定的な証拠である、姿が見えなくなる「インビジブル・スーツ」を見つけます。
 自分は当然彼女がそのスーツを持ち帰るものと思いましたよ。
 そのスーツさえあれば彼女が言っていたことが正しいと証明されるのですから。
 しかしセシリアはスーツを彼女が使っていたクローゼットの奥に隠すのです。
 なぜ彼女がそうしたのかは最後の最後にわかります。
 しかし最後の最後にどのような結末を迎えるのか、すべて予知していたのでない限り、スーツを置いていくという行動は取れないはずなんですよね。

 屋敷から戻った彼女は妹のエミリーと再会します。
 待ち合わせの場所は賑やかなレストランです。
 え?って思いましたよ。
 姿が見えない敵に狙われている人間がそんな場所を待ち合わせに指定するの?
 案の定エミリーは殺され、その嫌疑はセシリアにかけられます。
 妹が殺されて呆然とするセシリアですが、こんな場所を待ち合わせに指定するお前が悪いんじゃん!としか思えません。

 納得出来ないのはセシリアだけじゃないんですよね。
 彼女の元恋人で天才科学者であるエイドリアンの行動も充分おかしいんです。
 セシリアがインビジブル・スーツを盗み出すわけですから、スーツが一着紛失するわけです。
 しかし彼はそのことに気づかないんですよ(もしくは気づいたけれど気にしなかったのか)。
 気づかなかったのか、気にしなかったのか、いずれにせよ、そんなことってあり得ないですよね。
 
 物語の幕の引き方に留飲を下げる人も多いようですが、自分はあり得ないだろうとしか思えませんでした。
 この幕引きになるためにはセシリアがすべてを予知する超能力者で、さらにエイドリアンが天才科学者ではなくただのボンクラでなければいけないので。

 ヤフー映画のユーザーレビューを読むと、すべてはセシリアの自作自演だった、というトンデモ解釈を披露する人もいて、さすがにその解釈は無理があるとは思いますが、そう解釈したくなる気持ちは充分わかります。
 そうとでも解釈しなければ筋が通った説明は出来ないですからね。

 まぁでもそういった細かいことが気になる人はごく少数派で、ほとんどの人は気にならないようなので、気にする必要もないのかもしれません。

  お気に入り度★★★☆、お薦め度★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント
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