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この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

【告白】、最悪の結末を招く、女教師の復讐。

2010-06-05 20:37:17 | 新作映画
 湊かなえ原作、中島哲也監督、松たかこ主演、【告白】、6/5、Tジョイ久留米にて鑑賞。2010年24本目。


 中島哲也は、今の日本の映画界において、もっともクリエイティブで作家性の強い映画監督ではないだろうか。
 一作ごとにまるで異なるモチーフを選んでおきながら、作品のどこを切り取っても映画監督中島哲也のカラーに色濃く染まっている。
 新作が公開されれば必ず観に行くという映画監督は、洋画ではティム・バートン、クリント・イーストウッド、デビッド・フィンチャーetc数え切れないぐらいいるけれど、邦画では片手の指で足りる。
 その数少ない一人が中島哲也で、自分はこれからも彼の新作が公開されたら必ず観に行くことだろう。

 ただし、本作はきわめて不快な映画だった。
 といっても出来が悪かったというのではない。
 非常に出来の良い、不快な映画だった、ということだ。

 幼い娘を殺された一人の女教師の凄絶な復讐の話である。
 復讐される側の、つまり娘の仇である二人の少年が最悪の末路を辿るのはいい。自業自得というものだろう。
 しかし、女教師の復讐に巻き込まれ、これといった罪を犯したわけでもないのに、善意の第三者が悲惨な目に合うのは観ていて胃が重くなってしまった。
 しかも、そういった悲劇が起こったことを充分承知していながら、復讐を遂げた女教師がしてやったりとばかりににんまりと微笑むのはどうにもこうにもいただけない。

 非常に出来の良い(、不快な)映画だったといった。
 しかし、穴がないわけではない。
 例えば、高い知能を持ち、人を殺すことにあれほど強いこだわりを持つ少年Aが、自分の産み出した武器が殺傷能力を持つかどうか知らなかった、というのは説得力を欠くし、さらにいえば、試した相手が本当に死んだかどうか確認しなかった、というのも変である。
 そこら辺の不自然さに、展開のご都合主義を感じてしまった。

 とはいえ、そういった脚本上の穴は、映画の、というより原作の欠点なのだろう(映画秘宝のインタビューで中島哲也は原作通りに脚本を起こした、と語っているので)。
 原作の欠点をそのまま脚本にしてしまうというのも如何にも中島哲也らしいと思う。

 到底万人にお薦め出来る映画ではないけれど、作家性の強く感じられる作品が好き、という方は観て損はないと思います。

 お気に入り度は★★★、お薦め度は★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。

ps.それにしても十五歳前後の少年少女が主要な登場人物である本作が十五歳未満鑑賞禁止であるのは如何がなものかと思う。せめてPG12にすべきではないだろうか。
コメント (4)
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